さんすまいるコンサート

2024.11.01

さんすまいるコンサート

地元のデイサービスで2ヶ月毎の定例コンサート。
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今年で10年目を迎えている。
ひとつの老人施設で長年歌い続けるということはありがたくも切なくもある。
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「ありがたさ」は皆さん楽しみに待っていてくれること。
それこそ首を長くして待っていることがひしひし伝わってくる。
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「切なさ」は馴染みの方々が歯が抜けるようにいなくなること。
10年前にいらっしゃった方々も今ではもうおひとりだけ。
初期の方々はコンサートの形を一緒に作ってきた方々でもある。
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ひとつの場所で長年歌い続けるとはそういうことと向き合わざるを得ないこと。
そして演者の僕も少しずつそういう世代に近づいていく。
さんすまいるコンサートでは歌う楽しさを満喫してもらうと共に、人生の哀感もほのかに漂う音楽会にしていきたい。
10年目にしてそんな思いがいっそう強くなっている。

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2024.08.27

今日は久しぶりのさんすまいる音楽会

前回6月はコロナにかかりお休みせざるを得なかった。
今日は4ヶ月ぶりに地元蒲生のデイサービスさんすまいるで音楽会。
内心かなり気合いが入っている。
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時節は夏本番の8月。
夏の唄を中心にプログラムを組んで臨みたくなるところだ。
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でも今回はそういう事前の準備は一切やらないことに決めていた。
あらかじめ候補曲をリストアップするなどの事前準備をした方がスムーズに進むことは充分判かっている。
でも音楽会の本来の趣旨は「みんなでおしゃべりを重ね、おしゃべりの中から歌う」ということだ。
その原点に立ち返ろうと思っている。
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さんすまいる音楽会は歌謡ショーとは位置づけが違う。
歌謡ショーは僕の歌を聴いてもらい、楽しんでいただくものだ。
いわば一方通行のステージ。
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でも歌声音楽会は「みんなで一緒に歌う」という音楽会だ。
相互通行の井戸端会議のようなものだ。
大切なことは歌を選ぶ過程だ。
5年ほど前に手作りした「さんすまいる歌集」には100曲ほど収めてあり、そこからの選択という制限はある。
でもこの100曲はすべて、デイサービスのご老人たちが思春期~青春期などに胸を熱くしたであろう歌を中心に作ってある。
この歌集をめくりながら世間話を積み重ねる。
例えばこんな案配だ。
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  毎日暑いねぇ。
  夏だからね。しょうがないよね。
  若い頃はクーラーなんて無かったからね
  夏はよく海に泳ぎに行ってたよ
  そういえば「恋のバカンス」なんてのがあったね
  わたしゃ山国育ちで海なんて知らなかった
  「我は海の子~」なんて歌には憧れたね
  憧れって言えば「憧れのハワイ航路」なんてのもあったね
  親が長崎で終戦迎えて、被爆はしなかったけどね
  そういえば今日は長崎に落とされた日だ。
  ちょっとつらいけど「長崎の鐘」もやろうよ
  じゃその後は「長崎は今日も雨だった」だね
  長崎まで行ったんだから、北国にも行こうか
  「函館の女」なんて久しぶりにいいね
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これは昨年の8月の「さんすまいる音楽会」での会話を再構築したもの。
会場の10人ほどのご老人たちとくり広げたおしゃべりだ。
こんなちいさなおしゃべりの中に選曲のヒントがたくさん詰まっている。
歌は芋づる式に出てくるし、駄洒落やこじつけから様々に発展していく。
こういう選曲のためのおしゃべりプロセスが楽しい。
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僕の役割はおしゃべりの種を提供し、おしゃべりを引き出し、歌に結びつけるということだ。
この役割のことを「水先案内人」と称している。
ここのところスムーズに進行することに力点を置く傾向が強かった。
なにしろ1時間の枠の中で少しでもたくさん歌ってもらいたいと思うからね。
でもそのことで選曲が少々ではあるが意図的で作為的になっていた気がする。
これは歌声音楽会(井戸端音楽会)の本来の趣旨からはちょっとはずれている。
もっと恣意的にその場の流れに身を任せながら舵を取るべきかなと反省している。
ご老人たちにもっと下駄を預ける勇気をもとう。
原点帰りを目指す今日の「さんすまいる音楽会」。
どんなものになるか楽しみだ。

