« ちあきなおみ特集 for たそがれ歌声音楽会 | トップページ | 北国の人情 »

2021.01.27

円舞曲(ワルツ)の想い出

19841
Photo_20210127231401
この歌を聴くと「喫茶 いずみ」の故・鶴岡マスターのことを思い出します。
昭和の終わり頃、僕は「喫茶 いずみ」に入りびたっていました。
店には「カウンター族」とよばれる写真家や画家などの卵が陣取り、青臭い人生論や芸術論を闘わせていました。
鶴岡マスターはそんな連中の絵や写真を店内に掲示させてくれていました。
僕は弾き語りの場を作ってもらっていました。
コーヒーを飲みに来るお客さんの前で20分程度のミニステージです。
お客さんの反応が良ければそれが30分ほどに伸びます。
それを判断するのはマスターのお眼鏡というわけです。
当時の僕はまだ30歳くらい。
フォークソングやブルーグラス調の歌を声量にまかせて歌い上げていました。
  イケちゃんよぉ(僕のこと)
  あんた、歌もギターもうまいけど
  30分も聞けばお客さんも腹一杯になっちまう
  歌は語りなんだよ
  お客さんの心にしみていかなきゃ、
  あんたの自己満足だろ
若かった僕は内心ムッとしながらも、反論することができませんでした。
事実歌い始めの2~3曲はお客さんも聴いてくれたけど、だんだん耳が遠のいていく。それを感じていたからでした。
ところがマスターが歌い始めると、お客さんがどんどん引きつけられていく。場の空気が「鶴岡節」に染められていく感じでした。
はたから見ていてそれが手に取るようにわかるのです。(目頭を押さえる人も結構いました)
悔しかった。
劣等感にもさいなまれました。
鶴岡マスターの歌は「弾き語り」というよりは「語り弾き」とでもいうものでした。
声量があるにもかかわらず、あえてそれを押し殺して歌うマスターの「技」を盗もうと躍起になりました。
「円舞曲」はマスターが得意とする1曲でした。
語るがごとく淡々と歌い進めるマスター。
言葉のひとつひとつが伝わり、情景が浮かんでくる。
  とても、、、かなわないな
そう感じ、「円舞曲」をずっと封印してきました。
「たそがれ歌声音楽会」でちあきなおみ特集をやることになりました。
30年ぶりにその封印を解き「円舞曲」を歌おうと思います。
写真のあんちゃんは30歳頃、「喫茶 いずみ」で歌う僕です。
モノクロ写真は故・鶴岡マスター。
あらためて思います。「いずみ」で過ごしたあの時間が、今の自分のスタイルの原点になっていると。
鶴岡マスターへの追悼文です。もしよろしければ。
Photo_20210127231501

| |

« ちあきなおみ特集 for たそがれ歌声音楽会 | トップページ | 北国の人情 »

ライブ at JUNE」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ちあきなおみ特集 for たそがれ歌声音楽会 | トップページ | 北国の人情 »