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2020.08.28

サハリンの灯は消えず

先日、北方からの引揚げ兵の話を書いた。
あの一文を書いている時、突如フラッシュバックしてきたメロディ。
もう50年以上も前のG.S(グループサウンズ)の1曲だ。

  ♩サハリンの灯は いまなお消えず♩

このフレーズが強烈にすりこまれた。
中学生だった僕は歌詞の意味など頓着なしに聴き、真似ていた。
(サハリンとはなんぞやなどとは思いもせずに歌っていた)
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サハリンとは樺太(からふと)の別称。
北海道の北に位置する大きな島だ。
1809年に間宮林蔵によって島であることが確認されるまでは半島でシベリアの一部と思われていたそうだ。
樺太の領有をめぐり、長年にわたってロシア(帝政ロシア~ソ連~現ロシア連合)との壮大な綱引きがくり返されてきた。
近年に限って言えば日露戦争以降、南樺太は日本の領土となった。
太平洋戦争時には40万人もの日本民間人が住んでいたそうだ。
それが敗戦直前になって参戦したソ連軍によって犯され、以降ロシアによる実効支配が続いている。
いわば「もう一つの北方領土」だ。

敗戦により兵士の帰還、民間人の多くは緊急脱出で樺太=サハリンの地を後にせざるを得なかった。
(軍人・軍属、民間人あわせて約30万人で残りは居残らざるを得なかったそうだ)
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    【サハリンの灯は消えず】  
 
  サハリンの灯は いまなお消えず
  俺の心に 赤く燃える
  懐かしき山 姿もかすみ
  海峡の風 白く凍る
  北国の夏は恋に似て みじかい命
  くれなずむ浜辺 フレップは 淋しく赤く
  サハリンの灯を 恋して咲いて
  ふるさと捨てた 俺を泣かす

  この霧のかげに涙ぐみ 思いで捨てた
  あの人のくれた フレップは 初恋の味
  サハリンの灯は いまなお消えず
  俺はひとりで じっと見てる

    作詞:若木香 作曲:北原じゅん
    昭和43年2月 発売

   (フレップ:コケモモの一種)
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戦後20年以上経ってから、それもグループサウンズの中で樺太への望郷の念をテーマに歌われたことに驚きを覚える。
作曲の北原じゅんは南樺太出身。樺太から引揚げてきた時は16歳。いわば人生の中で最も多感な頃だ。
帰りたくても帰れぬ故郷への思いがこの歌にはこめられている。
そう思ってこの歌を聴くとぐっとくるものがある。
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ちなみに北原じゅんの弟は城卓矢。二人は引揚げ後室蘭で育ったそうだ。
函館出身の川内広範は叔父にあたる(叔母の元夫)。
川内広範は戦後遺骨引揚げ運動、日本人抑留者帰国運動をしていた。
後に「月光仮面は誰でしょう」を始め、膨大な作詞をしている。
北原じゅん、城卓矢はこの叔父の手引きもあり音楽に関わるようになったことは想像に難くない。
(なお作詞の若木香については良くわからなかったが、作詞にあたり北原の意向を汲んでいたのではないかと想像している)

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