朝市コンサート

2024.02.15

朝市コンサートの記憶・記録

2016年2月13日の「朝市コンサート」の記録だ。
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「朝市コンサート」は毎月2回、越谷市場でやっていた早朝のコンサート。
買い物に来られるお客さんに2時間ほど歌いかけていた。
2005年から2020年までまる15年間続けてきた大切な「レギュラーライブ」だった。
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残念ながらコロナ以降中断し、この先も再開する見通しは立っていない。
でも僕は「朝市コンサート」で紆余曲折を繰り返し、失敗を重ね、そして様々なことを学んできた。
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再掲載するのは10年を経過したころの「朝市コンサート」の記録。
ようやっと市場での自分のスタンスが確立したころだった。
このころ感じていたことは今につながっており、これからも自分の指針の一つになるように思う。
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[うれしかったこと その1]
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コンサートの終盤、専太郎さんの『夢』を初めて人様の前で歌う。
まだ手探り状態で臨んだ。
それなりに歌いこんではいたけれど、まだまだ借り物状態。
でも本番の緊張感の中で、稽古では決して入らぬスイッチがカチャッと入ることが多い。
結果、歌は化ける。
本番の化学変化が起きる!
一気に歌が化けた。
稽古では手の届かなかったかゆいとこに、すんなりといっちゃった。
厳密にいうと歌自体が化けたんでなく、歌と自分の微妙な距離感が一気に詰まったというべきなのかもしれない。
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コンサート終了後、いつも辛口の漬物屋のかぁちゃんがわざわざ店から飛び出してきた。
  いい歌だね!
  あんたはこういう歌をもっと歌いなさいよ
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[うれしかったこと その2]
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いつものようにラストソングは『テネシーワルツ』。
市場ではもう150回以上は歌ってる勘定だ。
ちょっと一呼吸おき、ゆったりとしたギターソロから始めるおなじみのパターン。
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すぐ先を歩いていたじいさんの足がぴたりと止まる。
うつむき加減に耳をすましている。
歌い終える。
ギターの余韻が消えるころ、突然の拍手。
僕に近寄ってこられてこうおっしゃる。
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  一番好きな歌だ
  あんたはお若いから知らないかもしれんが
  トミー藤山さんというカントリー歌手の歌う
  『テネシーワルツ』が好きでな
  あんたの歌うのを聴いていて
  トミーさんを思い出した
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知らぬはずがない。
何を隠そう、僕の歌う『テネシーワルツ』はトミさんがお手本なんだから。
トミさんの歌とは比べられないけどね。
なにしろとてつもない実力、経験に裏打ちされ、世界を相手に歌ってるトミ藤山さん。
こちらはしがない場末の歌うたい。
それでもなんだかとてもうれしかったのです。
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[うれしかったこと その3]
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力が抜けきっていたこと。
最初から最後までムダな力がほとんど入らずに歌い通せたことがとてもうれしい。
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市場でのコンサートは「風物詩」になることが目標。
喧騒と雑踏の中で歌ってる姿が、市場の風景の一コマでありたい。
特別な景色ではなく、ごく自然にそこにあって当たり前というのが目標。
市場の中でその空気と共存し、溶け込んでいるってのが望ましい。
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それには気負いがあってはいけないと思ってきた。
人間だからどうしても「欲」がでる。
聴いてもらいたいとか、うまく演奏したいとかね。
でもそういう気持ちが残っているうちは「風物詩」にはなりえないと思う。
つまりは自然ではないってことだ。
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ここ数年、「欲」や「力み」はずいぶん減ってきたと思う。
それでも2時間歌っているうちには、必ず数回は「欲」や「我」が見え隠れしてきた。
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今日は何の引っかかりもなく、す~っと歌い始め、思いのままに好きな歌だけを淡々と歌い続けることができた。
時折いただく拍手や会釈や朝のご挨拶にも舞い上がることなく、笑顔でお返ししながら淡々と歌い続けた。
ギターの音もさらっと流れてすーっと消えていく。
唄も淡々と虚心坦懐で歌うことができた。
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そんな状態だったから『夢』も自然な気持ちで歌え、「化学変化」につながったような気がする。
漬物屋のかあちゃんが反応してくれたことや見知らぬ爺さんに拍手をいただけたことは、終始自然にできたことへのご褒美かな。
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稽古では「欲の塊」になる。またそうでなければいけない。
でも本番では脱力し「無」で歌う。
そんな境地に早くなりたいものだ。
1人、ギター、アコーディオン、テキストの画像のようです

