八ヶ岳山麓の原村にある「大杉小屋」に着いたのは3時過ぎだった。小雨がぱらついていて野外での演奏に不安を感じる。
今年は20~30代の若い衆の参加が多く、ステージの設置などはもう終わっていた。昨年同様斜面の底に土盛りをして固めた舞台に、ビニールシートで大きな屋根を張ってある。消防士のキューちゃんがザイル1本で張った屋根だそうだ。この屋根なら多少の雨でもOK。早速機材の設置に取り掛かった。アンプやスピーカーが濡れることを恐れながら1時間がかりでセッティング。
コンサート開始の5時を待ちながら小屋で一服してると、突如バケツをひっくり返したようなどしゃぶりになった。雷までも近くで鳴り出した。いよいよこれはダメかと思いつつも、この雨の中を今から器材を小屋に運ぶわけにもいかず、ひたすら小降りになるの待った。
7時近くになりようやく小降りになり2時間遅れでコンサート開始。
今回は次の人達が出演。(出演順)
★「オカリナアンサンブル かざぐるま」
★シンガー せおしんじ(ゲスト出演)
★棟梁・山本のフォルクローレバンド「ピミエンタ」。
★Martin 古池
オープニングは「かざぐるま」。
①秋の童謡変奏曲
村祭り
とおりゃんせ~しかられて~夕焼け小焼け~赤とんぼ
證誠寺のたぬき囃
虫の声~村祭り
②見上げてごらん夜の星を
③夏の終わりのハーモニー
④恋人もいないのに
⑤はじめから今まで(冬のソナタ)
⑥あなただけが(冬のソナタ)
⑦夜空のトランペット
⑧夜空を仰いで
今回の選曲は9月23日の「風のコンサート2004秋」でやる曲を中心に組んだ。現在の仕上がり具合をチェックするという意味もあったが、満足のいくところまで来ていたと思う。
「かざぐるま」としては3年ぶりの参加。結成間もない頃、第1回目の『森の音楽祭』でおどおどしながらも必死で演奏した頃のことが頭をよぎった。7年続ければ演奏も舞台度胸もつくんだなと思う。近年稀に見る(?)良いできだった。
二番手はせおしんじ。
広島から仙人小屋にそばうちの修行にきている若いシンガーソングライター。オリジナルを中心に元気のいい歌を聞かせてくれた。せお君の声は力強く理屈抜きでハートに飛び込んでくる。
越谷の若手ストリートミュージシャンにぜひ聞かせてやりたいと思った。越谷の連中は良くも悪くも都会的なイメージ。うまいが線が細い。せお君は特別うまいとは思わないが、歌に力がある。街のシンガーと山のシンガーが交流できればたがいに刺激になると思う。
かくいう僕も刺激され、飛び入りで一緒にやってしまった。知らない歌ばかりだがアドリブでソロを取ったりハーモニーをつけたりと気持ちいいセッションとなった。
そしてレギュラーの棟梁・山本の登場。
彼の所属する「ピミエンタ」から他にチャランゴの原田さん。その娘さんが出演。この娘さん、生まれた時からフォルクローレを聞いて育っただけあって、本能的に太鼓を叩いていた。
棟梁と原田母さんの演奏はキャリアを感じさせる安定したプレーだった。僕はステージからはなれたところで勝手にギターのバックサポートをしたが、彼らの演奏はチャランゴの伴奏だけで成り立ってしまうところがさすがだった。エンディングの『上をむいて歩こう』はステージに上げてもらい共演させてもらった。最初ギターを弾いたがチャランゴの伴奏がすてきだったので、ギターをやめてケーナに持ち替え棟梁の演奏にハーモニーを付けた。
最後の出演は僕、Martin 古池。
過去の「森の音楽祭」では観客を巻き込んでのフォーク寄席だった。今年もそのつもりでいたが、雨のため観客は小屋の中がほとんど。顔が見えないためキャッチボールがうまくできない。このため急遽方針を変えてじっくり聞いてもらうことにした。
季節の歌を縦糸に、「戦争知らない子供たち」の世代から「戦争知らない子供たちを知らない子供たち」へのメッセージを横糸にした。今年はそれほど若者の観客が増えていた。
エンディングはお約束の「あすなろの歌」この音楽祭を土台で支えている「あすなろ山の会」のテーマソングだ。この歌を作って20年。音楽祭で歌いだして7年。時がたつにつれて歌に魂が入っていくのを実感しながら演奏を終えた。
雨中の野外コンサートは大変だったが、気持ちが高揚する。
でも会場設営をしてくれた人達は大変だったと思う。
豪雨の中足を運んでくれたい客さんにも感謝!
来年は8回目。若者の参加も増えている。
「もっと大規模にやりたいね」
棟梁・山本と話しながら幕をとじた。
アフター・ライブ
音楽祭が終わった後小屋の土間に10人以上の若者と、数人のおじさんが集まった。
若者たちは20代から30代。おじさんたちは50代から70代。なんと3世代にまたがる人の和ができた。
狭い土間で肩を寄せ合い、酒を飲みながらのアフターライブが夜中の3時半まで続いた。
「古池さん、今年はいつもみたいに走りまくってないすね。欲求不満でしょ?」
消防士・キューちゃんのリクエストにお応えしてアフターライブでは走った。雨で演奏時間が短かく、できなかったことを取り戻すかのように歌いまくり、語りまくった。
歌を通して若者に問いかけ、それに反応する若者たちに長老たちが答える。それを受けて歌は展開していく。いい関係だな。いい時間だなと思いつつ夜はふけていった。
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