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2024.04.19

さんすまいる音楽会

昨日の歌謡ショー@楽龍時に引き続き、今日はデイサービス・さんすまいるで音楽会。
ご老人たちに歌うという点は同じだが、ショー(コンサート)と歌声音楽会とではその性格や進め方は大きく違う。
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ショーはあらかじめざっくりしたプログラムを組んで臨む。
進行もある程度きっちり決めてある。
オーディエンスに歌を聴いていただくというスタンスだ。
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一方歌声音楽会では参加者のリクエストを中心に進める。
事前にプログラムなどの準備をしてもほとんど意味をなさない。
「みんなで歌い、みんなでおしゃべりを交わす」ことが趣旨の音楽会。
水先案内人として多少リードする局面もあるが、蓋を開けてみなければ何が飛び出すか分からない音楽会だ。
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デイサービス・さんすまいるでは隔月のコンサートをもう10年続けている。
最初はショー形式だったけれど、時間の経過と共に自然に歌声音楽会の形になり、定着した。
過去リクエストの多かった唄を150曲ほど集めた手製の歌集を元に進めている。
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このところ参加者の顔ぶれがすっかり変わってしまっている。
当初からのメンバーは一人のみになり、あとはみな入れ替わった。
老人施設の定めとはいえやはり淋しいものがある。
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同時に進行上ちょっと見直しが必要になってきている。
これまでやってきた唄のキーが合わない方が増えてきているのだ。
これまで参加者が歌いやすいキーを手探りで決めてきた。
長年そのキーでやってきたのだが、新メンバーのほとんどの方が歌いにくそうにしているのが見て取れる。
「歌う」ということ自体に慣れていないという事情があるのだろう。
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1番は従来のキーで歌い、声が出にくそうだと判断したら2番以降はキーを変えて歌うという暗中模索をしている。
1音の上げ下げ程度であればさほど苦ではない。
でも中には大幅に変えることもある。
例えば「函館の女」はこれまでCでやってきたが、今日はAに変更。
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多分これも歌うことに慣れるまでの一時的な変更で、いずれまた変更することになるだろう。
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ただ面倒な手探りのキー変更にも善いところはある。
変更作業を音楽会の流れの中に組み込むことによって、参加者との会話が増えることにもつながっている。
新しい参加者たちと気心を合せていく上で大いに役立っている。
しばらくはこんな手探りが続くことになるだろう。
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今日もサプライズがあった。
音楽会が終了するタイミングで大きな花束を頂戴した。
昨日が僕の誕生日だということを覚えていてくださった。
花束を肴に参加者による年当てクイズに発展していくのがおもしろい。
新参加者の方々はまだ僕が還暦くらいだと思っていたらしい。
古希を迎えたと聞き一様に驚いた顔をする。
皆さんから見るとまだ若者ということなのだろう。
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 やっとこさ古稀に漕ぎ着けた
 ケツの青い駆け出し者です
 以後お見知りおきを
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そう仁義を切ってさんすまいるを後にした。

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2024.02.15

さんすまいる音楽会

いつものデイサービス。
2ヶ月ぶりの訪問。
いつにもましてご老人たちはにこにこ顔。
みなさん、口のまわりもなめらか。
まるで油紙に火のよう。
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いい感じで始まる音楽会。
あまりになめらかなすべりだし。
内心いぶかしい思いもあったが、流れに乗って一気に進める。
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「津軽海峡冬景色」~「函館の女」~「与作」~「夕焼けとんび」~「銀座カンカン娘」。
リクエストを頂戴しながら快調に飛ばす。
特に意識したわけではないが函館がらみの歌が続く。
北島三郎も三橋美智也も高峰秀子もみんな函館出身。
函館がらみの流れとなると僕もまた口がなめらか。
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  三橋美智也が出たなら春日八郎も聴きたいな
  「別れの一本杉」やってくれぇ
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と、こわもて風のじいさん。
ついでに「赤いランプの終列車」。
再び三橋美智也に戻って「哀愁列車」。
そしたら「お富さん」のリクエスト。
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  三橋はええなぁ
  春日八郎もええなぁ
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と、くだんのじいさん。
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負けじとちょっとおきゃんなばあさん。
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  こおちゃんが聴きたいね
  「ろくでなし」がいいな
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「ろくでなし」から続けて「サン・トワ・マミー」へ。
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こんな案配で流れるように過ぎ去った歌とおしゃべりの1時間。
中味の濃~いひとときだった。
最後に歌う「上を向いて歩こう」はいつも以上の大合唱となった。
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  ああ、楽しかったぁ
  さあ、明日は年金の日だ
  楽しみ、楽しみ!
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と、元気印のばあさん。
そうか、今日皆さんが妙にウキウキしてたのはそのせいか。
さんすまいる音楽会は偶数月に開催。
年金支給日も偶数月の15日。
二つの楽しみが連日続くんでみなさんご機嫌うるわしかったんだ。
そう得心した本日の「さんすまいる音楽会」だった。