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2022.12.22

再会

自転車散歩中、公園のトイレに立ち寄った。
用をたしてトイレから出るとじいさんが順番を待っていた。
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  お待たせしました
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と、挨拶を交わし目が合う。
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  おおっ!
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互いに声を出す。
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  お久しぶりでした! (僕)
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  最近見かけないね (じいさん)
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越谷市場でやっていた「朝市コンサート」で顔見知りになったじいさん。
16年もの間、ほぼ毎回顔を合わせていた。
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  コロナになってからというもの
  市場開放デイが中断していて
  コンサートもできなくなったんですよ (僕)
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  ここ数年、
  市場は火が消えたようになっとるよ (じいさん)
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実はこのじいさん、忘れられない人だった。
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「朝市コンサート」を始めた頃、じいさんはチャーミングな奥さんを伴って買い物に来ていた。
5~6年もの間、睦まじく通っていた。
まさにおしどり夫婦だった。
奥さんは離れたところでいつも足をとめて聴いてくれていた。そして小さく手をたたき、軽く会釈をして二人は去って行った。
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ある日突然、奥さんは車椅子の人になった。
じいさんは車椅子を押しながらそれまでと変わらず買い物をしていた。
奥さんは離れたところに車椅子を停めてもらいしばし歌を聴いてくれた。
そして以前と同じように小さな拍手と会釈を残して帰って行った。
そんなことが何年か続いた。
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おしどり夫婦の姿が突然見えなくなったのは「朝市コンサート」が10年目を迎えた頃だろうか。
なんとなく気にはなっていたが、いつのまにかおしどり夫婦のことを忘れていた。
それから2年ほど経ち、じいさんが一人で市場に姿を現した。
目はどことなくうつろだった。
歌っている僕のすぐ目の前を通っても心ここにあらずという体で通り過ぎていった。
僕も前のようにじいさんに会釈をするのがためらわれていた。
そんなことが1年近く続いたろうか。
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ある日、若い夫婦(と思われる)を伴ってじいさんが現れた。
たぶん息子さんがお嫁さんを迎えたんだろう。
じいさんは彼らを連れて買い物に来始めたのだと思う。
じいさんの目には光りが戻っているように感じた。
以降3人連れの買い物ツアーが続く。
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息子さんも、お嫁ちゃんも僕の歌には好意的でいつもしっかり聴き、惜しみない拍手を送ってくれた。
若いだけ合って反応がストレートだ。
チャーミングなばあさんが控えめの拍手と会釈だったのとは対照的だった。
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やがてこの買い物ツアーに赤ん坊が加わった。
赤ん坊は音に合わせて首を振っていた。
そして赤ん坊は成長し歩くようになる。
歩きながら歌に合わせて身体をゆするまで育った。
孫を見るじいさんの目はやさしかった。
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そんな頃、巷にコロナの嵐が吹き荒れた。
越谷市場の市場開放デイは密を避けるため中断することとなった。
それに伴って「朝市コンサート」もまた中断せざるを得なかった。
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あれから3年の月日が流れた。
じいさんの顔に刻まれたシワは以前よりも深くなった。
声もしわがれていた。
すっかり老いていた。
それでも笑顔はあの日のままだった。
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「朝市コンサート」はおそらくこの先再開されることはないだろう。
それでも16年もの間続けることができたことは僕にとっては大きな財産だと思う。
ひとつの家族の歴史を(ほんのわずかとはいえ)かいま見させてもらうことができた。
じいさんに想いを馳せさせてもらえた。
2週間ごとにくりかえされる小さなめぐりあいの数々。
そのありがたさが今になってなおさらに感じられる。
僕にとってこのじいさんは「朝市コンサート」の象徴だったように思えてならない。

