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2009.09.08

今年も寿コンサート 元気なり、地元のジジ・ババたち

今年も蒲生寿町の老人会で演奏させてもらった

「敬老の日」企画

題して「寿コンサート」

寿町の老人たちの長寿を願ってのネーミング

にしてもなんておめでたい町名!

実はボクはかつて寿町に十年以上住んでいた
様々な思い出がしみついた町

その町で演奏するのだから気合いも入る

今年は去年よりも人数が増えて四十人を超える集い
喜ばしいことだ
(ばぁちゃんが圧倒的多数というのがなんとも…)

オープニングはカントリー調にアレンジした「なんとなくなんとなく」

軽快な曲調に合わせて手拍子もとびだす

昭和の歌謡曲を中心に進める

 「私の青空」~「りんごの木の下で」~「月光値千金」

笑顔がはじけのっけから一緒に歌ってくれる
いい雰囲気だ
去年のコンサートの始まりはちょっと胡散臭げ、いぶかしげな表情で迎えられた

  なにものだ?
  この兄ちゃんは?

今年は最初から笑顔で迎えてもらえた

笑顔に勝る歓迎はなし!

童謡を2曲歌う

  「赤とんぼ」~「小さい秋見つけた」

僕にとっては初めての試み
「かざぐるま」時代は当たり前のように童謡や唱歌を演奏していた
ソロにもどってからは意識的に童謡や唱歌を避けてきた
ご老人相手の「慰問」で童謡・唱歌に頼るのは安易に過ぎる
そんな自戒があるためだ

「年寄りが喜ぶ音楽=童謡・唱歌」

そんな風潮が全般的にあるのは事実だ
そう決めつけるのは一面的であり、人生の旅路を歩き続けてきた先達に対して失礼な気がする

今回はどうしても歌いたかった
「寿コンサート」の中で親の世代の方々がたどった足跡を歌でたどれればと思っていた
幼少時代~青年期~中年~老年
人生のそれぞれを歌でなぞってみたいと思っていた
そうすると童謡は避けて通れない

おりしも前日、八ヶ岳で吉田まさみ君歌った童謡の数々が心に残っていた

「赤とんぼ」を歌いだすと皆さん自然に口ずさみ始める
歌が進むにつれて声は次第に大きくなり楽しそうに歌う
僕の中にあった「こだわり」はじいちゃん、ばあちゃんの邪気のない笑顔にこっぱみじんに粉砕されてしまった

リクエストもあり歌ったのは演歌

  「悲しい酒」~「津軽海峡冬景色」~「函館の女」

「悲しい酒」を歌いだすとそれまでの和気あいあいの空気が急に変わった
座が急に静かになる
僕の歌に合わせて口ずさむ人
  遠い目をして何かを見ている人
  目をつぶって聴いている人
僕はあえてテンポを落とし、ギターも声も抑えに抑えて歌った

「悲しい酒」という歌の持つ‘力’を感じずにいられない
それまで「ばあちゃんの顔」だった人が「女の顔」に変わる
そう感じたのは僕の深読みだろうか

それほどまでに「悲しい酒」という歌には力があり、たくさんの人の心に刻まれているんだろうな

「悲しい酒」を歌い終え、空気を変える必要があった

「津軽海峡冬景色」~「函館の女」を歌うにあたり、僕は大いにしゃべった
故郷・函館と内地を隔てる津軽海峡に対する北海道人の思いや、それにまつわる自分の青春時代の話を
北海道から内地にやって来て、やがてこの街・蒲生に流れ着いたあれこれだった

人生の先達たちと音楽会をやる時、「しゃべり」は大きな役割を持っていると思う
たいてい、先達たちは演奏をそのまま受け入れてくれる
にこにこしながら「ありがとう」と言ってくれる

でも、もう一歩も二歩も突っ込んだ音楽会にしたい
長い人生の道のりの中で深く静かに沈めてきたいろんな思いのほんの一端を引きずり出すことができたら
それにはただ歌うだけではダメだ

その歌に対する自分の思い
その歌の背景にある時代について
ストレートにテンポ良くしゃべるようにしている

ひとりよがりに陥る可能性もなくはない
でもうまくいった時、ライブは生き生きとしてくる

寿町のご老人たちは見事にライブに命を吹き込んでくれた

コンサート終盤に「おつきみどろぼうの歌」を披露する
この歌は先日印刷したばかりの「おつきみどろぼう」という本の作家ねぎしれいこ先生の書いた詩に僕が曲をつけたもの
絵本作家+出版社+印刷会社がタッグを組んだ業界でも珍しい試みの中から生まれた歌だ

歌に合わせて手拍子をいただく

「調子がよくて、おぼえやすい歌だわねぇ」

とのおほめの言葉をいただく

「お孫さんにこの本をプレゼントしてあげてくださいな!」

と、本の宣伝をしてエンディングへ

ラストソングは「愛燦燦」を選んだ
以前音楽友達・さすらいのギタリストさんが歌っているのを聴いて心動かされた
いつかどこかで歌おうと思いながら、暖めていた歌

今、このじいちゃん・ばあちゃんに歌わずしていつ歌うんだ!

そう思いながら静かに静かに歌う
ギターも歌もあえて音量を抑える
語るように、ささやくように歌う

今この瞬間どんな歌い方が一番適しているのか

以前はそんなことを強く意識しながら歌っていた
最近はその時一番いい歌い方が自然にできるようになってきた
見えない力がはたらいて自分を動かしているような感じになることがある
むろん頻繁にあるわけではない
ひとつのライブのキメの歌・キメの瞬間、自然にそうなることが多い

歌が会場を渡り、じいちゃん・ばあちゃんに吸い込まれていくような気がした

今年もいいライブにしていただいたなぁ

感謝しながら会場を後にした

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