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2023.02.21

ちょっと苦労した「さんすまいる歌声音楽会」


午後からデイサービス・さんすまいるで歌声音楽会でした。
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2ヶ月ごとの音楽会とあってご老人たちはいつも待ち構えてくれています。
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  やっと来たね
  遅いじゃないか
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(開始時間の30分ほど前には着いてるんですがね)
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昨日のおーるどたいむ de ライブの余韻や披露が抜けぬうちに矢継ぎ早の音楽会。
さんすまいるに到着するまでは、少々足取りが重たかったのは事実。
それでも歓迎されるととたんにスイッチが入り、元気が出てくるのだから不思議なものです。
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今日は新しいメンバーがおひとり。
頭が痛い、首が痛いと駄々をこねています。
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  ○○さん、これから歌の時間ですよ
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と介護士さん。
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  歌なんか歌う気分じゃない
  頭が痛いんだよ!
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と、件のばあちゃん。
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今日はみなさんをノセるまでちょっと大変かなぁ。
そう思いながら、平静を装って歌い始めます。
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こんな時は僕が能動的に動くのではなく、みなさんからリクエストを募り、場全体があたたまるのを待つのが良いかな。
そう思ったしだいです。
場全体があたたまることで外堀が埋まっていくという感じにしたかったのでした。
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常連のみなさんもそこら辺は心得ているご様子。
いいタイミング、いいペースのリクエストがかかります。
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最初は昭和20年代の歌が中心になりました。
東京キッド~港の見える丘~銀座のカンカン娘。

引き続き昭和30~40年代の歌へ。
骨まで愛して~霧の摩周湖~潮来傘~氷雨~好きになった人~さざんかの宿
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件のばあちゃんは相変わらずの悪態ですが、目は歌集の歌詞を追っています。
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「こいつぁいいぞ、もう少しだ」
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そう思っているときに「ダイアナ」のリクエスト。

これがはまった!
あえて少々アップテンポ気味に歌い飛ばします。
ご老人たちは着いてくるのに必死。口はパクパク、目はシロクロ。
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件のばあちゃんにも一気に火がついた模様です。
目をまっすぐこちらに向けて着いてこようと必死。
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ここまで40分はかかったかな。
あとはいつものペースでおしゃべりを挟みながら進みます。
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定刻を少し過ぎ、いつものラストソング「上を向いて歩こう」になだれ込みます。
「終わり良ければすべて良し」ではないけれどいい感じで終えることができました。
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ちょっと苦労した1時間の音楽会。
でもその苦労もラストソング「上を向いて歩こう」を気持ちよく歌うための道のりと考えれば意味があったかな。
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次回は4月19日(水)13:30~14:30の予定。
件のばあちゃんも気持ちよく参加してくれそうな予感がします。

