シャケの飯寿司(いずし)
今年も津軽海峡を渡って故郷の味「シャケの飯寿司」がやってきた。
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中学校時代の同級生S君手作りの飯寿司だ。
一昨年はシャケが不漁で高かったことと、S君のオヤジさんが病気だったこともあり飯寿司は作らなかった。
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昨年秋に親父さんが他界されたこともあり今年は作ってくれた。
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S君の親父さんは飯寿司作りの名人で、S君はその一番弟子。
親父さんが亡くなられたことで彼が名人に昇格。
親父さんが亡くなられた10月から11月は気温がグッと下がり、飯寿司作りには最適の頃だ。
おそらく今年の飯寿司はS君の万感の思いが込められた逸品だと思う。
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そんなことを思いながら飯寿司を味わっている。
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子供の頃、我が家で作る飯寿司はシャケではなくニシンだったりホッケだったりした。
シャケは高くて手が出なかったんだろう。
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大きな樽に大根やキャベツ、にんじんといった野菜と魚を何層にも積み重ねていった。
固く炊いた米や麹も同時に挟んでいく。
最後に蓋をかぶせ、その上に漬物石を乗せる。
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庭に立てられた小さな掘っ立て小屋(物置)の中で漬物作りは進められる。
そのままひと月くらい寝かして発酵を待ち、正月頃から食べ始める。
物置の中には飯寿司のほかにたくあんなどの樽が3~4個あったように記憶している。
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小学生の頃、漬物をつける母の手伝いをさせられた。
寒いし、手はしゃっこいし、できれば避けたい手伝いだった。
でも今思えばいい経験だった。
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内地に出てきてから一度だけ飯寿司に挑戦したことがある。
みごとに失敗した。
飯寿司作りには気温が高すぎたんだろう。
すっかりアメてしまった(「あめる」は腐る、傷むの北海道弁)
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以前帰道した折りにお土産屋さんで飯寿司を買ってきたのだが、これが旨くない。
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S君の送ってくれる飯寿司は昔ながらの懐かしい味、懐かしい香り。
親父さんの後を継いだみごとな名人技だ。
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今年もごっつぉーさん!
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