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2021.12.28

残念な、悲しい知らせ

朝の散歩の帰り道、年の瀬の買い出しに越谷市場に寄りました。
買い出しを済ませ、来年の「朝市コンサート」の打ち合わせをしに担当者を訪ねます。
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コロナの世になり昨年の4月以来「朝市コンサート」はずっとお休みしています。
オミクロンのことはあるけれど、感染状況は快方に向かっています。
緊急事態宣言も解除されてから3か月。
市場としては現状をどうとらえているのか確認したかったのです。
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僕の顔を見るなり担当の方が申し訳なさそうに言います。
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  「市場開放デイ」のイベントはもうやらない、やれない
  福引を再開すると密になるでしょ
  さびしいけど市のお達しもあるんでしょうがないんですよ
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「朝市コンサート」はもうやれないという最後通告です。
予想はしていました。
でも実際最後通告を受けるとやはり堪えます。
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「朝市コンサート」が市場開放デイの中のイベントとしてスタートしたのは2005年の4月。
コロナで中断するまでの15年、毎月第2、第4土曜日の早朝から歌ってきました。
回数にすれば300回はゆうに超えています。
僕にとってはとても大切なレギュラーライブでした。
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同時に己を鍛える「ライブ道場」でもありました。
なにしろ買い物目当てのお客さん、不特定多数の方々に歌うわけです。毎回難しい演奏でした。
試行錯誤をくりかえす日々の連続でした。
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「市場の風物詩たりたい」
そんな思いで長年続けてきました。
「風物詩」であったかどうかはわかりません。
でもありがたいことに音楽とは全く場違いの市場の中でも認知はされていたと思います。
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残念だけど、本当に悔しいけれど現実は受け止めなきゃね。
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この場で歌い続けることができたことに感謝しています。
そして学んだこと、鍛えられたことをこれからに活かしていかなきゃならない。
そんな風に気持ちを切り替えようとしています。
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帰りしないつもの市場の食堂・美松さんでラーメンをすすります。
追加で注文したチャーハンを一口一口かみしめながら自分に言い聞かせます。
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  したって、しょうがないべや
  これからは「青空ライブ」の風物詩になることを
  めざせばいいべさ
  (独白はいつも函館弁になってしまう)
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今日のラーメンはちょっとしょっぱく感じられました。
★第1回目の「朝市コンサート」の記録★
  (ブログ「街角の歌芸人」より)
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2020.04.10

4年前の「朝市コンサート」の模様


しっとりとした、濃密なコンサートだった。

 

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休憩中、前回に引き続き松本さんが来てくれた。
ありがたいものだ。

友人が来てくれると、ギアが1段上がる。
普段は市場の空気と同化するため、意識的に抑えぎみ。スピードよりもトルクを重視している。

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終盤、今日2回目の「夢」を歌ってると小さな女の子連れの若夫婦が通りかかる。
女の子と目が合う。興味深そうな目でこちらを見る。
その様子に気がついた母親がベンチに腰を下ろす。
女の子はにこにこしながら僕を見つめてくれる。僕も歌いながら微笑みかける。
その様子を母親はあたたかく見守っている。
ほのぼのとしたいい空気が流れる。

歌の内容もマッチしている。

こんな夢を見ました
あなたはとても若く
まだ幼い 小さな私を
あたたかく抱きしめて
春の光の中で
朝の風に吹かれて
愛すること 許すことの
意味を教えてくれた
長い時の 旅を終えて
今静かに眠りにつく
命をかけ 産んでくれた
その勇気を 忘れないと
さよなら ありがとう
二度と戻らぬ季節
朝の夢に 消える影が
後ろ手に手をふった
(小田 専太郎 俊明)

