あれから6年。
市場の雰囲気も客層も変わりました。
選曲やアレンジもその時々で少しずつ変わって来ました。
それでも「市場の空気のような存在になりたい」「市場の風物詩たりたい」という基本スタンスは変わらず、すっかり定着した感があります。
この先ぶれることなく市場で歌い続けるために、記念碑的なこの日記を再度掲載しました。
ご一読たまわればさいわいです。
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以下、2013年の日記
正月明けの寒い朝。
さすがに今回は人の出が悪い。
毎年正月明けはこんな感じだ。
ただでさえ寒い市場は閑散とし、冷気が足元から上り体全体を覆い尽くす。
気持ちをしっかりもたないと心身ともに萎えてくる。
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今回は年の初めということもありひとつ試みをもって臨んだ。
「市場での選曲をどうするか」
市場には飲食店のおっさんやおばさんに加え、一般客が買い物に来る。
年齢層は高めの60代が多い。かといって若めの人がいないわけでもない。
ざっと見て30代以下1割、40代2割、50代3割、60代以上4割といったところ。
結果はある程度わかってはいることだったが、あえて試してみた。
一番人出が多く、各年代層がまんべんなくいる1部をフォークソング系のポピュラリティーのある歌で固める。
いわば自分と同じ50代をターゲットにした選曲。
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食いつきは・・・やはりあまく良くない。
同年代と思しき人はともかく、上の世代、下の世代ともに関心は薄く無反応に近い。
「フォークソング」は1960年代後半~70年代に思春期・青春期を過ごした者たちの「世代の歌」なのかもしれない。
そんな思いを深くした。
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2部は一転、歌謡曲やGS(グループサウンズ)を中心に組んだ。
1960年代半ばから70年代前半の選曲。
5年ほど前に時代をシフトしたわけだ。
明らかに変わる反応。
同年代以上の人たちが反応を示してくれるようになる。
音楽がお茶の間にあった時代の歌の持つ強さを物語っている。
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音楽がお茶の間にあった時代。
ラジオやテレビを通してじいちゃん、ばあちゃん、父さん、母さん、そして子供たちが同じ歌を聞き、口ずさんでいた時代。
その後「自作自演」=「シンガー・ソング・ライター」がたくさん出没し、歌のオリジナリティが尊重されるようになる。
ポピュラリティからパーソナリティに移り変わり現在にいたっている。
フォークソングはパーソナリティ、オリジナリティ音楽のはしりなのかもしれない。
(オリジナリティは加山雄三や荒木一郎から始まったという人もいる)
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話がわき道にそれてしまった。
中高年を中心に雑多な人が通り抜ける市場でのコンサート。
選曲や「ステージ」のやり方をどうすればよいのか。
どうすればより多くの人に受け入れられ、さらに喜んでもらえるか
これがこの項の目的。
「バランスの良さを保つ」
これが大事なのかもしれない。
50代後半~60代以上の年齢層の体にしみこんでいる歌を中心に組みつつも、要所要所に他の音楽を配していく。
歌謡曲を中心に歌いながら、ところどころにフォークソングやカントリーやシャンソン、さらにはポピュライティこそないがイイ歌を組み込んでいく。
(今まではカントリーソングを3部に集めていた)
「朝市コンサート」の大きな目的に越谷市場の風物詩たりたいということがある。
「風物詩」とはあってあたりまえの空気のようなもの。
である以上、過度の自意識や自己主張はにあわない。
存在をあまり感じさせぬが、確かにそこにあるというのが理想なのかもしれない。
「バランス良い選曲」
これを今年一年、追求し磨きをかけていきたい。
ちなみに時折お客さんに盛り上げてもらえる瞬間がある。
そんな時はあえてバランスを崩し、「攻め」に転じればいい。
自分の色をより強く出してもいいと思う。
でもその時間帯が過ぎた時には速やかにバランスを戻し、「空気」に戻れる。
そんな感じでこの一年できればいいなと思う。
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