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2024.10.09

さらば「あすなろ山の会」

65年の歴史をかさねてきた「あすなろ山の会」がその幕をおろした。
会員はみんな歳を重ね、自由に山登りを続けるのが難しい年齢となった。
この10年は会としての山行もままならず、個人山行主体となった。
それぞれの山行記録を会報「あすなろ通信」に投稿することくらいしかできなくなった。
決定的な出来事がふたつあった。
ひとつはコロナの影響。
会としての山行がこれをきっかけでまったくできなくなった。
もうひとつは「あすなろ山の会」長老として会の支柱だった大杉二郎さんが昨年亡くなったこと。
これが決定的だったように思う。
二郎さんは確かに最長老のひとりだったけれど、初期メンバーはみな御年90歳に近い方々ばかりだ。
僕はあすなろ山の会では一番の若者。
その若者からして70歳の峠を越えている。
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最後の集まり(解散式)が小石川後楽園の涵徳亭で行われた。
人生の大半を「あすなろ山の会」と共にしてきた者が集まり、昔話に花を咲かす。
国内の山はもちろんだが、アルプス山脈に挑んだ人たちもいれば、ヒマラヤトレッキングに何度も通った先輩方も多い。
富士山やその近辺の山々にこもり、富士山写真の撮影に情熱を燃やす先輩もいる。
谷川岳の一の倉沢の初登に挑み完登した強者もいる。
話題にはことかかない。
僕が「あすなろ」で学んだ一番大きなこと、それは山を楽しむこと。
でも楽しむことのほんとうの意味は、しっかりトレーニングを積み準備を重ね自分を追い込まなければならないということだ。
そういうことがなければほんとうの意味で「山を楽しむ」ことにつながらない。
解散式に出席された方々は正直若い頃の剛健さからはほど遠かった。
大病された方もいれば、かつての健脚ぶりが嘘のようにストックをついてヨレヨレと歩く方もいる。
でも皆さんその年なりに、身体の状態なりに日々トレーニングを重ねている。
もう二度と山には入れないかもしれない。
にもかかわらずご自分にできる範囲のトレーニングを今もまだ積んでいらっしゃる。
トレーニングは決して特別なことではなくすでに日常なんだろう。
ストックをつきながらよたよたと歩く先輩方の姿を思い浮かべる。
涙が出る。
解散式の最後に「あすなろの歌」をみんなで歌う。
この1曲を歌うためだけに僕はギターを背負っていった。
「あすなろの歌」は40年前、創立25周年に向けて作った歌だ。
当時30歳だった僕が先輩方の山旅の姿をイメージしながら書いた。
「あすなろ山の会」の集まりがあるたびに歌い続けてきた。
それは山の中であったり、亡くなった大杉二郎さんの「あすなろ小屋」で20年に渡って毎年やってきた「森の音楽会」だったりした。
「あすなろの歌」ができてから40年の時を経た。
山の会の最後になってようやっとこの歌に現実味が生まれたような気がする。
  長い道のりを 君は歩いてきたんだね
  想い出しておくれよ さまよい歩いた日々を
  ザックに夢をつめて はるか山の彼方
  いつまでこの道を 君は歩き続けるのか
  何を求めてゆくのか 何かがそこにあるのか
  旅するための旅を また始めるのだろう
  あすなろ あすなろ 心の旅人
  あすなろ あすなろ 心のふるさと
みんな長い道のりをお疲れさまでしたという気持ちもある。
同時にこれからも「旅するための旅をまた始めるのだろう」というメッセージにもつながるように思う。
大切に生きれば充分に長い人生の旅路。
「明日はなろう檜になろう」と日々を一生懸命生きるという「あすなろ精神」は人生の終盤を迎えた今だからこそ問われることなんだろう。
「あすなろ山の会」昨日をもって解散した。
そして「あすなろ」は文字通り「心のふるさと」となった。
こんな写真が出てきた。「あすなろ山の会P2」での春山山行。(P2とはPeak2という若者グループ)
雨飾山に行った時の写真。(多分30代の中頃だったと思う)
この時は頂上直下で大雨にと雷に襲われた。(雷が横に走るのを初めて見た)
馬の背のくぼみにテントを張り一晩中緊張で眠れなかった。
翌朝はウソのようなピーカン。でも頂上を目指す気力も萎えて早々と下山した。
下山途中、雪原を渡り終えた直後、雪崩が起き冷や汗をかいた。
この写真は安全地帯まで降りてほっとしたところ。
P2ではよく板さんと組んであちこちの山や沢を登った。
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