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2023.08.30

「ふきのとう」 「おーるどたいむ de ライブ 夏の陣」を終えて

【ふきのとう】
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おーるどたいむ de ライブ 夏の陣の第2部はフォーク・デュオ「ふきのとう」を特集した。
シリーズ「北海道の生んだ歌い手たち」の第5弾だ。
ふきのとうには熱烈なファンがいたが、その知名度はさほど高いとは言えないかもしれない。
ふきのとうの歌を知っているというお客様はあまりいなかった。
(熱烈なファンだった方はおひとりいたが)
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第1部は「誰もが知っている歌の数々」をお客様参加型の、さながら歌声音楽会のようなステージだった。
一転して第2部では「誰も知らない歌の数々」をじっくり聞いていただくステージになった。
「白い冬」「風来坊」などスマッシュ・ヒットした歌はあえてやらなかった。
「知られざる名曲」を演じ、紹介するステージにしたかった。
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選んだ歌は次の通り。
  1.水色の木漏れ日
  2.春雷
  3.雨はやさしいオルゴール
  4.やさしさとして想い出として
  5.五色のテープ
  6.夜
  7.想い出通り雨
  8.それぞれの幸せ灯る頃
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ふきのとうがデビューしたころ僕は高校生だった。
札幌と雨竜町出身の二人が織り成すハーモニーは美しかった。
クラスメイトにも追っかけをするほど熱烈なファンがいた。
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僕はといえば、ふきのとうを軟弱な「軟派系フォーク」としてちょっと小ばかにしていた。
それというのも当時の僕は反戦歌やプロテストソングといった社会派フォークに心酔していたためだった。
そんな自分を「硬派系フォーク」と自認していた。
(「〇〇系フォーク」といういい方は「三派系全学連」という学生運動の呼称をもじっていた)
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50年の歳月を経てあらためてふきのとうに挑戦してみて心打たれた。
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  なんて繊細なんだろう
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ふきのとうの歌の世界は青春期の若者の揺れ動く情感を映し出していた。
恋に胸をこがし、恋に破れ、傷心した心を引きずるあの頃の自分を思い出させてくれる。
(バンカラ、弊衣破帽を自認する「硬派系」男子だった僕は、人様にはそんな姿をおくびにも出さなかったけど)
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若者の繊細な情感を歌いたかった。
特にそういう歌を選んでいったら初期のころのアルバムからの選曲が多くなった。
触れれば壊れそうな若者の情感を、70歳を前にしたオッサン(ジジイ?)にはたして歌えるのかという不安もあった。
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そこでそれぞれの歌の世界から一歩引いたところから眺めるという立ち位置で歌うことにした。
そのためには自分の存在を極力なくす必要があった。
情緒過多に陥らぬよう、淡々と演じようと思った。
演者の情緒を排することで歌の世界の情景が逆に浮き彫りになればいいという挑戦だ。
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今回もふく助さんがベースを弾いてくれた。
これがとてもいい効果を発揮してくれた。
歌の輪郭をベースが出してくれるので、僕はシンプルなストロークを弾けばよかった。
その上に乗って淡々と歌うことができた。
ギター一本で歌う場合、情感を表現するために経過音や装飾音を挟み、ピッキングにも強弱をつける。
時にはブレイクを挟んだり、曲中にテンポを変化させることも常套手段。
今回やるふきのとうではそういうものは不要で、むしろ邪魔になると感じていた。
だからベースには大いに助けられた。
歌い手としての感情をコントロールすることができたように思う。
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最後の歌「それぞれの幸せ灯る頃」にはらんぶりんまっくさんにもマンドリンで参加してもらった。
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実はこの歌はステージの中で大きな位置を占めていた。
そこまではひとつひとつの歌物語を紡いできた。
50年前の若者の心をちょっと横から眺めるように歌ってきた。
しかしこの歌だけはちょっと歌の中に入り込んで、感情を強めに投影して歌った。
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  自分を見つけるところから始まる
  ほんとうの旅があるような気がする
  手探りしながら歩いてる僕を
  君は待っててくれるだろうか
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過去と現在、そして未来をつなぐうたという位置づけだった。
らんぶりんまっくさんのマンドリンには華がある。
過去を振り返るウェットさと明日につなげる希望への思いが同居ているように感じた。
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またステージ進行上も大切な1曲だった。
1部では歌声音楽会的なヒューマン・ジュークボックスにお客様は気持ちを開放してくれた。
2部のふきのとうではそれぞれの歌の世界に聞き耳を立てるようにじっくり聴いていただけた。
エンディングテーマの「街」、そして勝手にアンコールの「さよならが云えない」につないでいけるのは「それぞれの幸せ灯る頃」しかなかった。
ライブの終わりは明日に向かってしっとりと、そしてにぎやかに〆たい。
カントリータッチのこの歌はその意味でもぴったりだった。
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お客様と一緒にしっとりと歌う「街」ではいつものことながら玲子ママのハンマーダルシマーがいい情感を演出してくれた。
出演者全員で奏でるにぎやかなブルーグラスタッチの「さよならが云えない」。
やはりブルーグラス・フィドラーの椋野マスターが引っ張ってくれる。
らんぶりんまっくさんのマンドリンもソリッドなソロで突っ込んでくる。
ムチャぶりでふく助さんにベースソロを弾いてもらったがこれもよかった。
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一緒に演奏してくれた皆さん、ありがとうございます。
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場を盛り立ててくれていただけました。
そして時にじっくり耳をそばだて、時に一緒に歌い、チャチャを入れ、おしゃべりに加わってくださったお客様ひとりひとりに深く感謝いたします。
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次回「秋の陣」は11月19日(日)15:00からの予定です。
「秋の陣」では山形県長井市で長年オカリナ奏者として活躍してこられた金子俊郎さんと、数年ぶりの共演が果たせそうです。