歌詞の一節ごとに目に見えないキャッチボールが交わされる。

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僕はこの親子にロックオン。
気がつけばギアはトップに入っている。
おだやかで静かながら、濃密な空間に。

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そんな様子をちょっと引いた位置から眺めていた父親が二人に寄っていく。
最初はおずおずと、やがてにこにこと。

この空気感のままに最後は「あ・り・が・と・う・の歌」。

産んでくれて ありがとう
育ててくれて ありがとう
遊んでくれて ありがとう
叱ってくれて ありがとう

歌いながらいろんな思いが去来する。

この子にとって、今はあたりまえのことだろう。
でもいつかそう感じる時がくるだろう。

この若い夫婦もわが子を思うとき、それが自分達の親御さんにつながっていくことに気がつくことだろうな。

家族の歴史のありがたさ。
それを感じることのしあわせ。

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60歳を過ぎてから、僕は人生の一番いい季節をただよっているのかもしれない。
祖父母の代から始まって孫につながる親子五代の家族の歴史。
気の遠くなる時の流れの中で60代の僕は今ちょうどその中間ポジションにいる。

これは有難いことだと思う。

わずか数分の歌を歌いながら、僕はそこに60年という歳月と自分につながる家族の歴史を感じていた。

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2020.04.01

自粛モード漂う「朝市コンサート」

自粛モードの「朝市コンサート」。

越谷市場に到着すると、開口一番「今日はボリュームを抑えてくださいな。役所からイベント自粛要請が来てるんです」とのこと。

「じゃ、生音でやりましょう」ということで演奏許可を得る。
普段から音量はさほど大きくはない。ギター音を補助的に拾うくらい。

生音演奏でもやることはいつもとあまり変わらない。
いつも通りに歌い、ちょっとだけギターを強く弾く程度。
普段は音の届く範囲を入り口のある30メートル先に置いているが、今日は景品交換所の先まで20メートルくらいを意識した。

コロナの外出自粛モードのためか、いつにもまして閑散としている市場。
今日は冷凍マグロを切るチェーンソーの音もしない。

歌の神様に淡々と歌いなさいと言われているような今日の市場。
じっくり、まったりと歌った1時間半。
福引きコーナーも今日は早めに終わったので、こちらもいつもよりはちょっと早じまい。

丁寧に歌えたのでこれでヨシとしよう。

帰りがけに言われた。
「マイク使っても、使わなくてもあまり変わらないね」

「そりゃ、普段から完全生音でライブやってるからね」

でかかった言葉を飲み込み、にこりと笑って会場を後にした。

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2020.03.15

「朝市コンサート」

 

いつにもまして閑散たる越谷市場です。
冷たい雨のためか、コロナのためか。
それでもお馴染みの顔ぶれが買い出しに精を出しています。

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今日はフラットピックを用いた奏法を封印しました。というのは最近ピックと弦のアタック音が耳に障るようになっているからです。
ギターの役割は歌を活かすためのわき役。あまり自己主張してもね。

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喫茶店JUNEのような場所で演奏する時はピックを使ってもやわらかなタッチで弾くことができます。それはこじんまりとした場所のため音が逃げずに回って返ってくるからです。
ところがだだっ広い市場だと音が広い空間に吸われ逃げでしまうからです。どうしてもピッキングが強くなってしまいます。要らぬ力が入ってしまうんでしょうね。

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でも指の腹を使ったフィンガーピッキングでは音量が足りなくなります。
そこでライン使用の封印を解きました。(普段は生音演奏にこだわり、ラインを使わないことを旨としているのです)
基本は1本立てたコンデンサーマイクでボーカルとギター音を拾います。ラインからの入力は補助的に音量補正として使いました。

