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2013.07.15

「夢乃ちさこ・復帰ライブ/第2節 with Dummy Spots」

あれはショーだった。そして「夢」だった。

「夢乃ちさこ・復帰ライブ/第2節 with Dummy Spots」

真っ暗な空間。ステージの薄い幕に移るシルエット。
ステージ前の踊り場にはたくさんの人が。

幕が上がる。
燕尾服を身にまとい、ユニオン・ジャックのネクタイにシルクハットのゆうすけさんのナレーション。
うながされるようにステージから、客席から「ちさこコール」。

     ちさこ! ちさこ! ちさこ!

流れるギターの爆音。
ブルーのバックライトに浮かび上がるちさこのシルエット。
突然真っ赤なトップライト。

懐かしい顔がそこにあり、懐かしい声が流れる。

数曲流れるように歌い上げる夢乃ちさこ。

あれはショーだった。そして「夢」だった。

計算され、組み上げられ、稽古を重ね、準備を積みあげてきた、
それでいて微塵もそんなことを感じさせないひとつのショーだった。

わかりやすい耳になじんだメロディをロックのビートに乗せて歌いつづる。

昭和の歌謡曲やそのムードを素材にバンドならではのイカシたアレンジ。
流れるごとく進むステージ。

カッコよかった。
とにかくカッコよかった。

バンドメンバーもみんな楽しそうに演じている。
吉幾三似のギター・ゆうさんのおどけた仕草もステージにいいインパクト。
ユニオンジャックのベーシスト・ゆうすけさんも異彩をはなっている。
キーボードの女性(名前を失念した)の楽しげな微笑み。
ひとつひとつがステージに溶け込み、自然な空気を醸し出している。

バンドメンバーが作り出す音、空気感、雰囲気にのってちさこはのびのび歌う。
小さな体から絞り出すように声を集め、音の束にして口元から吐き出す。
そして時々独特の巻き舌。

何も変わりはしない。
数年のブランクなんてちっとも感じさせやしない。

昭和の歌謡曲を素材にしつつ夢乃ちさこはビートの効いたロックっぽいアレンジで歌い上げる。
それはファン=喜び・楽しみを提供する、極めて能動的なステージでありショーである。
事前にキッチリ作り込まなければ能動的なステージはできるものではない。
また何をどうすれば喜んでもらえるかということもしっかりおさえていなければ、
つまりお客さん目線を維持していなければ自家撞着に陥りかねない。
バンドメンバーも結構激しいアクションや目立ったパフォーマンスをする。
なのにそこに「自我」を感じさせないのは、「お客さん目線」に徹しているためだろうと感じる。
「ライブという形のショー」と云うべきなのかもしれない。

「ちさこ with Dummy Spots」を観て、あらためて自分の立ち位置について思いを馳せることができた。

同じ昭和の歌謡曲を素材にしたライブでも僕とちさこちゃんとでは大きな違いがある。
ちさこちゃんのスタンスがショーを提供する能動的なものだとすると、
僕のスタンスはきわめて受動的なものだと思える。

お客さんから掘り起こし、引き出しながら共感を作っていく。
僕のライブのやり方だ。
むろんあらかじめテーマやプログラムを組み、準備を重ね作りこんでいる。
が、同じ作り込むのでも、僕の作り込みはショーを提供するためのものではない。(くやしいけれどね)
むしろ現場でお客さんの反応を引き出し、反応に対応し共感を作り出していく。
いわばそのための作りこみ(仕込)だ。
その時々でどうにでも変われるように、つまり変化してあたりまえということが前提。
言葉を変えると僕のはモロ「ライブ=ナマモノ」という感じがする。

同じ昭和の歌謡曲をモチーフにしながら別のスタンスで作り上げていく、それぞれのステージ。
どっちもアリだと思う。
復帰ステージを観、あらためて夢乃ちさこのファンになってしまった。

エンデシングは「馬鹿な男にささげるバラード」
かつて「無国籍堂ライブ」で二人で演奏した懐かしい歌。

一緒に口ずさみながら涙が出るのを抑えられなかった。

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