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2011.12.09

デイケアハウス「そらいろ」 慰問コンサートで感じたこと

大宮公園そばの老人介護施設でのコンサート。
「さっちゃんと音もだち」の一員として参加させてもらった。

「そらいろ」は民家に毛が生えたようなこじんまりとした施設。
聞くと以前は喫茶店だったそうだ。
こじんまりとした分アットホームな雰囲気に満ち溢れている。
スタッフの一生懸命さが伝わってくる施設だ。

大きな老人施設では介護の組織化が進み、ビジネスライクな感じで営まれているところもなくはない。それはある程度やむをえない部分もあるんだろうと思う。

「そらいろ」はこじんまりとしている分、利用者とスタッフがよりフェイス・トゥ・フェイスで接することができるようだ。
利用者のじいちゃん・ばあちゃんたちにすれば、よりかゆいところに手が届くサービスが受けられる。
それが施設全体の雰囲気作りにいい影響を与えていると感じられた。

僕たちが到着した時すでにご老人たちは集まっており、歌を歌っていた。

物影から聞くともなく聞いていると昭和40年代の流行歌がお好きなようだ。
「ラブユー東京」だの「女の道」だのを歌っている。
みなさん仲がよろしいようだ。


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「さっちゃんと音もだち」はいろんなミュージシャンのネットワークだ。
おもに老人施設を中心にあちこちで慰問コンサートをやっている。
その時々で集まれる人たちで演奏する。

今回集まったのは5人のメンバー。20代~50代と様々な世代構成。

  主宰のさっちゃん(歌、ギター、ダンス)
  フルートののりちゃん
  笛(今回は特大のリコーダーが中心)のサキエルさん
  キーボードとバイオリンのしばちゃん
  そしてギターと歌とおしゃべりのまぁちん古池

Photo


サキエルさん、しばちゃんと音を合わせるのは初めて。
本番前のリハーサルで音や決め事を作っていく。
実はこの時間がかなり楽しい。

さっちゃんの組んだプログラムに沿って合わせていくのだが、どんどん脱線しながらゆる~くセッションする。
この脱線セッションが本番で意味を持ってくる。
それぞれの音楽性や雰囲気などをセッションでつかみつつ、脱線した歌がリクエストアワーで持ち弾として活きてくる。
キーとテンポ、リズムを合わせれば、たとえ知らない歌でも自然にからみあえる。
これが実に楽しい。


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こじんまりとした食堂のがコンサート会場。
「ステージ」のすぐ目の前にテーブルがあり、歌本や飲み物が置いてある。
ご老人たちはテーブルに向かい車座に座っている。
演奏者とご老人たちの息づかいがたがいに聞こえるような空間だ。

セッティングの合間に先ほどご老人たちが歌っていた「ラブユー東京」をなにげなく弾き語ってみた。
とたんに食いつくご老人たち。
キーボードで絡んでくるしばちゃん。それにフルートをかぶせてくるのりちゃん。
(いやいやたいしたもんだ!)

ご老人たちが好きそうな歌(特に昭和40年代のもの)を次々に歌う。
しばちゃんも得意分野とみえ、あれこれ弾きはじめる。
若いのりちゃんもフルートで音をかぶせてくる。(知らない歌のはずなのに!)
一緒に口ずさむじいちゃん・ばあちゃん。
リクエストまで飛びかう。


  まだ、本番じゃないんだからね!


と言いつつも、場の空気がぐんぐんあったまっていくのが分かる。


そのまま本番に突入。
オープニングは趣向を凝らした。
サキエルさんがトナカイのきぐるみを着て物影で待機している。
「赤鼻のトナカイ」の演奏と共に登場。
狭い会場を練り歩くサキエル・トナカイとさっちゃん。

なんとスタッフに促されたばあちゃんたちがその後ろについてゆっくりゆっくり練り歩きだしたのだ。
最初はおずおずと、やがて嬉々として。
なんとまあノリのいいご老人たちだ。

この「行進」ですっかり打ち解けあうことができた。

その後のプログラムは和気あいあいのうちに進んだ。

017

  【プログラム】

  赤鼻のトナカイ
  荒野の果てに
  かあさんの歌
  青いカナリア
  蘇州夜曲
  アメージンググレース
  悲しい酒
  青い山脈
  ふるさと
  僕の嘘、君の嘘
  トナカイ・さきえる氏のオモシロ楽器紹介
  テネシーワルツ
  見上げてごらん夜の星を
  北国の春
  きよしこの夜
  幸せなら手をたたこう  (アンコール)


老人施設でコンサートをするたびに思うことがある。

「音楽コンサート」であるけれど、演奏すること自体を自己目的にしちゃいけないということだ。
最も大切なことはご老人たちといいコミュニケーションをとることのように思える。
音楽や演奏は「いいコミュニケーション」をとるための媒体のような気がするのだ。

ご老人たちに喜んでもらうことがなによりの目的(ゴール)。
だとすれば「コンサート」を通して共感・共鳴しあえるやりとり(パス交換)がなければゴールはおぼつかない。
歌や演奏を肴におしゃべりに興じることができるというのが理想かもしれない。

だからといって準備不足や中途半端な演奏が許されるというものではない。
「いいコミュニケーション」は本気で臨まなければ得られるものではない。
本気で語り、本気で歌わなきゃパス交換は成り立たない。
それにはできる限りの準備をして臨まなければいけないんだろうと思う。


「そらいろ」でのコンサートはいい結果で終われたと思う。
でもいいイメージ(準備も含めた)だけを残し、ひとまず忘れることにしよう。

今週末にはももっちさんご夫妻とともに都内の老人施設で演奏することになっている。
来週には越谷の老人施設で演奏する。

ひとつひとつに意識を傾けて準備を進めよう。


007


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