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2016.08.28

わが心の青柳町

 

★住む人もなく荒れ果てた生家

「わらぶきの屋根https://www.youtube.com/watch?v=-x7EjTa_OAM&index=39&list=PL50CkNDX0G8qTlh9oyFX1aJ-6OG4bc73E

 

 

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今日から土地は自分のものになるんですね

無邪気な顔でそう確認する若き買主。

買う側にも、売る側にもそれぞれに思いがある。

28歳の美容師はこれから結婚し新しい家庭を築くという。その場所として函館の青柳町を選んだ。

彼のこの一言が僕の中の思いに火をつけた。一言語らずにはいられなかった。

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63年前、28歳だった父はあの土地を手に入れた。翌年結婚し、我が家の歴史が青柳町で始まった。

翌年僕が生まれ、さらに弟と妹がこの地で生まれる。

家族5人の暮らしは裕福とまでは言えなかったし、かならずしも順風満帆なことばかりでもなかった。少なからず様々な紆余曲折は踏んできたように思う。

それでもこの地で暮らした16年は、今につながる我が家の生き方の礎となった。

青柳町で過ごした16年。その後は室蘭に転出し、やがて札幌に生活の場を移す。

子供たちは成長し家を出て、それぞれの新しい家庭を築いた。

やがて父が亡くなる。

2人で始まった「オリジナル古池ファミリー」の歴史が母一人になって久しい。

今回、戸籍を見る機会があった。筆頭世帯主は母の名となっており、ほかにはもう誰も残っていない。

その母も人生の最後の時を静かに生きている。

多くを語りはしないがあの家で暮らした様々な思いが去来しているに違いない。

父と始めた暮らしの思い出
子供たちに手を焼いた思い出
舅・姑と暮らし、見送った思い出
一時は自分の母親や妹も同居していた

そうした思い出の地が人様の手に渡ることの寂しさ。

反面住む人のいない土地の管理や処分は気がかりだったはずだ。老いた自分にはいかんともしがたい歯がゆさがあったに違いない。そんな思いから解放された安堵感。

ひとつの家族の営みと歴史が刻まれた土地。

60余年の時を経て別の新しい家族の営みをはぐくんでいくことの不思議さ。

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話が聞けていかったです。

オレなりに自分の家族の歴史を青柳町で作ってきます

若者は笑顔でそう答えてくれた。

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2016年8月。

オリジナル古池ファミリーのよりどころであった(そしてお荷物でもあった)青柳町の家は人様の手に渡った。

あの場所で喫茶店をやるという父の夢。それをいつか引き継ぐという僕のほのかな夢もついえた。

したっけ
しょうがないべさ

そう思いながら駅への道をゆっくり歩く。

真夏の強い陽射しが目に痛かった。

真夏とはいえ北国。

一陣の風に秋の気配がすでにただよう。

赤とんぼがぼんやりゆれていた。

P8074104_2

【追記】

2006年初めて青柳町の家を売る話が出た時の文章

2011年秋。40年ぶりに生家に足を踏み入れた時の文章

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コメント

Dear MARTIN様、

ご無沙汰しており申し訳ありません。毎日暑いですね。
青柳町のご実家、新しいオーナーさんが決まられたのですね。良かったですね!ずっと気になっておりましたので、安堵致しました。皆さんの思い出のたくさん詰まった場所で、若い方が新たな生活を始められるというのは、なんだか嬉しいですね。私も少なからず思い出のある場所ですので、新しいご家族のお幸せを心よりお祈りしております。

投稿: AYA | 2016.09.04 19:24

AYAちゃん。コメントありがとうございます。
おかげさまで、いい人に買っていただけました。

我々と同じように、AYAちゃんにも忘れられないところですものね。気にかけてくださってありがとうございます。

祐子ともども、これからもよろしく願いいたします。

投稿: Martin古池 | 2016.09.05 20:14

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