【満男の涙】
「満男の涙」
小さい頃から気の弱い、さえない男だった満男。
気の弱さは、人を傷つけまいと空気を深読みする性(サガ)なのかもしれない。
その結果、散々悩んで身をひいてしまう。
そんな満男に突然現れて去って行く寅さんは自分に人生を語ってくれた「おじさん」だった。
それはうっとしくもあり、ありがたくもあり。
もしかしたら寅さんは満男に自分の姿を見たのかもしれない。
おせっかいや、小言や、激励は自分の弱さを重ね合わせていたせいかもしれない。
時は流れた。
くるまやのとなり・タコ社長の小さな印刷工場(コウバ)はマンションに変わってしまった。この印刷工場では古い活版印刷機を回していた。(当世活版印刷自体がすっかり姿を消してしまった)
大人になり作家になった満男。
高校時代の恋人「いずみ」との再会を軸に進むストーリー。
今でも寅さんとの思い出を暖めているリリイ。
記憶の底から湧き上がるマドンナ達のおもかげ。
それぞれに思い出される寅さんの四角い顔。
姿を消して久しい寅さん。
どこかの旅の空であいもかわらずフーテンをしているものなのか。
はたまた旅路の果てに・・・。
それは誰も分からない。
「ただいま」
このひと言のために、旅に出た寅さん。
満男は「おじさん」のことを文章にしたためはじめる。
突如、万感の思いが押し寄せる。
筆が止まる。
目から涙がにじみはじめる。
満男は寅さんの話を過去形では書くことはないだろう。
今まだ自分の中に生き続ける「おじさん」に言うために。
「お帰り 寅さん」
「男はつらいよ50 お帰り寅さん」 観て
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