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2019.03.21

帰天する母を送る

母が92歳の人生の幕を下ろす。
大正15年9月23日に生を受け、大正・昭和・平成と3つの時代を生きてきた。
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天寿を全うし、天に帰る。
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先週の日曜日、陣中見舞いに行った僕がかけた最後の言葉。
「がんばんなさいよ」
子供のころ登校する度に母に毎朝かけられた言葉だった。
当時は重く感じていた言葉だった。
その同じ言葉を思わず母にかけていた。
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その後1週間、母はついに醒めることがなかった。息を引き取るのは時間の問題と思われた。
知らせを聞いた弟と妹が1週間後駆けつける。
弟たちの呼びかけに意識のない母がかすかに反応する。
その数時間後、母は静かに息を引き取る。
まるで子供たち全員との別れの時を待っていたかのように。
待つことが母の最後の「がんばり」だったのかもしれない。
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「大往生」という感じではなかった。
むしろ静かに静かにろうそくの灯がすっと消えるような最期。
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92年という人生が長かったのか短かったのか。
それを問うことははあまり意味がない。
むろん平均寿命を超えたということでは長い人生だった。
けれども68歳で逝った父の人生もまた充分に長い人生だった。
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「大切に生きれば充分に長い人生の旅路」
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父が亡くなってからの二十余年。
母の日々はひとり旅だった。
それは「目的のある旅ではなく、旅するための人生の旅路」だったように思う。
身体が不自由なため自力では多くのことができない母だった。
限られたことを日々を淡々と大切に生きてきたように思う。
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それを支えてくれたのは特養の職員の皆様の献身的なサポートであり、友人たちだったように思う。
彼女が日々の暮らしに様々な不自由と不安、不満を抱えながらも大切に生きられたのはこういう方々との関わりがあってこそだろう。
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そして何よりも大きかったのは「信仰心」だったと思う。
昭和23年、24歳でカトリックの洗礼を受けた彼女は最後まで強い信仰心を持ち続けていた。
信仰心こそが生きる原動力だったのではないだろうか。
彼女の信仰心は長い年月を経て体や心にしみこみ、揺るぎのないものに固められていた。
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人の人生に問われるもの。
それはいかに生き、いかに死んでいくかだろうと思う。
生き方が死に方につながっていく。
そのすべてが「生き様」となっていくのだろう。
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母の生き方は信仰のうちに生き、信仰のうちに死んでいったように思う。
「天寿を全うし帰天する」
神様にいただいた命を大切に生ききり、やがて天に帰っていく。
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自分にはとてもまねのできぬ生き方だ。
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世の中に対して特別の影響を与えたわけでも、何事かを成し遂げたわけでもない。
決して特別な人ではなかった。
市井の一人の女が信仰のうちに日々を過ごし、天に帰っていった。
これほど強い生き方があるだろうか。
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オレにはできねぇ。とてもマネできねぇ。
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母を失った喪失感。
むろんないわけではない。
もしかしたらそれはこれから感じることなのかもしれない。
むしろ今は不思議な安堵感のほうが強い。
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「安堵感」
それは己が人生を生き切り、帰天という帰結に行き着くことができた。
それを見届けることができたことに安堵しているのかもしれない。
それは己が人生の昇華ともいえるのだろう。
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「お疲れ様」「ご苦労様」「あっぱれ」
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静かな気持ちでそういってあげたいと思う。

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2019.03.11

函館日記 2019年3月

雪はすっかり溶け、風だけが吹き抜ける中洲の町・函館。

特別養護老人ホーム・旭ヶ丘の家に母の陣中見舞い。
うつらうつら状態の母。
声をかけても帰ってくる反応は乏しい。昨年末の帰省時よりいっそう表情が乏しくなっている様子。僕の顔を観てもただうなずくのみだ。しばらくは手を握っているのだがやがてその手はポタッとベッドに落ちる。そして再び眠りの世界に。
醒めているときよりも眠りの時間がいっそう増えているとのこと。当然栄養や水分の補給は追いつかない。おそらく自分の体に蓄えてきた脂肪分を少しずつ燃やしながら命を繋いでいるのだろう。心なしか昨年末よりも母はしぼんでいるように思える。

話しかけて無理に返事や反応を待つことはやめにした。かわりにベッドのそばに椅子をおき、ギターを弾くことにした。
眠っているように見えてもどこかで醒めている部分もあるようだ。かすかだが首を動かしている。

いつものように「組曲・北の国から」を弾きはじめる。
次は母の慣れ親しんだグレゴリアン聖歌やミサ曲。そしてカトリック聖歌集から知っているものを繋げながら弾き続ける。
やがて童謡や唱歌へと変わっていく。僕がまだ幼かった頃母に歌ってくれとせがんだ歌だ。
母の反応が変わってくる。それまではあまりリアクションがなかったのに、細い指を歌にあわせて動かす。(実際は遅れがちであってはいないのだが、明らかに歌に合わせようとしている)

