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2023.02.21

松本零士 逝く

2023_02_20
50年前、それまで暮らしていた三畳一間の下宿を脱出し、「大四畳半」での暮らしが始まった。
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「無芸大食人畜無害」ではあったが、いつも腹を空かせていた。
納豆かキャベツが主食で、腹いっぱいラーメンライスを食べることが夢だった。
それでも「大四畳半」には自由があった。
酒瓶を片手に絶えず友が出入りしていた。
米に困っても酒に困ることのない日々だった。
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そんな「我が青春の石井荘」時代に愛読した漫画があった。
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『男おいどん』だ。
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自分の暮らしぶりにあまりにもにかよった主人公、大山昇太に親近感を覚えた。
どうもこうもならないような日々を送りながら、大山昇太は前向きだった。
自堕落に陥ってもおかしくない暮らしをギリギリのところで踏み止まる。
辛い心情をトリさんにだけ語る。「トリよ、おいどんは負けんのど!」
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大山昇太は若き日の自分だった。
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数年後、僕は大学を退学し印刷会社に就職した。
就職といえば聞こえはいいが、新聞広告を見て応募し運よく拾われたのが実際のところだ。
新聞広告に書かれていたであろう一文をつい見落とした。
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「夜勤あり」
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経済的にある程度安定したのは夜勤手当のおかげだろう。
でもそれと引き換えに「自由」を失った。
そう感じていた。
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その頃愛読したのが『キャプテン・ハーロック』だった。
自分の信じるもののためにのみ命をかける、そうである限り心は自由だというハーロックに憧れた。
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『銀河鉄道999』の主人公、星野鉄郎に大山昇太とキャプテン・ハーロックのにおいを感じていた。
大山昇太的な鉄郎が物事に体ごとぶつかり、跳ね返されながらハーロックのような「漢」に育っていく姿。
共感を覚えた。
自分自身もそうありたいと願った。
それは今も変わることがない。(もっともキャプテン・ハーロックには未だなれずにいるが)
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やがて長男が生まれた。
「哲郎」と名付けた。
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自分の願いを押しつけた格好だ。
今のところ長男から名前のことでクレームはついていない。
命名した時の願いまでは押し付けることはできない。
それでも頭でっかちにならず自分の体で感じたままに生きているようではある。
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大山昇太、キャプテン・ハーロック、星野鉄郎の生みの親。
そしてクイーン・エメラルダス、大山トチローの生みの親。
松本零士さんが亡くなられたそうだ。
いつかその日が来ることは人の世の理ではある。
それでも残念でならない。
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多感だった若き日に生き方の羅針盤のひとつになってくれた松本零士さん。
心から哀悼の意を表します。
ありがとうございます。

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