映画「風立ちぬ」
1976年(昭和51年)、山口百恵と三浦友和主演の映画「風立ちぬ」を観ました。
この映画が上映されたころ、気にはなりつつも見逃していました。(貧乏暮らしのどん底で映画を観るより米を買うというありさまだったので)
およそ40年ぶりにやっと見ることができました。
話は昭和17年。太平洋戦争の戦時下で結核のため富士見の療養所で治療を受ける節子(山口百恵)と大学生・達郎(三浦友和)の純愛物語。
当時結核は死の病と言われ、回復・治癒は困難と言われていたそうです。互いに惹かれ合いながら周囲の危惧や反対を押し切り婚約した二人。
達郎は大学を休学し療養所で節子に付き添います。
ところが大学生の徴兵免除が廃止され、達郎は学徒出陣、徴兵検査、出征を余儀なくされます。
出征の日、節子の病状は悪化し喀血による窒息で亡くなりました。
節子の死を知らぬまま出征した達郎が帰還した時、すでに節子の姿はなく。。。遠くを見つめながら歩く達郎の姿が印象に残ります。
「風立ちぬ」は堀辰雄が自らの実体験に基づいて、昭和11年に書いた小説です。まだ太平洋戦争以前の話で映画とは設定がずいぶん異なります。
原作は死に抗いながらも向き合っていく節子と、療養所で節子に向き合う達郎の抑制された愛情が描かれているように記憶しています。(もうずいぶん昔に読んだので詳細は忘れていますが)。清冽で透明感ある小説だったように思います。
映画はドラマチックな展開でなければ商業的にうまくないということで時代設定を変えて太平洋戦争、学徒出陣を組み込んだのでしょうか。
一見すると戦争によって引き裂かれた男と女を描いたようにも見えますが、実は「死」と向き合う者たちの純愛が本当のテーマかなと思います。その意味では原作のテーマを再現している。
山口百恵は節子のはかなさ、抑制された激しさをよく表現している。(山口百恵の隠れファンというひいき目抜きでね)
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本棚をひっかきまわし「風立ちぬ」の古い文庫本を探しました。大昔、父から譲り受けた文庫です。
僕の父は若いころ「風立ちぬ」を愛読したそうです。
父は学徒出陣で出征し、戦後やはり結核にかかりました。長いこと七重の療養所に入院していたそうです。
戦争~結核と自分の命、生死と向き合わざるを得なかった青春時代だったと思います。
加えて3歳上の姉を結核で亡くしています。
「風立ちぬ」を愛読したというのも今となるとうなづけます。
日に焼け、古ぼけた文庫本をあらためて読み返したいなと思います。(あまりに小さい書体、活版印刷のインキのにじんだ文字には難儀しそうですが)
写真は七重の療養所の頃のものと思われます。
(おいおい、結核患者のくせに煙草吸ってていいのかい)
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コメント
お久しぶりです。
元気でやっていますか?私の方、7月いっぱいで退職して、8月から福岡で暮らしています。長野の家は処分してこちらにマンションを購入して、福岡が終の棲家となりそうです。福岡には上の娘がいて、前から来ないかといわれていて、奥さんが長野より福岡がいいということで退職を機にこちらに来ました。今は何もせずに、悠々自適?
なのかどうかはわからないけど、気ままに暮らしています。出来れば、12月に札幌行きたいけど、どうかなというところです。
投稿: 水戸 光弘 | 2020.10.09 22:40
福岡に移住したことは泉田に聞いていました。
僕もだが、これからは自分のために生きるようになるね。
お互い大切に生きましょう。
12月、もし帰るんなら連絡ください。
できれば僕も行きたい。
投稿: Martin古池 | 2020.10.12 23:03