にっぽんブルース史と古池エンタ幸介
すでに多くの人がギターマガジン誌のこの特集について書いておられる。
僕もまた特別の想いでこの特集記事を読んでいる。
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日本のブルース黎明期は1960年代半ば~70年代半ばと言われている。
関西から火がつき全国に飛び火し、東京でも夜な夜なブルースセッションが行われていたという。
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僕自身はこの頃は北海道の片田舎で、社会派フォークソングに明け暮れる日々だった。
だからブルース黎明期について直接は知らない。
(今思えば最初にブルースを聴いたのは中学時代にゴールデンカップスのアルバム。ブルースがなんたるかすら認識していなかった頃だ)
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でも3歳年上のイトコ・古池エンタ幸介はすでにこの頃上京しており、黎明期のブルース・ムーブメントの渦中にいた。
エンタは中学生だった僕にギターの手ほどきをしてくれた兄貴分だった。
函館西高の文化祭でエンタのたたくドラムを初めて聴いた時の胸の熱くなる想いを今も忘れていない。
ビートルズのカバーだったように思う。
あちらこちらから「えんちゃーん!」と黄色い声が上がっていた。体育館は興奮のるつぼだった。
そんなイトコに僕は憧れた。まるでアイドルのような存在だった。
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その後エンタは上京しブルースの洗礼を受ける。
南阿佐ヶ谷ブルースバンドや、レイジー・キム・ブルース・バンドでドラムをたたいていた。
南阿佐ヶ谷ブルースバンド時代は初来日したB.B.キングの前座を務めたこともあったという。
僕はその時代のエンタを知らない。
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エンタと再会を果たしたのは互いに北海道を離れて40年近くたってからだった。
その頃のエンタは居酒屋ENTA巣のオヤジだった。
でも音楽への情熱は冷めることなく、エンタ巣を訪ねるたびに熱く語り合った。
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Guitar Magazines誌の「にっぽんブルース」特集が発売されるのを心待ちにしていた。
それは若き日のエンタが胸を熱くした時代を垣間見たいとの思いだった。
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まさか「古池エンタ」の名が活字になっているはずもないと思っていた。
でもレイジー・キム(中川公威さん)や吾妻光良さんのインタビュー記事にほんの一部だがその名が上がっていた。
驚きもし、うれしくもあった。
レイジー・キム・ブルース・バンド時代の写真まで添えられていた。
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まだ読み始めて間もないので、これからじっくりなめるように読みたいと思っている。
それにしても思うのは1960年代半ば~70年代半ばはいろんな意味で世の中が動いている時代だった。
政治情勢も70年安保やベトナム反戦運動が盛り上がりを見せていた。
フォークシーンもまた社会派フォークから「四畳半フォーク」そして「ニュー・ミュージック」へと変化の時だった。
そんな時代背景も念頭に置きながら「にっぽんブルース史」を読み進めて見ようかと想う。





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