デスペ・ライブ with ミツダイ 〔10年まえのライブの再現をめざして〕
今年に入ってから目覚しい活躍ぶりをみせるミツダイ
ぜひとも一緒にやりたかった
このところ30分程度の枠の中でライブを数多くこなしてきたミツダイだが、長い時間のステージでの彼らを久しぶりに観たかった
で、1時間の枠を自由に演出してもらうように依頼した
快く受けてくれたがハードルはいささか高かったかもしれない
①普段の倍の時間を演出する
②見知らぬお客様に演奏する
(しかも酔っ払ってチャチャを入れる軍団が目前に陣取っていた)
いつもよりも緊張した面持ちの二人
それでも演奏はいつものようにきれいなハーモニーを聴かせてくれた
お客様にしてみると初めて聴くオリジナルを中心に1時間突っ走った
中盤にはさんだコブクロやH2Oの歌が効果的に効き、オリジナルの良さを強調していた
さわやかで心地のよいステージだった
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さわやかミツダイの後はMartin古池のステージ
今回は45分×2ステージをもくろんでいた
どうしてもやりたいことがあった
それは10年以上も前に越谷の「ぶどうの木」というライブハウスでやっていたライブの再現だ
当時の僕は「ぶどうの木」のレギュラーとして活動していた。
今の自分とはちょっと結びつかないようなステージを展開していた
自己主張とメッセージ色が極めて強いものだった
当時相棒だったペケさんが突然蒸発し、一人でライブを切り盛りしなければならないという事情もあった
若さゆえの思い込みの強さも当然あった
テーマを決めて物語を組む
それに応じた歌を選曲(作曲)し、芝居でつなぐ
そんなスタイルでライブをやっていた
中島みゆき姉さんの「夜会」を意識していたこともあり
かっちりとシナリオを決めてそれを演じようとした
当時ライブ会場は緊張感で張りつめていた
お客様は目を丸くして(?)ステージを見つめていた
まるで毒気に当てられたように
演じ手の僕の一方通行のライブだった
その後さまざまな紆余曲折を経た
一方通行のライブスタイルの問題点や狭さが浮彫りになっていった
お客様の数はジリ貧になり、コアなMartinファンだけが残った
それでもテーマを決めてのステージを続けていた
そんなある日、「ぶどうの木」は経営不振のため店をたたんだ
試行錯誤の末、僕は街角に立った
たえず流れる人の群れに向かって歌い続ける
でも「ぶどうの木」でやっていたスタイルはまったく通用しなかった
「演奏者の一方通行では通用しない」という事実を突きつけられた
そこから演奏者とお客様との相互通行のライブをめざしはじめた
今の僕のライブスタイルはそういう事情があって作り上げてきたものだ
今ではお客様とのやり取りでライブを作っていくというスタイルがすっかりイタについている
でも…
なにか忘れ物をしてきたような気持ちが心の奥底に沈められていた
そしてなにかの折にクツクツッと心の表層に顔をのぞかせていた
「ぶどうの木」閉店という外的な力のために
それまでやってきたスタイルをそこに置き去りにせざるを得なかった
そんな気がしてならなかった
もう一度だけ、あのスタイルでやらなきゃならない
置き去りにしてきたものに、
ちゃんと決着をつけ、引導を渡さねばならない
ずっとそう思い続けてきた
今回のデスペライブで
「あのころのスタイル」を再現し、
「あのころの自分」に引導を渡すことにした
テーマは「ボタンをかけちがえた男と女の別れの情景」
互いに心の中では求め合っていながら、
小さな勘違いと思い込みが膨らんでやがて大きな誤解に発展
気がついたら手の届かないところまで来てしまった
そんな物語だ
1部はこの物語を10曲の歌とMCと芝居で進めることにした
I'll Hold You In My Heart (オープニング)
街風便り
追伸
1冊の本
ひまわり
坂の上の2階
坂道で
季節の中に埋もれて
愛されてますか
ダスティン・ホフマンになれなかったよ
思い通りに演奏できたかと問われると、???ではある
MCと芝居に照れが出た
10年ぶりということもあるが、それ以上にお客様の変化にあった
今目の前にいる客様は10年前のコアな人たちではない
今の自分のスタイルしか知らない人たちだ
その人たちに「あのころのスタイル」を演じてもよいものなのか?
そんなためらいが急に生まれてきたのだ
結局「芝居」を封印してしまった
(男と女の独白を演じるはずだったが部分的にしかできなかった)
それでも、1部のスタイルに「戸惑い、恥ずかしくてもそもそしてしまった」という感想を後でいただいた
(毒気に当てられた?)
1部のエンディング「ダスティン・ホフマン~」を歌いながら言いきかせていた
これでよかったんだ
「あのころのスタイル」は完全には再現できなかった
でも、それは今の自分のスタイルではもうありえないんだ
それを確認できただけで目的を達したと思うべきだ
♪ダースティン・ホフマンになれーなかったよ~~~♪
最後のフレーズを歌い終え、一人うなずいた
これでいい
これで「あのころ」に引導を渡せた
2部はまるで憑き物が落ちたような気持ちで臨むことができた
もちろん今の自分のスタイルで
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