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2011.12.19

友との再会 再開「唄の驛」に思う

定刻より少し遅れて会場の四谷ひろばの一室に入る。
演奏は始まったばかり。

懐かしい顔ぶれがくつろぎながらステージを観ている。
初めてお見かけする方も何人か混じっている。こちらはやや緊張した面持ち。

演奏の邪魔にならないように静かに腰を下ろす。
まわりの人たちと軽く会釈を交わす。
ゴリさんが顔をクシャクシャにして笑いかけてくれる。
マッキーさんがニコリと笑う。
みな目を細め、うれしそうな顔で返してくれる。


3月の震災以降「「唄の驛」」はながらくお休みしていた。
10ヵ月ぶりの再開だ。
時折行動を共にしてきた友も幾人かいる。
でもほとんどの方とは2月以来の再会。
(僕は2月の集まりは欠席したので1月以来ということになる)

懐かしさ、うれしさで胸がいっぱいになる。
わずか10ヵ月ほどなのだが、本当に長い期間だったように思える。

待ちわびていた。


ステージは無限堂さんに続いて蝉丸さんに。
なつかしのガロの名曲「地球はメリーゴーランド」


  まわる まわるよ
  地球はメリーゴーランド
  哀しみ 歓び
  すべて乗せてゆくよ


この歌詞がやけにしみる。


引き続いてoakboyaさんにバトンタッチ。
加藤和彦ときたやまおさむの「感謝」。
いろんな思いが胸に去来する。
やがて岡林の「友よ」に歌は変わる。

静かに歌うoakboyaさん。
みんながそれに寄り添うようにそっと歌をかぶせていく。

もうダメだった。
糸のように細い眼からしずくがあふれ出していた。

みなさんの歌を久しぶりにじっくり聴かせていただいた。
それぞれにこの10ヵ月の足取りを感じさせてもらった。


   みんなそれぞれに試行錯誤しながら
   それぞれの道を歩いてきたんだなぁ


演奏を聴きながらそんな感慨にふけっていた。


およそ1年ぶりの再会。
それぞれのローカル線を走ってきたメンバーがターミナル・ステーション「四谷ひろば」に集う。
一人ひとりのローカル線での足跡、痕跡を感じさせながら。

それぞれにステージや土俵がちがうもの同士。
当然めざすものも課題もみな違う。
でもたがいの今を受け入れ、認め合う。
そんなあったかい空気が流れていた。

さらにうれしかったのは急遽初参加してくれた芽亜利さん。
ライブや路上でがんばってる人だ。お会いするのは2回目だが彼女の歌は好きだ。
会場をポップな雰囲気で充たし、華を添えてくれた。


そして初めての落語。
高円寺亭 たら好さん。
杉並江戸落語研究会の顧問をされているたら好さんの小気味のよい話しっぷりは楽しかった。

唄や演奏だけではなく、演芸やいろんな大衆芸能をも含んだ集まりになっていくというのも「唄の驛」のひとつのあり方だなと思う。

今回僕は自分のネガティブな面をちょっと披露した。


   寒い夜
   根雪
   大空と大地の中で


この1年、いいことも楽しいこともたくさんあった。
でも同時に切ないこと、つらいこと、悔しいこともまたたくさんあった。
ポジティブな気持ちとネガティブな気持ちとが交互にやってきて、心の中でせめぎあっていた。
(それは現在進行形でもある)
そのどちらも受け入れるべき自分自身。

僕自身のローカル線をあれこれ揺れながら走ってきた。
その「負」の部分にもスポットを当てようと思った。


ノーマイクで歌った。
それは心に渦巻く「黒い」気持ちがマイク→アンプ→スピーカーを通すことで薄まってしまいそうな気がしたからだ。
歌もギター伴奏も音量をおもいきり抑えた。
そうするために曲のキーをいつもより1音半下げた。


   明日のことなど 分かるはずもない
   分からぬ明日だから 夢見るのかも
   夢が大きすぎて かないそうもない
   かなわぬ夢だから かなえてみたいのかも
   だまりこめば 心の底まで
   しばれるような 寒い夜

      「寒い夜」

ネガティブな気持ちになっている時、人は出口の見えない暗闇の中に放り込まれたような気分になる。
「しばれる」という言葉は北海道弁だ。
氷点下10度に近い、身も心も凍てつき「どうもこうもなんない」時に使う言葉だ。

「根雪」はなにもかも白一色でぬりこめてしまう。
足跡も車のわだちも、そして「どうもこうもなんない」心のひだをも。
そしていつか時がたてば忘れられる。なにもかも。
「時」っていつなんだ?
そうかそれは「明日の日」、雪解けの春か。。。


   凍えた両手に 息を吹きかけて
   しばれた体を あたためて
   歩きだそう 明日の日に
   ふりかえるには まだ若い
   いつの日か しあわせを
   自分の腕で つかむよう

      「大空と大地の中で」

たぶん誰しも心の中で「明」と「暗」がたえず葛藤しているんじゃないか。
「明」の中に「暗」はひそみ、逆に「暗」の中にも「明」は息づいている。
それが「希望」というものではないか。

そんな思いを(願いを?)10分間・3曲に凝縮したつもりだった。
はたして、どのように受け止められたかな?


以前、「唄の驛」は『大人の上質な遊び場』というようなことを書いたことがある。
およそ1年ぶりに再開した「唄の驛」はやはりステキな遊び場だった。

再開を企画、ご尽力されたふく助さん。心から感謝いたします。
参加されたみなさん、いい時間をありがとうございます。

次回もまたお会いできるのを楽しみにしています。

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