清津の春 2010 「闇の音楽宴会」
当初は「上野の森絵本フェスタ」を終えてから、深夜清津峡に入るつもりだった
ところが炎天下の野外ライブと大ホールでのコンサートで疲れ果てた
打ち上げでさらに疲れ、夜討ちをかける気力が失せた
それが幸いした
「俺も行く」
長男・哲郎が言い出したのだ
長男は修理に出していたバイクが直ってきたばかり
試運転に清津峡まで行く気になったようだ
彼が清津に行くのはなんと10年ぶりのことだ
昨年、一昨年の次男・真吾の参加に引き続き子供たちの清津帰りはうれしい限りだ
かくして早朝、それぞれに家を出発した
キャンプ場に行く途中のセブンイレブンでおいちゃん、萌ちゃんと合流する
おいちゃんは管理人アキラッチの幼馴染
「清津の少女・萌」はアキラッチの姪っ子だ
清津峡に到着するとch@bozさんがすでにまったりしていた
昨日入り、朝からちびちびやりながら本を1冊読み上げていたらしい
「最高に贅沢な時間でしたな」
とch@bozさん
他にヤエちゃんグループが来ていた
高校ラグビー部の仲間たちもすでに三十路を超え、それぞれに家族をつれて来ていた
体育会系の威勢のいいノリはあいかわらずだった
そういえば10年前、哲郎が最後に来た時ヤエちゃんグループも来ていた
嵐の中で缶けりをして遊んだ記憶がある
メンバーのムネちゃんとリエちゃんは結婚し子連れ参加
もちろんヤエちゃんも子連れ山旅
なんともいえぬ感慨にひたる
清津峡Tシャツのデザイナーさんとその仲間たち
10人ほどのグループも来ていた
彼らはすでに川遊びまくりモード全開だった
テントを設営を済ませのんびりしていると、take-z(たけちゃん)到着
仕事を終えるや否や昭和町からかっとんで来た
一晩泊まり、翌朝早くにふたたび仕事に戻るという強行軍
今夜の音楽宴会にかける意気込みと情熱はハンパではない
しばちゃん(PA-LA-LA隊長)グループが到着したのは夕方だった
奥さんのたかちゃん、そしてド迫力男・M氏(彼の声量はとてつもない!)
「品川子供劇場」の3人組だ
最後にズミ姉が降りてくる
これで役者はすべてそろった
それぞれ思い思いに晩飯を食べて、管理人小屋前での恒例「闇の音楽宴会」の開始を待つ
すでに夜の帳が降り、キャンプ場は漆黒の闇に塗りこまれている
管理人小屋の前のテーブルには三々五々と集った人で一杯になる
手に手に楽器を持ち、酒を持ち管理人小屋へ
ランプの灯りに吸い寄せられる蛾のようにふらふらと集まってきた
口開けの1曲はもちろんワンカップ大関の歌(正式には『旅』という)
ヤエちゃんのリクエストだ
後を受けたけちゃん、ch@bozさん、しばちゃんらも続く
M氏やデザイナーグループのヒロキ君、そして哲郎も演奏側にまわる
順次演奏を続ける
みな酒もまわり始め、いい調子になっていく
この音楽宴会のいいところは演る側・聴く側おかまいなしにぐちゃぐちゃと進んでいくところだ
テーブルを囲んでこじんまりとした輪になっているので、歌とおしゃべりがこん然一体となっていくところがなんとも楽しい
ふと感慨にふける
20年前に小さな宴会だったな
演奏するのは自分だけ
テーブルのまわりには常連さんが数人
歌よりおしゃべりがメインの宴会だった
若かった僕は聞き役にまわっていた
おしゃべりの合間に歌を挟む
そうするとあちこちのバンガローやテントからリクエストがかかる
それらに応え数曲歌う
またおしゃべりに戻る
こんなくりかえしで延々と夜が更けるまで続けた
僕も最後はべろべろになり、テントまでたどりつけないことが何度もあった
「闇の音楽宴会」はやがて歌メインの「うしみつライブ」になる
やがては「Live in 清津峡」に成長していった
「Live in 清津峡」の原点ともいえる「闇の音楽宴会」
演奏する人がこんなにもたくさん集うようになるなんて、想像もしなかった
礎を築いてくれた先代の管理人「清津の仙人」の懐の深さがあってのことだろう
仙人を思い起こし、ちょっとうるっとくる
「清津の仙人」は現管理人アキラッチの父上。
その風貌、発言、行動から仙人と呼ばれていた。
病に冒され「仙人の修行」半ばにして残念ながら旅立っていった
清津の仙人が礎を築き、今アキラッチのもとで開花しつつある
そんなことを思いながら歌う
『蚊の歌』~『ハエ・ハエ・ハエ(スペシャルバージョン)』
この清津でずっと歌い続けてきた歌だ
そして哲郎と10年ぶりに親子共演
『I Love You』を歌う
夜もとっぷり更ける
明るいうちに掘り出した竹の子とコゴミの天麩羅をムネちゃんが揚げ始める
ムネちゃんは神田の江戸そば「周」(あまね)の店主
掘りたての竹の子、玄人の料理人が揚げてくれる天麩羅
清津の自然の中でこの上なく美味だった
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翌日、それぞれに清津峡キャンプ場を後にする友を見送る
客はいなくなり管理人グループと僕だけが取り残される
やがて夕刻の冷たい風が吹き始める
離れたところに椅子を置き、腰を下ろす
喧騒の去った静寂の清津に身をまかす
この時間が何よりも好きだ
夕闇がせまる頃、管理人グループとともに山道を登り始める
ザックとギターケースが肩に食い込む
あえぎながら、ゆっくりゆっくり「緑のタイムトンネル」を抜ける
現実の世界へと帰っていく一抹の哀しさを感じながら
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