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2011.11.30

ギター今昔物語 山形のじいちゃんのちょっといい話

カミさんの実家、山形県の長井市に帰っていた。

  先日亡くなった母方の叔母の墓前に線香を上げること。
  体調を崩したばあちゃん(カミさんの母親)の陣中見舞い。

今回は浮世の義理を果たす旅で、なにかとあわただしく時間が過ぎ去った。

もう少し余裕があれば長井に在住し、ジョモGさんとセッションを楽しみたかった。残念ながらそれはかなわなかった。
ジョモGさんは長年地元長井市の縄文太鼓で地道な音楽活動をされている方だ。
昨年のトミ藤山さんの浅草公会堂でのコンサートをきっかけに知り合った。
僕と同じ年生まれで、カミさんとも同学年(学校は違うが)ということもあり親しくさせてもらっている。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1708955494&owner_id=8462917



それでもこの春からギターを始めた甥っ子2人と遊ぶためギターを持参した。

夕食後甥っ子たちにスリーフィンガーを教えていると、突然じいちゃん(カミさんの親父さん)が言い出した。


   オラにもギター触らしてけれ


初めてのことだった。
この30年帰省のたびにギターを持っていったのに、これまでそんなことはなかった。
僕や息子たちが弾くギターをただ眺めているだけじいちゃんだったので、いささか驚いた。

Pb223967

ポロンと鳴らしながらポツンとつぶやいた。


   昔、ばあちゃんさ聴かっしぇるんで (聴かせるために)
   夜道をギターたがって(持って)、自転車漕いで走ったごで



   なに、つうことはギターでばあちゃん口説いたんか?


じいちゃんはニヤニヤ笑うだけだった。


   ばあちゃん、それほんとだがした? (本当なの?)


   んだぁ
   そげなこともあったごで (そんなこともあったよ)
   ギターかついでよ
   やんや、遠い道走ってきたべした (走って来たんだよ)



   なぁに聴かしたんや (何を聴かせたの?)


   湯の街エレジー




これまでじいちゃんとばあちゃんの青春時代に思いをめぐらせたことなどなかった。

真っ暗な田んぼ道をギターを背負って走る若き日のじいちゃん。
若き竹細工職人がギターを弾く余裕など当時の日本にはまだなかっただろう。
若き日のばあちゃんに聴かせたい一心で、「湯の街エレジー」をくりかえしくりかえし稽古したんだろう。

親に反対され、すんなり結婚できなかったという話は聞いたことがある。

思いのたけを「湯の街エレジー」に託して歌ったのかもしれない。


   ああ 初恋の
   君を尋ねて 今宵また
   ギターつまびく 旅の鳥


じいちゃんとばあちゃんの青春が急に生々しく感じられた一瞬だった。





【追記】

翌朝、僕はじいちゃんに帽子をプレゼントした。
時おりステージでかぶるシャッポだ。

   じいちゃん
   あんたの歌がばあちゃんの心を動かしたのかもしれないよ
   だとすれば、あんたは立派なミュージシャンだね

Pb233993

埼玉に帰宅した後、ばあちゃんから電話があった。
あの帽子がいたく気に入ったようだ。
さっそくかぶってふらふら散歩に出かけたそうだ。

 

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