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2021.12.07

さんすまいる歌声音楽会

デイ・サービス「さんすまいる」でやっている歌声音楽会。
2ヶ月ごとなので、毎回季節の移り変わりが色濃く反映します。
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この音楽会はご老人たちとおしゃべりをしながら、歌を選んで参加者全員で口ずさむという形をとっています。
いわば井戸端音楽会。
僕は水先案内人として(時に暴走する)おしゃべりや歌をリードするという役割。
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コロナによる半年間の中断を含め7年続けるうちに様々な紆余曲折を経てきました。
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当初は「Martin古池の歌謡ショー」という形でした。
僕が一方的に語り、一方的に歌う。
選曲は参加者が青春時代を過ごした頃に流行った歌や、彼らの子育て時代(つまり僕の幼少時代)に流行った歌が中心でした。
毎回ストーリーを組み、練りに練った歌謡ショーでした。
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何年かその形を続けるうちにご老人たちの変化に気づき始めました。
歌に合わせて口をもぞもぞ動かしているのです。
ご老人たちも歌いたいんだと気づきました。
歌には聴く楽しみと同時に歌う楽しみもあるってことをあらためたて気づかせてもらったのです。
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そこで「みんなで歌う」という歌声音楽会の形に変えてみました。
ご老人たちが歌いやすいキーやテンポを探りながらの演奏でした。
ただ音楽会全体のテーマや構成、そして選曲はあらかじめ僕が練っていました。
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この形は思いもよらぬ副産物を生み出してくれました。
ご老人たちの口が軽くなり、おしゃべりがはずみだしたのです。
僕と個々の方のおしゃべりもさることながら、ご老人たち同士のおしゃべりもはずむ。
「あの歌やろう、この歌やろう」というようなリクエストも増えていきます。
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そこでいっそのことリクエストを中心におしゃべりの流れにまかせてみることにしました。
「目的地のない、羅針盤もない歌旅」というイメージです。
ひとつの歌から生まれるおしゃべり。
そのおしゃべりの中から芋づる式に次の歌が生まれる。
ということをくりかえす道草だらけの音楽会です。
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ただこのやり方には問題点もあります。
おしゃべりがはずむ時もあれば、さっぱりという時もあるのです。
安定的に1時間おしゃべりをして歌うというのはなかなか難しいものです。
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そこで今は毎回ざっくりしたテーマを決め、テーマにつらなる選曲候補をたくさん用意しておくことにしました。
テーマは季節の歌だったり、時事的なものだったり。
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おしゃべりをベースにするという基本形はそのままで、時にテーマに沿った選曲を水先案内人がリードしていくという形です。
もちろんおしゃべりが絶好調であれば選曲候補は無視し、おしゃべりをふくらませます。
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「井戸端歌声音楽会」の形になって3~4年になります。
この形が今では僕のやり方のひとつのベースになりました。
例えばデイサービスよりも若干年齢層が下がる「喫茶店JUNE たそがれ歌声音楽会」も同年代による「みんなで歌おう・弾こうフォークソング@おーるどたいむ」もやり方に若干の違いはあるけれどどれもみな「井戸端歌声音楽会」。
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今回の「さんすまいる歌声音楽会」も宮川さんがニャンダル(小型のハンマーダルシマー)でお手伝いしてくれました。
ダルシマーの美しい音色にご老人たちも大喜びです。
歌とおしゃべりの「道草音楽会」に華を添えてくれるダルシマーの響き。
宮川さん、次回もお願いしますねぇ!

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2021.04.11

4ヶ月ぶり 「さんすまいる歌声音楽会」

緊急事態宣言下で中止していたデイサービス・さんすまいるでの歌声音楽会を4ヶ月ぶりに開催することができました。
あまりに久しぶりなので今日は朝から緊張気味。
みなさん達者でお変わりないか、オレのこと忘れてないか、なんてね。
何しろ高齢者にとっての4ヶ月は現役世代の4ヶ月とは早さと重さが全然違うわけで。
(自分もすでにその仲間入りをしているのですが・・・)
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開始30分前に現場に入ると、なんと皆さん整列して待ってくださってます。
準備万端、待ちかねたの体です。
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それでもおなじみさん皆が来れたわけではありませんでした。
コロナの状況下で家族から止められている方もいらっしゃるのかな。(病気ではなさそうですが)
初参加の方が欠けた歯の穴を埋めてくださってます。
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いつもならおしゃべりしながら参加者のリクエストを気長に引き出すところです。
でも今回は趣向を少し変え候補曲リストをあらかじめ用意し、こちらから提示していくことにしました。
なにしろ久しぶりの音楽会なので少しでもたくさん歌いたいでしょうからね。
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候補曲は春の歌を中心にリストアップ。
唱歌から始めます
  (「朧月夜」~「花」)
そこから歌謡曲路線へ。
  (「港が見える丘」~「十九の春」~「北国の春」~「さざんかの宿」~「アンコ椿は恋の花」)
アンコ椿が出たところで都はるみ特集へ
  (「好きになった人」~「涙の連絡船」)
連絡船がらみで「津軽海峡冬景色」~「函館の女」
函館の女に続いてご当地ソング
  (「長崎は今日も雨だった」~「潮来傘」)
最後はお約束の「上を向いて歩こう」。
リフレーンをえんえんとくりかえし、絶好調のうちに終幕。
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1時間(ちょい、いやだいぶオーバーしたけど)でなんと14曲も歌いました。
参加者とのおしゃべりも挟み、なんとも密度の高い音楽会になりました。
初参加の方も大いに楽しんでいただけたとのことでほっとしています。
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次回は6月18日。そろそろ梅雨の頃。雨の歌を中心に進めましょうか。
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帰りがけ、いつも座を盛り上げてくれる常連のMさんが珍しくしんみりと。。。
  先生
  私らには時間が少なくて、
  2ヶ月後にはもういないかもしれないんだから
  目も見えなくなってるかもしれないんだから
  2ヶ月なんて言わずに毎月やってよ
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  先生じゃないでしょ
  Mさんたちが先に生まれてるんだから
  そちらが人生の先生
  できれば毎月やりたいけど、施設の都合もあるからね
  生きる張りにして待っててよ、首長ぁくしてね
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コロナの蔓延のおかげで、高齢者にとっての時間の大切さを考えさせられる「さんすまいる歌声音楽会」でした。