胸が突かれる思いがする。
60年以上も前に僕がせがみ母に歌わせた歌の数々を今逆の立場で僕が母に弾いて聞かせている。
当時僕は1~2才。まだ言葉を知らなかった。今母は92才。言葉を認識しても応えることができない。
メロディだけのやり取りであり、言葉のない会話だ。
懐かしい歌の数々はしみこんでいるせいか、母の目にはうっすらと光るものが。
それを見て僕もまた涙腺が緩んでくる。

途切れることのない3時間のギター演奏。濃密な時間だった。

帰りしな母に語りかけた。

  「がんばんなさいよ」

子供の頃、登校するとき握手をしながら母は毎朝そう語りかけた。
当時の僕はこの言葉がはむずがゆかった。そう言われる度に軽い反感を感じていた。

今母は残された最後の体力と気力でおのが命を繋いでいる。
しぶとく、しぶとく命を繋いでいる。
そんな母に僕がかけられる言葉があるとしたら「がんばんなさいよ」。

母は軽く首を振った。そんな気がしている。

おそらく僕にできる最後の親孝行は(いや罪滅ぼしだ)、子供の頃母にしてもらったこと、母にかけてもらった言葉をお返しすることだけかもしれない。
そしてそれは僕にとっての「祈り」なんだろうと思う。

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2019.03.07

ステージネーム「Martin古池」の背景

人生にはいくつかの節目があるように、音楽と共に歩いてきた道のりにも節目がある。

「Martin古池」というステージネームを名乗るようになったこともそのひとつ。

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20年ほど前にさかのぼる。

それまでのおよそ10年間、僕の主な演奏場所はライブハウス「ぶどうの木」(旧あがれば)だった。
ここで僕は数多くのソロライブをさせてもらい、様々な試みに挑戦させてもらった。
「ぶどうの木」というライブハウスとそこに来られるお客様に守られながら育てていただいた。

98117

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諸事情から「ぶどうの木」はお店をたたむことになった。
僕はその後2年ほど、自力ライブと称して公共施設やスナックなどを借り切ってライブ活動を続けた。

そしていやというほど痛感したのが、自分はいかにお店やお客さんに守られてきたかということだ。
同時に自分のライブがどれほど独りよがりなものであったかということを思い知った。

このままじゃダメだ。
不特定多数の方々にもちゃんと聴いてもらえるような歌い手になりたい。

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そう思った僕は「守られた場所」でのライブはやめて街に出た。
駅、公園などで道行く人に歌いかける「街角ライブ」を始めた。
たしか48歳の頃だと思う。

いいおっさんが街角で歌うということは、僕にとっては一大決心だった。
周囲も当初は好奇の目で遠巻きにして眺めていた。

2011

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そういう周囲の目や、なにより自分の弱気の虫と闘うために僕はステージネームをつけることにした。
それがMartin古池の始まりだった。

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Martinは無論ギターのメーカー名。
その頃Martinギターは僕の主力、代名詞的なギターだった。
それに自分の本名を重ね合わせた。

思いのままにはいかぬ街角ライブ。自分を鼓舞するためにこの名を使い続けた。

Matikadoraibu

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今でこそ不特定多数の方々を前にして歌うことが僕のライブスタイルに定着している。以前のように鼓舞することも少なくなった。(無いわけでは全然ないけど)
「Martin古池」というステージネームにこだわりもなくなった。
でも長年使い続けてきたから愛着はある。

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次の「おーるどたいむライブ 春の陣」には「ぶどうの木」のママさんが来てくれるそうだ。お会いするのは十数年ぶり。

僕がまだ「Martin古池」を名乗る前のライブスタイルと今につながるスタイルをうまく表現できるようなステージにしたいと思う。

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2019年03月 ライブ・コンサート予定

03月09日(土)  朝市コンサート

 

★都合により中止させていただきます。

 

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03月15日(金)  お好み焼きの三貴ライブ 

 

時 間    21:30~23:00
場 所    お好み焼の三貴

★都合により中止させていただきます。

 

         https://www.hotpepper.jp/strJ000181914/map/

 

通常営業中のライブです。ご自由にご飲食、おしゃべりをお楽しみください。
お供にMartin古池の歌をいかがですか。

★今月は都合により開始時間が21:30となります。

 

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03月23日(土)  朝市コンサート

 

時 間   08:30~10:30
場 所   越谷市場

        地図 http://www.koshigaya-ichiba.jp/access/

★都合により中止させていただきます。

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02月24日(日)  みんなで歌おう 弾こう フォークソング

時 間   14:00~17:00
場 所      Live cafe おーるどたいむ

         https://oldtimemk.exblog.jp/

★都合により中止させていただきます。

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03月31日(日)  喫茶店JUNE 日曜昼下がりライブ

 

時 間   14:00~16:00 (もしくは15:00~17:00)
場 所   tea room ジュン

 

      地図https://r.gnavi.co.jp/p0jfesdk0000/map/

 

昭和の香りただよう喫茶店。
昭和を彷彿とさせる歌の数々。
平成最後の年の瀬の日曜昼下がり。
ゆったりとお茶でもしながらゆく年くる年に思いを馳せませんか。
通常営業中のライブです。お気軽にお運びください。

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