「通常営業中」のライブ
僕のやっているライブのほとんどは「通常営業中」。
普通に営業している店内で、たまたまそこに居合わせたお客さんに聴いていただくライブです。
現在レギュラーライブと位置づけているのは3つ。
「お好み焼きの三貴ライブ」
「喫茶店JUNE 日曜昼下がりライブ」
「朝市コンサート」
どちらかというとバーなどでピアノを弾いている「カクテル・ピアニスト」のスタンスに近い。
これをライブと呼んでいいものかという議論はまたにするとして・・・
こういう環境で8年も演奏しているとお客さんの反応にとても敏感になります。
この客さんは聴いてくれてるのかなぁ
お仲間どうし談笑してるんだからジャマはできないな
この人は背中で聴いてくれてるな
というようなことを気にするわけです。
聴いてくれなくとも「通常営業中」なのだから文句は言えないし、疎ましく思っちゃいけないワケで・・・
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一応・・・以前はお客さんに声をかけ、足を運んでいただき、聴いてもらうという
ごく当たり前の形でライブをやっていたんですがね・・・
48歳までは。
五十を前にしてなんだか疲れちゃってね。
人に声をかけたり、チラシを作って配ったり、案内ハガキを出したり、集客を気にしたり・・・
音楽とは直接関わらないところで使う時間やパワーや神経ってのがけっこう大変なわけで。
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それならいっそのこと自分が人のいるところに出向いて行って歌っちゃえ。
そんな発想で新越谷駅前で「街角ライブ」を始めました。
今の自分のスタイル=「通常営業中のライブ」のきっかけだったんです。
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考えてみると押しかけられる側にすると、はた迷惑だったかも。
そんなことは顧みず、どこにでも出張っていき歌っちゃう。
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10年も続けると、それなりに身につきなじんでくるもんです。
はたして何が身についたか?
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お客さんの反応を感じ取れるようになったことかもしれません。
ついでにいうと、その反応によりそっていけるようになったこと。
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お客さんの反応って千差万別。
だけどざっくり分けるとこんな感じかもしれません。
..積極的反応 : 歌やトークにからんだり、じっくり聴いてくれたり消極的反応 : 食事や会話をしつつ、時折耳を傾け、拍手を返してくれたり反撥 : 迷惑千万、演奏がやかましく邪魔くさいという反応無反応 : 一切関知せず..
「街角ライブ」や「朝市コンサート」は不特定多数の人たちに歌うわけです。
反撥や無反応の人たちは足早に通り過ぎてしまえばそれでおしまい。
お好み焼き屋さんや喫茶店のような閉ざされた空間ではそうもいきません。
「そこに居合わせたのを我が身の不運とあきらめなされ」とはいきませんものね。
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そこでお客さんの反応を見ながら(顔色をうかがいながら?)歌うわけです。
積極的反応のお客さんと反撥や無反応の人の割合がどれほどかとか、
消極的反応の人たちの耳をこちらに傾けてもらえそうかとか、
一組でも反発組がいればそれに配慮しなきゃならんとか、
まあいろいろ考えるわけですヮ。
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その結果、無反応のお客さんが多い時はBGMに徹したり、
積極的に絡んでくれるありがたいお客さんであってもブレーキをかけたりするわけです。
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さいわいなことにこれまで大きな反撥を受けたことはあまりありません。
むろん内心苦虫つぶした感情を持つ方もいたとは思いますが。
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圧倒的に多いのは消極的反応のお客さん。
そういう人たちに反感を持たれないようにするのがまず第一。
次に少しずつこちらに向いてもらえるようにする。
選曲を組み替えたり、歌い方を工夫したり、トークを適度にはさんだりしてあがくんです。
消極的反応の人たちと波長が合い始めると、無反応組も少しずつ消極的反応に変わっていくから不思議なもんです。
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店内の空気がある瞬間にググッと動くのが分かることがあります。
そんな時ってとてもうれしくなります。
自分がお客さんの反応を引き出してるんじゃなく、
自分がお客さんに引き出されていると感じる瞬間です。
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いつもいつもそううまいあんばいにいくわけじゃありませんがね。
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「通常営業中のライブ」をはじめて10年。
最近その面白さにますますはまっています。
この先、自己表現を前面に出すような企画ライブも時折やるとは思います。
(その時はぜひ聴きに来てくださいね。ブログなどでお声をおかけいたしますから)
でもベースは今の「通常営業中スタイル」を堅持していきたいなと思っています。
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