指弾きにすることで、普段の市場とはひと味違った演奏ができ、うれしかった。

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今日は選曲もいつもとは大きく変えました。
普段市場ではポピュラリティのある歌が中心となります。それは客層に合わせてのことです。
お客様本位の選曲。
今回は完全に自分本位のわがまま選曲。
先月の「おーるどたいむライブ」でやった歌や来週の富安さんとの「音もダチライブ」でやろうと思っている歌等々。

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8時から9時半までの90分、一本勝負。
気持ちよく歌うことができた本日の「朝市コンサート」でした。

 

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2020.02.08

6年前の今日も「朝市コンサート」をやっていた。

6年前の今日も「朝市コンサート」だったんだ。

この時も寒く、越谷に雪が降っていた。

そして、市場でのセッティングを初めてコンデンサーマイク1本で臨んだ日だった。

当時は商売中のお店と共存するための苦肉の策だった。
なにしろラインを通したギター音量や、それに合わせたボーカル音量は大きかった。
それが商売の邪魔になると苦情があったりした頃だった。

体から出る自然な声。
生ギター から出る自然な音。
これらをほんのちょっとだけ増幅するという発想だった。
ボーカルとギターの音量バランスがいいあんばいになるポイントを探すのに腐心した頃だった。

今ではこのセッティングがすっかり定着した。

 

【以下、当時の記録 2014年2月8日】

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雪降りしきる越谷。
閑散とした市場。
前回はインフルエンザで休んだんで気合い入ってたが……。
本日のセッティングはコンデンサーマイクを1本立て、ギターの音を主に拾うようにした。
広い市場ではギターの音が吸われる。ラインで繋いでもこの閑散ではやかましい。
いっそ生声で歌い、ギターの音量だけを補った方がいいと思った。

大正解!

ボーカルの過音量を気にせず自由にのびのび歌える。
音量も過ぎれば壁を作るものだ。

本日外の雪を眺めながら冬歌を。
雪見歌ってのもオツなもんだ。

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底冷えの「朝市コンサート」

風はのれんをばたばたなかせ
丼につかまりながらすする拉麺。
疲れたんで油揚の肉詰めを追加。

2020_02_08

寒かった今日の「朝市コンサート」。
久しぶりに底冷え。
足元から冷気が上がってくるは、ストロークをくりかえす指先はかじかむは。

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気管支の不調の「後遺症」はいまだ残っている。
突如として気管支の中で暴れ、声がかすれる。
ごまかしながら歌い続けたけど、気持ちいいもんではない。

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前半は知名度の高い昭和の流行歌を中心に進める。
歌いなれたはずの歌だがどうも本調子ではない。

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後半に入り、新曲のオンパレード。
23日の「おーるどたいむライブ」でやる予定のものだ。
このうち何曲かは初めて人様の前で歌う歌。
この間自宅にこもり徹底的に歌い込んだ歌達だ。
でも、練習と人様の前で歌うのとではまったく別物。
声の出し方とギターのバランスにちょっと戸惑った。
でもまあ、なんとかいいあんばいに納めることができた。
この先ライブ本番まで3~4回は人様の前で歌うチャンスがある。
歌を鍛えなきゃね。

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ライブを終え撤収しているときお客様に声をかけていただいた。
70がらみのおじさんとその娘。
娘さんは40過ぎくらいかな。
おじさんは杖をつき、娘の肩を借りてそろそろと歩いている。

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  寒いのにいつもご苦労さんだね

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これだけの一言が嬉しい。

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このおじさん、10年ほど前は元気に市場を闊歩していた。
姿が見えなくなったなと思っていたら、1年ほどたって突然杖をついて登場した。娘の肩を借りて。
毎回のように買い出しに来ている。
もちろん荷物は娘さんが持っている。
もう何年もそれが続いている。

カタツムリのような歩みだが、
市場の活気に触れることはおじさんにとって大切なリハビリなんだろうな。

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そんなことを思いながら、本日の「朝市コンサート」は終了。