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2020.12.14

【がっつり!「さんすまいる歌声音楽会」】

隔月でデイサービス・さんすまいるでやっている歌声音楽会。
今回は初参加の方がお二人いらっしゃいました。
逆に常連お二人の姿が見えないのが寂しい。
老人施設での音楽会ではこういう「新陳代謝」はつきものです。
介護度の関係で特別養護老人ホーム(特養)に行かれる方もいれば、残念ながらお亡くなりになられる方もいます。
そういう方がお好きだった歌はできるだけその後も歌い続けるようにしています。
人生の「冬の時代」を少しでも温かく、前向きに生きるための一助になれればいいな。
僕自身も「冬の時代」に足を踏み入れてからというもの、ますますそんな思いが強くなっています。
で、「さんすまいる歌声音楽会」では一つの目標を持って臨んでいます。
「明るく、楽しく、さりとて無理せず。等身大の音楽会を」
今日はいつにもましてはじけました。
一昨日初めての無観客演奏をやり、目の前にオーディエンスのいるありがたさを痛感したせいでしょうか。
選曲は参加者のリクエストにお応えしつつも、無観客演奏でやった演目を中心に歌いました。
常連の方はもちろんのこと、初参加の方も目を輝かせて歌ってくれます。
歌を肴におしゃべりにもぶぁーっと花が咲きます。
ノセられた僕もまた舌好調。
あっという間の1時間でした。
ここ2か月、古関裕而の歌をかなり根をつめて歌ってきました。
実はそのきっかけになったのは前回、10月のさんすまいる歌声音楽会でした。
「イヨマンテの夜」のリクエストを頂戴したことがきっかけでした。その時は全く歌えず、次回への宿題にさせてもらいました。
この歌を集中的に練習する毎日でした。
そんな中でNHK朝ドラ「エール」が最終回を迎えます。
「イヨマンテの夜」だけではなく、他の古関裕而の唄を学ぶ絶好の機会を得たのでした。
今日は「船頭可愛や」「イヨマンテの夜」「高原列車は行く」の3曲のみでしたが、持てるものをすべてつぎこんだ歌唱になったかなと思います。
「船頭可愛や」では体内に気をためこみ、声を圧縮して絞り出す唱法。
「イヨマンテの夜」では喉を解放し、体を管楽器のように響かせる唱法。
底抜けに明るく、希望を感じさせるような唱法(笑法?)の「高原列車は行く」。
「明るく、楽しく」
そして勢いのあるいい音楽会になりました。
年内、残された音楽会は来週日曜日の「みんなで歌おう・弾こうフォークソング」のみとなりました。
同年代による歌声音楽会で2020年を〆ます。
今日の勢いをそのままぶつけられればいいな!

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2020.10.17

さんすまいる歌声音楽会 秋

 

デイサービスでの歌声音楽会でした。2ヶ月毎(偶数月)の開催なので季節の移り変わりがドラスティック。
前回は真夏のど真ん中、「夏の歌大特集」でした。
打って変わって今回はこの秋一番の冷え冷えした一日。
「秋の歌大特集」で臨みます。

変化があっておもしろい反面、けっこう準備が大変。
みんなで歌うことが主眼の音楽会だから、歌いつけた歌でも参加される方々のキーやテンポを考慮してアレンジし直します。
原曲の雰囲気を残しながら、できるだけシンプルに。

