「朝市コンサート」 音楽実験の場
「朝市コンサート」ではいろんな音楽的な実験ができる。
今日はギターをラインに繋げて演奏する実験をした。
僕は8割ほどは生音によるライブをやっている。お客様との間に少しでも必要のない壁やベールを作りたくないという思いからだ。息づかいをダイレクトに伝えるには生音に勝るものはないと思う。
そのために歌もギターも「生」でもちゃんと伝えらることを想定した稽古を長年やってきた。
とはいえ市場のようなだだっ広く、喧騒の真っ只中で歌うのは「生」では難しいことも多い。
そこで次善の策としてコンデンサーマイクを1本立ててギターと歌を拾うようにしてきた。声とギターの音がほどよく混じり合うところの音をコンデンサーマイクで拾う。
この場合演奏方法は生音演奏とほぼ同じ。生音をまるごと拾って増幅するという考え方だ。
今日の実験はギターの出音をラインで直接アンプに送ることがポイント。多くの人にとっては当たり前にやっていることだ。でも僕にとっては(未知ではないが)あまりなじみのあることではない。
ライン使用では軽いピッキングタッチでもけっこうの音量となる。また指やピックの弦への接触音がまず強調されるようだ。ボディ鳴りの余韻音は後から付いてくる感じだった。
あまり好きな音ではない。
そこでピッキングのタッチをやわらかめにした。
またアンプのトーン調整で中低音をブーストさせないようにした。
これで比較的生音の方向に近づいた。(電気音が緩和された)
それでも音量はかなり大きい。ギター音量に合わせてボーカルマイクの位置を口に近づけた。
(普段はオフマイクぎみにしている)
この状態でいつものように歌うと音が膨らみすぎてやかましい感じになる。
そこでキーや歌い方を変えてみた。いつもより1音下げ、歌い方も声をあまり張らないようにした。
張る部分はマイクから少し離れて発声して位置調整をした。
これでギター音量とボーカルの音量のバランスはとれた。
ところがギターのカッティングがやかましくまた平板に感じられる。ダウンストロークとアップストロークの差が少なく、メリハリが感じられない。
アップストロークをやめてみた。1コーラスのつなぎめで必要な部分だけ入れてみた。これでいい感じに落ち着くことが分かった。
このやり方を見つけるのに10曲くらいは費やした。でも後半は違和感なく演奏できほっとする。
同じ弾き語りでも完全生音とギターラインどりでは奏法や歌唱法がまったく違うということを実感する。
安定して演奏できるようになった後半、ちょうどいいタイミングで時々聴きに来てくださるグループがやってきた。ベンチに腰を落ち着かせしっかり聴いてくれる。(しかも時に涙を浮かべながら!)
うれしいグループだ。
彼らの中の1人りは函館出身。
「函館物語」はもちろん、今金のお寺のご住職の歌「まだかね今金」などもやる。
そして次から次へと来るリクエストにお応えしながらあっという間に2時間は過ぎ去った。
本日はいい実験もできた。いいお客様にも恵まれた。
秋晴れのいい「朝市コンサート」だった。
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