清津峡 2009夏 「タイムトンネル」
今年の夏も清津峡に足を運んだ
毎年お盆のころにギターと食料を背負って出かけている
子供が小さい頃は家族で来ていた
やがて、子供は大きくなり、一人旅が続いた
ここ数年は音楽仲間とこの地で合流するようになり、ふたたびにぎやかな旅になっている
もうずいぶん長いこと続けてきた、僕にとっては大切な年中行事だ
今年は品川子供劇場のメンバー(しばちゃん、あつし、ジャイアン、S君ら)や
たけちゃん、なんと名古屋からはsaiりんさんがやってきた
さらに例年のごとく太郎ちゃんグループも来ていて、にぎやかな清津峡となった
日中はそれぞれ思い思いに過ごしている
川を流れたり、釣りをしたり
ギターを弾いたり、昼寝をしたり…
あるいは晩飯の準備に精を出したり
ゆったりとした時間が流れて行く
このゆったりした時間こそが清津峡の良さなんだが、1泊2日では忙しくてなかなかそのよさを感じることができない
できれば一週間くらいは滞在したいものだが、ままならぬのが浮世の哀しさ
今回は2泊3日の旅
2泊でも時は止まってくれる
時が止まっている時、僕は何もしないようにしている
何もせず、何も考えず、ただゆったりとした「時」に身をゆだねるようにしている
ただそれだけのことなんだが自分には大切な瞬間
子供の頃、
土手に寝ころび空を見上げ雲を眺めるのが好きだった
空に瞬く星をいつまでも眺めるのが好きだった
高台にあった生家の窓から漁り火を眺めるのが好きだった
降りしきる雪をひたすら眺めているのが好きだった
何を考えるでもなく、ただボーっと眺めていた
大人になり、ボーっとする時間が持てなくなった
たえず何がしかの刺激があり、無意識のうちにその刺激に対応するようになって行った
それはほとんど条件反射だった
やがて、刺激がなければ生きている実感すら感じられなくなっていった
自ら求めて刺激の中に身を投じて行くようになった
さまざまな刺激に反応し、それを処理するスリルと高揚感
そこに自分の生き場所を求めるようになっていった
仕事もライブもその他のいろんな事々も、みな刺激の塊だった
時々、どうしようもない疲労感におそわれた
心身ともにクタクタになった
そんな時僕は山に入った
好んで清津峡に足を運んだ
荷物は数日分の粗末な食料とギターだけ
(僕が一人旅を余儀なくされていた頃の話だ)
清津峡キャンプ場の入り口に車を停める
そこから山道を20分から30分、あえてゆっくり下る
刺激に慣れた自分の体から、少しずつ何かをそぎ落としていく大切な時間だ
キャンプ場でゆったりした時間に身をおくにしたがい、少しずつ子供の頃の感覚にもどっていく
そう、雲や星や雪や漁り火を飽くことなく眺めていたあの頃に
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清津峡での夜はちょっとした音楽会になる
ランプの灯りが頼りの「うしみつライブ」だ
その時居合わせたキャンパーに僕は心のおもむくままに歌ってきた
思いのままに語ってきた
普段やっている、スピード勝負のライブとはまったく違うライブ
思いのままに歌い、まったりしゃべる、そして呑む
酔いにまかせて歌う
つぶれるまで呑み、歌う
(ここ数年、すっかり呑めない身体になってしまったが・・・)
そんな音楽会が深夜まで続いた
今回もまたそんな「うしみつライブ」にすることができた
違うのは音楽仲間たちとそんな時間を持てたことだ
それは極上にして、最高の時間だった
翌日、浮世の垢ともよぶべきものを洗い流しふたたび山道を登る
ゆっくり、ゆっくりあえぎながら登る
少しずつ身体と感覚が普段の暮らしにもどっていく
それはこの地に来る前の疲れた自分とは違う自分のような気がする
ふたたび刺激の中で生きていく気力がわいている
そんな自分がいる
普段の暮らしを生きる大人の自分と
子供の頃の自分を結ぶ不思議なトンネル
それがこの山道なのかもしれない
清津峡キャンプ場の先代管理人「清津の仙人」がその昔、言っていたという
あの山道は
現代と昔を結ぶタイムトンネルだ
このキャンプ場に通い続けて30年に近い年月が経つ
最近になってようやっと…
「仙人」の言っていた、この言葉の意味を
実感するようになった
僕にとってもタイムトンネルになった
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コメント
お盆の清津峡への里帰りお疲れ様でした。
数年前より、清津の里に参加させて頂いてから、我が家もお盆には清津峡へ行くのが当たり前になり楽しみが増えました(^o^)/
しかも、今回のうしみつライブでは、横浜の聖子ちゃん(嫁)が、なんと贅沢にも古池さん、アキラ兄、タケさんのビック3に松田聖子を弾いて頂いてのプチライブ\(≧▽≦)丿
かなり、喜んでました。
なんと羨ましい( ̄○ ̄;)
この次は、10月のコンサートですね(^o^)/
楽しみにしながら出稼ぎをして、清津峡に帰ろうと思います(^O^)
投稿: 太郎ちゃん一派のゆうちゃん | 2009.08.20 07:58
おお、ゆうじさん
先日は楽しかったですねぇ
横浜の聖子ちゃんもよかったし
それを見るゆうじさんの笑顔がなによりもよかったなぁ
10月の清津への帰省をめざして、お互い出稼ぎ家業に精を出しましょうね
心のふるさとで、また会いましょう!
投稿: 古池 | 2009.08.20 13:56