ラジオ深夜便再現ライブ
すっかり定着した感のある「ラジオ深夜便再現ライブ」。
NHKの「ラジオ深夜便」で7年にわたって素敵な演奏とおしゃべりをくりひろげたトミ藤山さんと室町澄子さん。
その再現ライブが始まってもう数年になります。
たしか最初は軽井沢の澄子さんご夫妻が営んでいたレストランだと思います。
雪の降る寒い日でした。
その後渋谷の「クラシックス」に場所を移し、春と秋の年2回定期的に行われるようになりました。
お客様の大半は「深夜便」時代からの息の長いファン。
生ギター1本で歌うトミさん。
かじ取り役の澄子さん。
最高のコンビだといつも感じます。
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トミさんは毎回テーマをもって深夜便ライブに臨まれているように感じます。
たとえば前回はカントリーミュージックの枠にこだわらず、広くいろんなポップスに挑戦されました。
今回はトミさんの土俵ともいえるカントリーを中心に、ギターのアレンジに力を入れて臨まれたようです。
「深夜便」をスタジオから全国に向けてオンエアしていく難しさとはまた違った難しさがライブにはあると思います。
いずれも「生」という点では同じ。
マイクの向こうの見えないファンに歌う難しさ。
目の前で聴き入っているファンに歌う難しさ。
様々なアイデアと工夫と地道な努力でより良いものにしあげていく。
飽くことのない探究心と努力は本当に素晴らしいと思います。
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「深夜便ライブ」には「再現ライブ」であるがゆえの大きな縛りがあります。
バンドの力を借りることなく、ギター1本で歌わなければならないことです。
歌の伴奏にとどまらず、イントロや間奏、エンディングにいたるまでギター1本。
2時間ものライブをギター1本でいくことの難しさは多くの弾き語りストが感じるところです。
トミさんも「深夜便再現ライブ」を続けるに当たりご自身に課した課題かと思われます。
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今回のライブは長年歌い続けてこられたカントリーソングの数々がメイン。
でも従来のアレンジにとどまることなく
ギター「弾き語り」に適したアレンジに練りに練って臨まれました。
とても新鮮で、目からうろこが落ちる思いで聴き入りました。
アレンジは曲によっては2ビートを4ビートでやったり、ジャズのコード進行を取り入れたりと実に多彩でした。
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一般にギター弾き語りで曲間の演奏をやると、歌の伴奏部分に比べて音が薄くなりがちです。
結果その部分のリズム感が損なわれてしまうように思います。
トミさんはリズム楽器などないはずなのに、そこにリズムを感じさせるようなアレンジに工夫されていました。
(しかもフラットピックのみで!)
みごとというほかありません。
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「弾き語リスト」のハシクレである自分としては今回も大いに触発されました。
たとえば・・・
フラットピックでメロディを弾く時
僕はローコードと解放弦を多用したカーターファミリー・ピッキングもどきがメインになります。
(チャーチ・リック奏法もどきといった方が正確かも)
それだけでは単調になりがちなので、フィンガーピッキングも織り交ぜながらライブを構成することが多い。
(最近はフィンガーピッキングの方が多くなっていますが)
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ハイポジションのコードワークでメロディ感を出したり、
複音でメロディーを弾きながらリズムを感じさせたりということができるならば…
もっと演奏の幅が広がるだろうと感じずにはいられません。
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弾き語りの宿命として僕は「引き算のアレンジ」をしています。
頭の中で鳴っている音の何を捨て、何を残すかと選択をします。
特徴的な音のみを残し他はバッサリと切り捨てます。
その方が歌伴奏部分とメロディ演奏部分のギャップが少なく、曲全体を通してのバランスがとりやすいからです。
(この選択によって曲のイメージがガラリと変わることもある悩ましい作業です)
もしも今回トミさんがやって見せてくれたような手法が自分にできるならば・・・
同じ「引き算のアレンジ」でも「足し算」(むしろ「かけ算」か?)の要素が加わり、
今より厚みのある演奏が可能になるような気もします。
むろんプロ歌手として60年もの実績を積み上げてきたトミさんのようにはいくはずもありません。
ジャズギターのトレーニングを積んできたトミさんと同じようなアレンジができるはずもありません。
でも自分なりに積み重ねてきたものをベースにちょっと違った視点から見直すことで、
今とはひと味違った何かを築きあげることもできるのではないか。
そんな気持ちにさせてもらえます。
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いつものことながら
トミさんと澄子さんのかけあいの楽しさ。
トミさんの演奏や歌の素晴らしさ。
まるで同窓会のようなライブ会場のあったかさ。
ライブをたっぷり堪能させてもらいました。
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余韻から抜け1週間たった今、あらためてふりかえると・・・
いつも何かしら自分に宿題や課題を提起してくれるトミ藤山さんのライブ。
またしばらく自分を見直すことになりそうです。
感謝!
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