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2010.07.03

「カントリーロード」 私のカントリーミュージックことはじめ

ジョン・デンバーが歌う「Take Me Home Country Roads」

この歌がラジオから流れ始めたのは1971年の夏だった


じりじりと焼けつく陽ざし
トタン屋根を通して部屋の温度はぐんぐん上がっていく
それでも開け放した窓からは北国の乾いた風が流れ込む
玉のように流れる汗にほのかな風が心地よい

ラジカセでエアチェックした『カントリー・ロード』
何度もなんどもくりかえし聴いていた




大学受験に失敗した僕は、「人生浪人」と称して伊達紋別のカトリック教会に寄宿していた

予備校通いを拒否し、家から出た
ラジオ講座だけが頼りの浪人生活だった

みずから退路を断ったつもりでいた

「馬小屋」とよんだ教会の離れにこもり、受験勉強に明け暮れる
…はずだった…


小説を読みふけり、エアチェックに明け暮れ、物思いにふける毎日をくりかえす…

「浪人生」のあるべき姿からはおよそかけ離れた毎日だった

(心の中はそれとは裏腹にあせりと不安、そして無常感にたえず支配されていたのだが)

他人との関わりはエミール神父とともにする昼食時間だけだった
エミール神父は30歳になったばかりのアメリカ人
陽気と繊細とが同居しているような人だった
僕にとっては兄貴のような存在だった

ゆったりした食事時間
僕たちは英語と日本語のチャンポン会話をする
音楽の話をずいぶんとした



ある日エミール神父が切り出した


  マサヒコ
  この歌、知ってるか?

  Country road take me home,to the place I belong…

  ジョニー・デンバーの歌だよ



それまでも『Will The Circle Be Unbroken 』『I Saw The Light 』など、いくつかのカントリーソングを教えてもらっていた
当時の僕にはいまひとつピンと来なかった


「カントリー・ロード」には琴線にひっかるものがあった

3コードのシンプルなカントリーソングの中にあってこの歌はマイナーコードも使っている
加えてAのコード進行の中に1音だけGを使っているのが斬新に感じた

そこいらへんが日本人としてのメンタリティに引っかかったのかもしれない
(小室等の音使いに共通するものを感じた)


この歌を覚えたいと思った


カセットを何度もくりかえし聴きながら歌詞を書き取る
怪しげなところはエミール神父にチェックをしてもらい、ついでに発音の特訓もしてもらう

エミール神父もこの歌が特別に好きだったようだ
故郷アメリカを遠く離れ、極東の島国に暮す
望郷の思いもひとしおだったかもしれない


受験が終わるまではと封印していたギターをひっぱりだし、
受験勉強の合間(?)を縫ってくりかえす練習

時にはエミール神父と共に合唱もした



北国の夏は駆け足で通り過ぎ、山々はあっという間に赤く色づく
やがて身を切る風とともに白い冬がやってくる

半年があっという間に過ぎ去った



初披露したのは伊達カトリック教会のクリスマスパーティ

声を張るだけの若い演奏だった

今思えばこの演奏が初めてカントリーソングを歌った「ことはじめ」だった


後になって分かったことがある

数多くのフォークソングがカントリーやブルーグラスミュージックの影響を強く受けていることを
(高田渡、高石ともや等々)

「先祖帰り」と称して原曲を聴き始めた
アメリカのオールドタイミー音楽が好きになった


そのきっかけはエミール神父とのやりとりだった
そしてその象徴が『カントリー・ロード』だった


以来三十数年、様々なアレンジでこの歌を歌ってきた

歌うたびに心の中に故郷・北海道の景色がよぎり、エミール神父の顔がよぎる



エミール・デュマス神父は今なお、札幌の地で布教活動をされている

故郷アメリカを離れて40年

  Take me home country road

そう思うことはあるのだろうか…

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