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2011.11.12

やっぱり難しい「朝市コンサート」

前回の(2週間前)「朝市コンサート」は体調不良でお休みさせてもらったので、今日は1ヶ月ぶりということになる。
1ヶ月間があくと季節もまわり、市場の雰囲気も変わる。
今日は人の出もめずらしく多い。

少々気持ちを高ぶらせながらコンサートをスタートさせた。

いつもとなんとなく勝手が違いとまどう。
買い物客が多く、話し声や移動する音が市場の天井に反響する。
その音が建屋全体にこもる感じがするのだ。
くわえて冷凍マグロを解体するチェンソーの音。

ギターの音が聞こえない。
人の多さにあわせてラインでつないでみたが、やはり聞こえない。
建屋にこもった音にかき消される、というよりも吸い込まれていく感じだ。

ペースをすっかり崩してしまった。
自分の音が聞こえないからだろう、変な力が入ってしまうようだ。
フィンガーピッキング(特にスリーフィンガー)が乱れる。

この時点でフィンガーピッキングをあきらめ、フラットピックに持ち替える。
ギターリフのような「小細工」はやめ、リズムを刻むことだけに意識を集中させる。

ようやっと安定し、歌に気持ちを切り替える。
ところが一度崩れたペースをなかなか立て直せない。

悶々としながら時間だけが経過していく。
不安をかかえながらの演奏だから人を観察する余裕もない。
人の表情をよみながら組み立てていくのが僕のやり方だ。
それがまったくできない。
買い物客の顔がまるで無表情の能面のように感じられる。
流れていくたくさんの人たちすべてに黙殺されている気持ちに陥ってしまう。

こうなるとやばい。
自信が根こそぎ崩れ落ちていく。
敗北感だけが頭をもたげてくるのだ。

そんな最悪の状態を救ってくれたのはお客さんだった。

いつも聞いてくれる小さな女の子とそのお母さんとおばあちゃん。
いつものようにベンチに腰を下ろし、体をゆする女の子。
にこにこ見守ってくれるお母さんとおばあちゃん。
この瞬間僕は彼女ら3人のためだけに歌っていた。
他の人の存在を消し去ることができた。

おかげでようやく自分を取り戻すことができた。
コンサートを始めてすでに1時間以上も経っていた。

それまで能面のように思えていた人の顔に表情を感じることができるようになる。
遠くから拍手を送ってくれている人が見えるようになり、
会釈をしながら笑顔で通り過ぎていく人が見えるようになる。
それらのひとつひとつに応える余裕ができる。
(むろん無表情のままに通り過ぎていく人の顔も見える)

ギターの音はあいかわらず聞き取りにくい。
でももうそれも気にならない。
歌いながらお客と目と目の会話、ほんの一瞬の会話ができるようになればそれでOKだ。

2時間のコンサート、歌い終わってみるとけっこうたくさんの人と会話を交わすことができた。
(このつかの間の会話が「朝市コンサート」の楽しみだ)
「出前ライブ」の依頼をされたりもした。
次回の「朝市コンサート」で歌ってほしいという歌のリクエストも受けた。

結果オーライである。


だが、不特定多数の買い物客に歌う「朝市コンサート」の怖さと難しさがあらためて身にしみた。

結局うまくいかない時の原因はすべて自分の中にあるんだ。

不特定多数に歌う「朝市コンサート」や「街角ライブ」。
聴く態勢にない人に歌うワケだから、「いい感じの場」を作れない責任はすべて自分にある。
それは力量不足だったり、場の現状把握ができないことだったりする。

でも何よりも自分の中に巣食う弱気の虫だ。
ひとたび弱気の虫が頭をもたげだすと、どんどん転げ落ちていく。
その結果現状把握など到底できなくなり、演奏もどんどんちじこまっていく。

冷静に現状把握をすればほとんどの場合「いい状態」なんてありっこない。
ネガティブな状態からコンサートをスタートさせるんだから、「弱気の虫」につかまったらそれでおしまいだ。

でも悲しいかな「弱気の虫」はたえず人の心に潜んでいるものだ。
「弱気の虫」とのつまり自分の弱さとの闘いが一番大切なことなのかもしれない。


今日の「朝市コンサート」
いつもと雰囲気が違う、ギターの音が聞こえない、久しぶりの市場
こういった不安要素に負けてしまった。
「弱気の虫」に抗うことができなかった。

そのことをしっかりと肝に銘じよう。


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