函館帰省日記 2010 冬

2010.12.03

40年ぶりの再会 「サウンド・インS」

函館に帰るたびに立ち寄り演奏している「サウンド・イン・S 」

小中学校時代の同級生・工藤信也君(しんちゃん)が長年やっている店だ

しんちゃん自身シンガー・ソング・ライターで、数々の歌を作り、歌っている
僕も歌っている「函館物語」はしんちゃんとその兄貴・しゅんじさんの作
(しゅんじさんも「チャップリン」というライブ・バーを経営しつつ、函館の音楽シーンの一端を担っている)


今回の帰函でも「サウンド・イン・S」に立ち寄ることにしていた


楽しみだった


店で函館のお客さんに歌えることもさることながら、
小中学校時代の同級生R子とここで再会することになっていたのだ

高校時代、室蘭に転校した僕は小中学校の友人たちとは疎遠になっていた

それがmixiのおかげでR子とふたたびつながったのだ

40年ぶりのことだった
最後に会ったのは中学の卒業式だったように思う


客がまだ入らぬ夜7時
「サウンド・イン・S」の扉をたたく

しんちゃんと近況を語り合いながら・・・


ドキドキしていた


   ぎぃーっ!


古びた木の扉を開けて、R子が顔をのぞかせた


   R子!


すぐに分かった

子供のころと変わらぬ顔がそこにあった
小学生のようにスレンダーなR子がそこにいた
(高校以来のバトミントンを続け、今でもきたえているそうだ)



時間を、40年の時間を一気に飛び越えてしまった
まるでつい最近会ったかのように、屈託なく語りあうことができた

同級生のこと、先生たちのこと、そしてそれぞれの近況
他愛のないことだが、話題にはことかかなかった



話に興じながら、僕は小学生のころのR子を思い出していた

当時男子生徒には気になる女の子にスライディングをして、ちょっかいを出すのが流行っていた
卒業を前にした6年生のころだ

好きな女の子にわざとちょっかい出して気を引こうとする
悪がきたちの実に「健全」なる行動だった

とはいえ、男子にとっても結構必死の思いだった
古い板張りの廊下はあちこちササムケていてた
へたにスライディングをすると半ズボンでむき出しの足に木の破片が突き刺さる

お目当ての子だけにスライディングすると「バレる」ので、何人かにやらなければならない
浅知恵をふりしぼり、覚悟を決めての決行だった

R子を「ターゲット」に玉砕した悪がき仲間も何人かいた
言えといえばすぐにでもフルネームで答えられる
そして、僕もその一人だった



この秋、初孫が産まれたばかりのR子は
他の客が入り始めたのをきっかけに1時間ほどで帰っていった
孫を風呂に入れなきゃと言って

客が10人ほどになったころ、しんちゃんはおもむろに弾き語り始める
僕はしんちゃんの歌にギターリフとハーモニーをつける

1年ぶりの即興コラボレーションだ

やがて立場を逆転させる

二人で1時間以上も演奏したろうか

しめくくりの歌に「メロディ」を選んだ




メロディ

あんなにも好きだった 君がいたこの街に
いまもまだ 大好きな あの歌は 聞こえてるよ
いつも やさしくて 少し さみしくて
あの頃は なにもなくて
それだって 楽しくやったよ
メロディ 泣きながら
僕たちは 幸せを 見つめてたよ

なつかしいこの店の すみっこに置いてある
寄せ書きのはじのほう 君と書いたピースマーク
みんな集まって 泣いて歌ってたね
あの頃は なにもなくて
それだって 楽しくやったよ
メロディ いつのまに
大切なものなくした

あの頃は なにもなくて
それだって 楽しくやったよ
遠い空 流されても

君のこと 忘れないよ
いつだって 楽しくやったよ
メロディ 泣かないで
あの歌は 心から 聞こえてるよ

           (玉置浩二)

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ジンギスカン やっぱり好きだぁ!