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2020.01.25

リハビリ的「朝市コンサート」

1月最後の「朝市コンサート」終了。

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今回もまたリハビリ的演奏。
やんや、まぁず今回の風邪は長引くわぁ。
もうすでに一ヶ月半。
咳き込むことは無くなったけどね。
思い通りに声をコントロールできない。
特に高音域はまだおっかなびっくり。

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だだっぴろい市場では高めのキーで声を張り気味の方が案配いい。
高めに不安があるんでやむなくキーを下げた。
その方が歌自体は安定するけど、いかんせん勢いがでない。

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たった1音下げるだけなのに、ギターの弾き方も変えなきゃならない。
声とのバランスがあるからね。
勢いの出ない歌に勢いある伴奏じゃうまくない。
かといって90分フィンガーピッキングに終始したんじゃ、ますます勢いが無くなる。
柔らかいタッチのシンプルなダウンストロークで通すことにした。多少のメリハリを意識しつつね。
「外角低めをていねいにつく」球威の劣るピッチャーの心境だ。

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でもまあいい勉強にはなった。
ダメなときはダメなりに。
リハビリ的演奏の時はそれに見合った演奏方法で。
状況に合った最適、最大限の演奏方法を試行錯誤することは学びになるってえもんだ。
それにこういう試行錯誤も案外楽しいもんだ。
長年やってこれたおかげで、暗中模索・五里霧中というわけでもないしね。

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これからも「冬の時代」に向かって年を重ねていくわけで。。。
いつもいつも体調絶好調というわけにいかない。
そんなシーンが増えるだろう。
そのリハーサルとなった今朝の「朝市コンサート」だったかな。

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2020.01.14

年のはじめの「朝市コンサート」

新年始めの「朝市コンサート」。
晦日の賑わいとは裏腹に、静かな静かな越谷市場。
演奏もそれに合わせて静かに静かに。

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年末来の気管支の不調はなかなか良くならず、相変わらず咳き込む毎日。
静かな市場はそんな僕には都合がいい。
なにしろ声を張ると咳が出る。

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コンデンサーマイクを一本立て、静かにじっくりしっとりと。
歌うは冬の歌大特集。
お馴染みの歌に加え、普段あまりやらないものもたくさん入れた。

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「朝市コンサート」は実験的試みをやりやすいのがいい。
ここで試して結果が良ければ他のライブでもやれる。その時はもう少し洒落たアレンジにしたりする。
今朝もそんな何曲が生まれた。

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今日のような静かな市場に来るお客さんは馴染みの方がほとんど。
声をかけていただいたり、会釈を交わしたり、ニコッと笑って通りすぎてゆく。
嬉しいものだ。

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時々買い物に来て、ベンチに腰を下ろししばらく歌を聴いてくださるおばあさんがいる。
いつもはひと休みしてそのまますーっと帰っていく。
今日は帰りがけ、ベンチでなにやらごそごそやっている。腕に抱えた買い物袋が地面に落ちる。
それを拾い上げながら僕の方に近寄って来る。
歌いながら「ん、なんだろう?」と思ってると譜面台の上にく千円札を置いて立ち去ろうと背を向ける。
歌の合間に「いつも聴いてくれてありがとうございます」とお礼を一言。
ふりかえった顔は笑顔でくしゃくしゃ。

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譜面台の上の千円札は折り畳んでくしゃくしゃのを伸ばしたものだろう。
そうかごそごそやってたのは、お札を手でしごいて伸ばしていたんだ。

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合点がいくと共に哀しく切なくなり、そしてうれしかった。
裕福そうな身なりの方ではない。
髪も手が入いらずぼさぼさ。
それを毛糸の帽子でおさえている。
生活の香りを漂わす、このおばあさん。
もしかしたら年金を頼りに細々と暮らしているのかもしれない。

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くしゃくしゃの千円札を眺めながら、ちょっと泣けてきた。
大切な大切なカンパ。
ありがたく頂戴した。

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思うところのある年の始めの「朝市コンサート」だった。

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