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ヒューマン・ジュークボックス 「おーるどたいむ de ライブ 夏の陣」を終えて


【ヒューマン・ジュークボックス】
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「おーるどたいむ de ライブ 夏の陣」の1部はいつもとちょっと切り口を変えてみた。
従来は3か月間の近況報告的なことを季節の歌に乗せて歌うというスタイルだった。
今回は近況報告はなしにして、「夏の日の少年」というテーマで少年だった頃何気なく口ずさんでいたヤツを次から次へと歌い継いでいった。
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僕が小学生から中学生だった頃ラジオやテレビから流れていた歌謡曲ばかりだ。いわゆる流行歌と呼ばれるものだ。

その頃僕は「歌謡曲少年」で何も考えず口ずさんだり、蛮声を張り上げていた。
高校生になり自意識なるものが芽生え、理屈っぽくなり、音楽にもこだわりだした。
洋楽やフォークソングに惹かれ、歌謡曲を一段下に見てちょっと小馬鹿にし始めていた。
今回歌ったのは鼻持ちならない高校生になる前の、小僧だった頃邪気なく歌っていたものばかりだ。
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ここ数年(特に「コロナの時代」以降)ご老人たちと歌う機会が増え、昔の流行歌を歌うことがずいぶん増えた。
歌の意味や状況、背景を深堀りしながら歌ううちに流行歌の持つ魅力を再認識するようになった。
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歌がまだお茶の間にあったころだ。
じいちゃんもばあちゃんも、父さんも母さんも、そして子供たちも同じ歌を聞いていたころだ。
しちめんどくさい理屈などこれっぽっちもない。
いい歌かどうか、琴線に響くかどうかだけしかなかなかった。
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夏の歌だけに絞っても軽く数十曲を超えてしまった。
その中から選りすぐりやっとこさ15曲に絞った。

自分のフィルターを通しながらも、できるだけ元歌の雰囲気を残すことが目標。
自分の色や存在をできるだけ消し、歌それ自体の持つ力とお客様ひとりひとりの「遠い日の記憶」に頼るかたちになった。
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演者の僕はまるでジュークボックスのよう。

ただジュークボックスだけでは味もそっけもない。
そこでお客様も自由に口ずさんだり楽器で参加してもらえるようにした。
聴く楽しみ、口ずさむ(歌う)楽しみ、奏でる楽しみを自由に満喫してもらいたかった。

皆さんのはじけんばかりの笑顔、楽し気なチャチャや軽口。
おそらく充分に楽しんでいただけたのではないかと思う。
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次々流れていく歌はさながらジュークボックスであり、そこに人の参画が加わって作り上げられていく空間。
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  こりゃぁ「ヒューマン・ジュークボックス」だな

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そんなことを思いつつ、あっという間に1部は終わってしまった。

こんなやり方のライブがあってもいいかな。
(早くも「秋の陣」ではしっとり系の歌をやってほしいとリクエストを頂戴してしまった)

