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2025.12.01

健在なり! わが青春の石井荘

このところかつて住んでいたところをめぐる小さな旅をやっている。
今回は僕が青春時代を過ごした「石井荘」近辺を歩いた。
かなり以前に当時石井荘で寝食を共にした唐澤君と石井荘をさがしに来たことがある。
でも残念ながら探し当てることができなかった。
それほど景色が変わってしまっていたんだ。
当時石井荘の周辺は畑や梅林が多かったんだけど、住宅が密集していた。
くねくねと曲がる細い路地が交錯する中で石井荘を見つけることはできなかった。
もう取り壊されてしまったんだろうなと思っていた。
今回遠い記憶と勘を頼りに密集する住宅街をさまよっていた。
せめて跡地だけでも探し当てたいと思っていた。
不意にカンカンカンと何かを叩く音が聞こえてきた。
音のする方へ足を向けると、懐かしの石井荘の鉄階段が目に飛び込んできた。
  まだ、あったんだ!
鉄階段は何度か塗り直したんだろうが、間違いなく昔のままだった。
階段を上り下りする音が不意によみがえる。
道路に面した水場の窓もあの日のまま。
そうだった。
僕は2階にある水場から1階の道路までホースでつないで水浴びをしていた。
銭湯代を浮かすため苦肉の策だった。
道路は石鹸の泡だらけになったがとがめる人もなかった。(石井荘の怪人というニックネームは頂戴したが)
石井荘は2階建ての木造アパートだった。2階がアパートで、1階は大工さんの作業場だった。
朝早くから鳴り響くチェンソーの音が目覚ましがわりだった。
6部屋あるアパートには高校時代の同級生・唐澤君、僕の弟、大学の同期生、そして岩手から上京した予備校生やデパートで売り子をしていた美人さんが入居していた。
唐澤君は高校時代一緒になんちゃってジャズ・バンドをやった音楽仲間。
これに弟が加わり、共同生活が始まった。
やがて大学の同期生や予備校生、さらに美人さんも加わりちょっとしたコミュニティになった。(コミューン石井荘と呼んでいた)。
石井荘にはそれぞれの友人たちが頻繁に出入りした。
酒を酌み交わし、酔っ払ってそのまま寝泊まりするなんてことはざらだった。(4畳半に10人近くが雑魚寝することもしばしば)
騒ぎが過ぎると大家のおばちゃんが飛んできた。
  ちょっと!あんたたち!!
  なにやってんのさ!!
でもその目は笑っていた(ような気がする)
.
鉄階段の下から2階を見上げながらしばしたたずんでいた。
そんな古い記憶を掘り起こしながら。
石井荘は今も1階は大工さんの作業場。
2階にも誰か住んでいるような気配がある。
今の住人たちがどんな暮らしをしているんだろうなんて妄想を膨らませながら石井荘を後にした。
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ここで過ごした数年間が僕の(僕たちの)青春の大きな1ページだった。

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