1時間枠の中での歌とおしゃべり。奏れるのはせいぜい10曲程度です。
でも何を歌うのかを決めるのは僕ではなく参加される
皆さん。選択肢を作るため(広げすぎないため?)30曲くらいは用意します。
大半は歌われることなく終わるんですが、それでもこの下準備はけっこう楽しいものです。

そんな中で今回皆さんに選ばれた栄えある歌たちです。

 ・リンゴ村から~夕焼けとんび(三橋美智也)
 ・与作~函館の女(北島三郎)
 ・ふるさと~千曲川(五木ひろし)
 ・学生時代(ペギー葉山)
 ・里の秋~紅葉~旅愁(童謡・唱歌)

これにリクエストが加わります。
 ・涙の操(殿様キングス)→女の道(ぴんからトリオ)
 ・高原列車は行く(岡本敦郎)

そしてエンディングテーマ「上を向いて歩こう」(坂本九)。

それにしても皆さん三橋美智也さんがお好きなご様子。目の輝きが違う。
歌うのは好きだけど不得手で、普段は小声で口ずさんでいるだけの方がいらっしゃいます。
その方が「リンゴ村」が始まった途端に目がキラキラ!調子っぱずれだけど大声で歌い出します。
他の方々もそれに合わせるかのようにボルテージが上がり、一気にヒートアップ!
その流れで「夕焼けとんび」の大合唱へ。

昭和30年代始めの歌です。
皆さん80代前半のお年頃。思春期~青春期の多感な頃にラジオから流れる三橋節に胸を熱くしてたんでしょうね。

ここで僕の仕掛けがひとつ入ります。
北島三郎さんの「与作」へ。
三橋美智也さんは上磯出身。北島三郎さんは知内(しりうち)出身。
お二人とも函館近郊の出。
話は千代の富士(渡島福島出身)にまで飛び火し、函館湾沿岸の産業・観光案内に。
もちろん〆は「函館の女」。

いやんや、今回も おもしょがったなぁ。(面白かったの北海道弁)

帰りしな、皆さんが手をキラキラキラッと回しながら見送ってくれます。


 「おいおい、ここは保育所ですかい!」


そうお応えしてデイサービス・さんすまいるを後にしました。

 

次回は12月14日(月)。
季節は冬。
冬の歌を準備しなきゃね。

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2020.08.10

ライブ勘  さんすまいる歌声音楽会

昨日デイサービス「さんすまいる」で歌声音楽会を開催することができた。
この音楽会は2014年から隔月で続けてきたので40回以上もやっている勘定になる。
参加されるご老人たちともすっかり打ち解けあっており、阿吽の呼吸で音楽会を進めてきた。

だのに今まで感じたことのない不安が。
不安は前日から頭をもたげ始めた。歌い出す直前まで落ち着かない気分が続いていた。
唄を歌うこと自体には不安はない。
でも参加者ひとりひとりの発する「信号」を敏感に受け止めることができるか。
即座に対応することができるのか。
それを何らかの形にすることができるのか。
これが不安の正体だった。

ご多分に漏れず、コロナ禍の故に予定されていたライブは半分以上がいまだ「自粛」状態。
毎週ライブを重ねることが長年の生活パターンだった。
ひとつのライブはもちろん本番。
本番でありながら前週のライブのおさらいだったり、次のライブの準備だったりもした。
それを積み重ねながら「歌の精度」を高めるだけではなく、お客さまとキャッチボールをくり返す感覚を磨いてきた。
これを「ライブ勘」というのだと思う。

4ヶ月にわたるライブ自粛期間の影響で「ライブの連鎖」はズタズタになってしまった。
結果「ライブ勘」に自信がもてなくなり、漠とした不安にとらわれてしまったのだろう。

おかげさまで「さんすまいる歌声音楽会」は「不安感」も杞憂に終わり大いににぎわった。
歌い始めると同時にスイッチがバチンと入り、
普段にもまして頻繁で濃密なキャッチボールになった。
僕以上にご老人たちが生歌音楽会に飢えていたご様子。
つまりはご老人たちの熱気に煽られ、僕はすっかりノセていただいた。

2週間後に「おーるどたいむ de ライブ」を予定している。
それまでは1本もライブがない。
今までなら市場やお好み焼き屋さんでライブがあり、そこで歌や「ライブ勘」をたたき上げることができた。
それができない以上、本番で如何に早くライブに入り込めるかが鍵になるだろう。

「ライブの連鎖」がとぎれてしまった「コロナ時代のライブ」の試金石になりそうだ。

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