ジンギスカンを食べたかった

それも上品なラムではなく、臭みのあるマトンのジンギスカンを

北海道に帰るたびにマトンを出してくれる店を探すんだが、これがなかなか見つからない
(去年札幌で食べた「だるま」はマトンだった)

今回もあれこれ聞いてマトンを探したんだが、見つけれなかった

それで宿(五稜郭グランティア)の近くの「炭々亭」という店に入る
たいした大きくて、立派なつくりのジンギスカン屋さんだ

例によってあつかましいお願いをしてみた


  マトンないべか
  子供のころ食べた臭みの強いやつが食べたくてさ


同年代と思しき髭づらのマスターにそうたずねる


  いやぃゃゃ
  今だと、ほとんど どごでもラムしか扱ってないんですから
  うちもお勧めは特上ラムの味噌だれ漬け焼きなんだゎ
  やわくて、おいしいですよ


  んだがぃ?
  残念だな
  あの匂いがなんともいえないんだけどね
  まかないとかでマトン使うことないの
  あればそれでもいいんだけどさ
   (こらこらあつかましいぞオレ!)


  うちでは全部ラムなんですから・・・
  したっけ生ハムロールだったら、ちょっと近いかもしれませんね


  したら、それけれや
  それとお勧めの極上のヤツ





特上味噌ラム
厚く切ったラム肉を特性味噌に漬け込んだヤツだ
たしかにやわらかくて、旨い

でも、ものたりない
あの羊肉の臭みがぜんぜんないんだ


多少の期待をこめて生ラムを焼いた

うん、たしかに少しだが臭みがある
先に特上味噌ラムを食べてたから、よけいにそう感じるのかもしれない





子供のころジンギスカンといえばマトンだった

ラムは幻の羊肉
高くて手が出ない一品、名前しか知らぬ子羊の肉だった

食欲旺盛な中学生のころは近所の肉屋さんに薄くスライスしたマトンを買いによく走った
サッカー部の練習を終え、帰宅したらマトンを焼いて食べるのが習慣だった
漬け焼きよりもそのまま焼き、ベルのジンギスカンのタレで食べるのが好きだった

マトンの臭みが舌になじんでいた


あの味がどうしても忘れられない
でもそれを求めるのは、今では逆に贅沢なのかもしれない

食生活全般が40年前とは大きく変わっているのかもしれない

安くて、ボリュームがあり、栄養価も高い食材がすなわち旨いものという感覚だったのかもしれない

高度経済成長を経て、所得が増え、比較的高価なものが手に入り、それが当たり前になっていく
それにしたがって常食されていたものが食卓から消えていく
その結果、安かった食品が貴重品になり、手に入らなくなる


「アブラコ」も「マトン」もそんな運命をたどってきたのでは?
などと勝手に想像してみる





わずかではあるが羊肉の臭みを感じさせてくれた生ラム
翌日スーパーによってたくさん買いつけた
冷凍しておけばしばらくは帰ってからもジンギスカンを食べられる

ベルのジンギスカンのタレは越谷市場でも手に入る
「朝市コンサート」の折に買えばいい
このタレに鷹の爪やにんにくを入れて辛くすれば好みの味になる


内地に戻ってからのささやかな楽しみがひとつ増えた

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「函館自由市場」にてアブラコにありつく

今回の函館帰省の旅の裏の目的

  「アブラコ」を食べること


内地では「アイナメ」と呼ばれるこの魚
北海道では一回りも二回りも大きなものがあがる

子供のころはごく当たり前に食卓にのった大衆魚でもあった

安い、旨い、ボリュームがある

貧乏家庭にはホッケやイカとともにおなじみの魚だった
(昭和30年代、ほとんどの家庭は貧乏だった)



久しぶりにアブラコを食べようと思い、あちこち探し回った

ところが当たり前に市場や魚屋にならんでいたアブラコが見つからない


  いやぁ
  最近だら、アブラコはあんまし食べないもんね
  脂のっておいしんだけどね


という答えが返ってくるだけ


最後の頼みの綱「函館自由市場」を早朝探した


  アブラコかぃ?
  1匹だけ上がってるヮ
  水槽ん中、泳いでるっしょ!


