父の命日 そしてMartinギター
今日13日は父の命日
あれから17年になる
数度に渡る手術と数年間に及ぶ闘病生活の末、ガンであの世へ旅立っていった
当時僕は38歳だった
いっぱしの親でありながら、どこか腰の落ち着きがなかった
大人になりきれない、大人だったかもしれない
心のどこかでいまだに父を頼っていたように思う
父が死に、僕を支えてくれた精神的支柱がなくなってしまったように感じ…
落ち込んだ
喪失感の長いトンネルを抜けなければ前に進めないと思った
何かきっかけが欲しかった
唯一のギター「グレコ」のネックが折れた
10年ほど前にゴミ捨て場に捨てられていたのを拾って整備した
以来、勝負ギターはこの「グレコ」だった
ギターを買った
MartinのトリプルO
それまで僕は自分に言い聞かせていた
マーチンなんかもてる身分じゃない
お金もない
腕もない
俺にマーチンは猫に小判というもんだ
考え直した
マーチンを買おう
飛び切り高くなくともいい
自分の気に入った音のマーチンを買おう
池袋の石橋楽器で一日を費やして試奏をくりかえしたすえ
買ったのがトリプルOだった
今の俺には身分不相応
経済的にも、技術的にも
でもこれを買うことで
親父から独り立ちしよう
当時の僕にはとても買えないギターだった
歯を食いしばって買った
音楽ネームをつけた
Martin古池
子供の頃のニックネームと、
相当の決意で買ったマーチンギターに引っ掛けた
以来この名、このギターで演奏してきた
最近はブルーリッジギターに主役の座を奪われたマーチンギター
だが今夜だけは父の遺影の前でマーチンギターを弾いた
今の俺がナンボのもんかはわからない
でも親父
アンタが旅立った後
俺は、このギターを頼りに
自分の道を切り開こうとしてきたんだよ
遺影の父は17年前と同じ微笑を浮かべてくれた
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