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2023.08.14

【お知らせ】おーるどたいむ de ライブ 夏の陣 2023

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8月27日(日)15:00より
Live cafe おーるどタイムにて開催させていただきます。
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年4回、季節ごとのライブ。
四半期ごとの近況報告であったり、テーマを設けてのステージを展開してきました。
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「夏の陣 2023」は温故知新が全編通してのテーマ。
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その中で1部を「夏の日の少年」と題してお届けします。
少年時代に好きだった歌は数々あれど、夏の歌を中心に歌いたいと思います。
少年時代といっても幅が広い。
法律上は6歳~20歳と解釈されることが多いそうですが、感覚的には小学生~せいぜい中学生くらいまでかなぁ。
高校生くらいになると色気づいてきて、自意識は過剰気味に。
音楽もこだわりをもって聴いたり、歌ったりという風になってきます。
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1部ではそうなる以前のなんのこだわりもなく、無邪気に聞き・歌った歌の数々をやりたいと思います。
多分そういう歌たちってのは自分の音楽体験の根っこのところでベースになっているんだという気がします。
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そして2部ではフォークソングにこだわりはじめた高校生の頃、そのバックグランドに流れていた、フォークデュオ・ふきのとうに挑戦したいと思います。
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プロテストフォークにこだわっていた高校時代、実はふきのとうにはあまり惹かれてはいませんでした。
「硬派系プロテストフォーク」に対して「軟派系フォークソング」なんていいながら、自分は組みしないという立場をとっていたのです。
でも同級生の中にはふきのとうの追っかけをやっている友人もいて、背景では知らずのうちに流れていたふきのとう。
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あらためてちゃんと聴き直してみると、青春時代のピュアな感覚をみごとに表わしていて、新鮮に感じられました。
シリーズ「北海道の産んだ歌い手たち」の第5弾でもあるふきのとうのピュアな世界を、70歳を前にしたジジイがどう表現できるのかという挑戦でもあります。
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なおこのコーナーでは前回に引き続き、数曲をふく助さんにベースで参加していただく予定です。
皆さまのお越しをお待ち申し上げます。

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2023.08.02

2023年08月のライブ・音楽会予定

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0809(金) 喫茶店JUNE たそがれ歌声音楽会 

時 間  16:30~18:30
場 所  喫茶店JUNE(tea room ジュン)
料 金  ¥1000 (1ドリンク付き)
水先案内人 Martin古池

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08月13日(日) 歌声喫茶@民家ライブハウス・楽龍時
時 間  13:00~15:00
場 所  民家ライブハウス・楽龍時
      HP
      アクセス
水先案内人 Martin古池
参加費  ¥1000+オーダー
★新たな歌声音楽会、今回で第7回目です。
 昭和の歌謡曲を中心としつつも、
お客さまのリクエストをもとに進めていきます。
 毎月第2日曜日の開催
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08月17日(木) SOMPOケア 配信ライブ
時 間  15:00~16:00
場 所  民家ライブハウス・楽龍時
★日本各地のSOMPO関連グループホームをオンラインでつなぐ歌声音楽会
 見学・応援大歓迎!(お気に召したらの投げ銭ライブ)
  毎月第3木曜日開催
Sompo

 

08月19日(土) 下関 こぐま広場
時 間  調整中
場 所  下関 こぐま広場
08月25日(金) さんすまいる歌声音楽会
時 間  13:30~14:30
場 所  デイサービス さんすまいる
隔月でやっている歌声音楽会。
地元越谷・蒲生のデイサービスで地元のご老人たちと集う
歌とおしゃべりの1時間。
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08月27日(日) Sおーるどたいむ de ライブ 夏の陣 2023
時 間  15:00~17:00
場 所  場 所  Live cafe おーるどタイム
      https://oldtimemk.exblog.jp/
出 演  Martin古池
木戸銭  ¥1000(別途ご注文を)
★季節ごとの定例ライブ。
 今回のスペシャルコーナーはシリーズ「北海道の産んだ歌い手たち」の5回目。
 「ふきのとう」に挑戦します。
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08月28日(月) 音楽サロン@OHANA
時 間  18:00~20:00
場 所  音Cafe OHANA
      総武線 船橋駅 南口 南口 徒歩10分
      京成線 京成船橋駅 南口 徒歩8分 
      HP
      アクセス
水先案内人 Martin古池

★新企画の4回目です。
音Cafe OHANAを舞台に「我が青春の歌物語」をテーマにした音楽会。
聴くも良し、歌うも良し、弾くもよし。
何でもありの音楽会。
Martin古池が水先案内人を務めさせていただきます。
毎月第4月曜日18:00から開催中
08月04日(金) ギター・ウクレレ・ワークショップ@JUNE
08月29日(火)→仮
時 間  16:00~18:30
場 所  喫茶店JUNE(tea room ジュン)
料 金  ¥1000 +オーダー
水先案内人 Martin古池
★8月29日は仮予定です。変更があった場合あらためてお知らせいたします。
2023_08_04

8月 毎週土曜日 青空演奏

時 間  12:30~16:00
場 所  越谷中央市民会館前の川沿い芝生広場

*8月19日は下関に遠征のためお休みします

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