見事な50センチクラスのヤツだった


その足で市場の中の食堂「自由亭」にかけこんだ



  おばちゃん、メニューにないんだけど
  アブラコ、焼いてくれないかい?


  アブラコですか
  あがってっべがねぇ・・・


  今、そこの水槽で泳いでたょ


  したら、ちょっと仕入れてきますから
  して、焼きますか、煮つけますか?
  今だら、刺身でもいいけどね


  せば、塩で焼いてけれや



おばちゃんはざるを片手に市場に入り、件のアブラコを仕入れてきた


  定食にして1500円なんですけど
  いがったべが?
  

  なんもさ
  メニューにないもん頼むんだから
  かまわない


待つこと30分
大将が焼きあがったアブラコを持ってきた
申し訳なさそうな顔をして


  ごめんね
  待たしちゃって
  あんましでっかいもんで
  裏に返すのがゆるぐなかったんだわ
  ちょっと身が崩れたけど、勘弁してね
  普通だら一晩干してから焼くんだわ
  せば、塩も効くし、身もしまって崩れないんだけどね
  ヘタクソでごめんね


  なんも、なんも
  無理して頼んだんだから、しょうがないっしょや
  かえってごめんね



やっとこさありついた懐かしのアブラコ

旨かった
特に皮と身の境目に脂が乗ってて、これがいい



煮つけも食べたくなった
自由亭からの帰りしな、再び市場で頼んだ


  明日の朝、また来るから
  もし、アブラコあがってたら取っといて
  イカと一緒に東京に送るから


  お兄さん
  アブラコは別に大丈夫だけど
  イカだら、朝上がったばっかりのヤツだから
  新鮮なうちに刺身で食べたいっしょ?
  したら、コンパクトにしてけるから
  持って帰んなさい
  宅急便だと月曜日になるから





戻ってから煮つけにして食う楽しみがまた増えた

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「魂のフォーク・亀しょう」 (函館のフォークスポット)

函館のフォーク酒場

「魂のフォーク・亀しょう」に顔を出してみた

昨年「へた親」函館プチオフ会をここでやろうと、はたぼうが企画してくれた場所だ
その時は店の都合だかなんだかで実現せず、「サウンド・インS」でプチオフ会をやった

なんとなく気になっていたのと、函館の音楽事情の一端を感じたかったんで足を運んでみた


おどろいた
店内は中高年でほぼ満杯状態

おっさん・おばさんたちが嬉々として拓郎や陽水を歌っている
店内の壁にも拓郎のLPジャケットがたくさん飾られている

都内のフォーク居酒屋と変わらぬ風景が展開されていた
違うのは、そこかしこでなまりのきつい函館弁が飛び交ってることか




郷に入らば郷に従え

すっかり元に戻った函館弁でまくしたて、
チャゲ&飛鳥の「万里の河」、陽水の「少年時代」「白い一日」「氷の世界」などを歌わせてもらった

「氷の世界」はマスターとセッションになった
マスターがメインボーカルで僕はハーモニーをつけソロをとる
即席のアイコンタクトだったがスリリングでなかなか面白かった


マスターのこだわりでフォークソング以外はダメ
お客さんもそれを分かった人たちばかり

フォークソングに特化した店だから「魂のフォーク」というネーミングなんだろう

フォーク専門いう前提で遊びに来るには楽しいお店だと思う
2時間ほどいたが、まわりのお客さんたちとすっかりうちとけることができた


楽しく熱いスポットだった

でも、いつものようなMartinライブを展開したとすれば・・・
おもいきり浮いちゃうだろうな

なんてことを思いながら店を出た


深夜の函館は白いものが今にも落ちてきそうなほど
しんしんと冷えていた





「魂のフォーク・亀しょう」HP
http://kame.mls-j.com/index.html


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