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2009.06.15

人生の先輩たちへ 感謝を込めた応援歌

函館でははたぼーさんとのオフ会以外に目的がもうひとつあった

老人ホーム 「旭が丘の家」でのコンサートだ

このカトリック系の老人ホームはフランス人神父、フィリップ・グロード師によって創設された

グロード神父は函館人より函館人と言われる人だ
御年85才
カトリック元町教会の神父として60年もの間、函館に根を張って住み着いていらっしゃる
また20年近くも続いている函館野外劇の仕掛け人としても有名


僕の母は5年ほど前から「旭が丘の家」の住人になっている

85才の母は他の老人たちとともに「家」で共同生活を営みつつ、人生の「冬の時代」を謳歌している




3年前に帰省した時、「旭が丘の家」でソロコンサートをやった
この時は「入居者の息子」の立場で演奏させてもらった
僕を子供の頃から知る方もたくさんいた

人生の先達たちに見守られながら、やさしい時間の流れるコンサートだった

3年の間にコンサートを聴いてくださった方が何人もこの世を旅立たれたそうだ

その話を聞いた時、僕は「一期一会」という言葉を強く意識した


一期一会とは
人と出会い共に過ごすこの瞬間が再び帰らないものとして、心して大切に接するという言葉だ
出会ったものすべてに感謝の念を抱き、心を砕いて大切にもてなすという意味だそうだ
それは今出会えた喜びと、別れなければならない切なさとがついてくるものであり…


次また聴いていただけるかどうかわからない、
人生の先達の皆さんに、全身全霊をかけて歌いたい

僕たち若い世代を産み、育ててくれた先達たちに心からの感謝を込めて歌いたい

そして人生の「冬の時代」を平安のうちに、心のままに生き抜いてほしい

そんな願いを込めて歌おう


そう決意していた


今回はたけちゃん、すめちゃんも一緒だ

選曲で心がけたことがある

  決して「お年寄り」に迎合しないこと
  彼らにとっては子供の世代にあたる僕たちから
  親の世代へ向けたメッセージにしたい


核になる歌はたけちゃんの新曲「幼き日々」
あの歌には子供から親への感謝がストレートに込められている
僕の心情がすべて織り込まれている

なんとしても、たけちゃんに歌ってほしかった


でも問題がある

老人たちは新しいもの、知らないものはなかなか受け取ってはくれないものだ

自作自演の「幼き日々」を受け取ってもらうためには、別の仕掛けが必要だと思っていた

それはすめちゃんが歌う「蘇州夜曲」だった

まさにご老人たちが青春時代に口ずさんだ歌だ

すめちゃんは以前からこの歌を大切に歌っていた
昨日今日とってつけたように歌うのとはワケが違う
すめちゃんが歌う「蘇州夜曲」には彼の心が入っている
だからどうしても歌ってほしかった


苦い経験が僕にはある

以前、埼玉の老人ホームで歌わせてもらったことがある
僕にとって初めての老人ホームコンサートだった
選曲に悩んだすえ童謡や戦後の歌謡曲を選んだ
コンサートは順調に終わった
老人たちも喜んで聴いてくれていた
コンサート終了後、ホッとしながらくつろいでいた
あるご老人が歩み寄ってこられた

  にいさん
  いい歌をありがとう
  でも無理して我々に合わせることはない
  にいさんがよく知らない歌を歌われてもなぁ…

柔和に話しかけてくれたご老人の笑顔の裏には、
年寄り相手だからといって安易に童謡だ戦後歌謡だなんて歌うんじゃないよ
という批判が込められているように感じ、深く恥じた


****************************


40人からのご老人たちが集まってくれた
夕食前のひとときだった

ホームのスタッフの紹介を受ける
アドレナリンが急激に沸騰する

僕の役割は地ならしをして場の空気を作ること

自分の音楽の生い立ちを話しながら歌い始める


  父はクラッシック音楽が好きで、
  毎日ラジオでクラシック番組を流していたそうです
  でも僕はいっこうに反応を示さず…
  ある日、ラジオから流れてきたエノケンの歌に反応して
  身体を揺すりだしたとか


そんなエピソードを語りながら、エノケンを数曲
「知らないまに恋をして」「私の青空」「月光値千金」

その流れで「リンゴの木の下で」


  若い頃、夢を追いかけて北海道を脱出しました
  親が子供を思うほどには、子供は親を思わないもの
  そのことを身にしみて感じるのは、
  自分も親になり、子供が家を出て行ったときでした
  家を飛び出した子供を思う父親の歌です

  「案山子」


会場はすっかり歌の世界に引き込まれたようだ

トークと歌に対する反応がビンビン返ってくる
それに煽られるようにこちらの気迫も急上昇していく
双方の気が充満し、相乗作用を引き起こす


このタイミングしかない
予定よりちょっと早めにたけちゃんにバトンタッチ


「幼き日々」はたけちゃん自作の歌で、若かった頃の両親を思い出し熱い思いをぶつける歌

たけちゃんはそれまでの流れに乗って、アツくでも淡々と歌う

歌が進むに連れ、目頭を押さえている人も現れ…



たけちゃんの後を取り、熱を冷ますように静かに歌った
(曲は忘れたが、昭和歌謡だったと思う)

そしてすめちゃんにバトンを渡す

「蘇州夜曲」を繊細な声で歌うすめちゃん
かんぜんにすめワールドになっている

遠い目をしてほほえんでいるおばあちゃんが何人もいる
一緒に歌っている人も

最後は「ジャニーギター」と「テネシーワルツ」でしめた




3人ともすべてを出し切ることができた
すめちゃんもたけちゃんも1曲にすべてをそそぎ込むことができたんじゃないかと思う

時間にして45分のコンサートだった
でも密度は高かった

我々も燃焼できたし、その熱は人生の先達たちにも届けられたんじゃないかと思いたい

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