【からたち日記】
明日の「喫茶店JUNE たそがれ歌声音楽会」用の唄本に追補作業をしている。
昭和の流行歌の数は膨大であり、とても一気には作り上げることはできない。
毎回、少しずつ追加している。
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「からたち日記」という唄。
正直言っていままであまりピンとはこなかった。
島倉千代子さんの発声方法や歌いまわしが僕の好みとはかなり隔たりがあるためかもしれない。
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今回、初めて正面から向き合ってみた。
そしたらなんとこれがいいんだな。
まず西沢爽さんの歌詞がいい。
初恋にやぶれた乙女心の切なさがふわりと伝わってくる。
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昭和33年。
戦後の混乱がようやっと落ち着いて、「日本の明るい未来」に向かって歩みをはじめた頃の物語。
二人の間に何があったのか、ついつい妄想が膨らんでいく。
そして台詞がなんとも言えぬ風情を感じる。
このまま別れてしまっても いいの?
でも あの人は
さみしそうに目をふせて
それから 思いきるように
霧の中へ消えてゆきました
さよなら 初恋
からたちの花が散る夜でした
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遠藤実さんの旋律がまたなんとも言えずいい。
基本3拍子だが途中2拍子に変わり再び3拍子に。
多分歌詞に合わせて旋律を作ったせいなのかもしれない。
でもこの変拍子が乙女心の揺れをも表している。
そんな気がする。
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この歌詞にはこの旋律でなくてはいけないんだろうな。
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昭和のこの時代の唄はおもしろい。
古い日本と新しい日本の狭間で、微妙な感じを表してる唄がたくさんある。
興味深い唄の宝庫だね。
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