1秒で人は変われる 映画 「107+1 天国はつくるもの」
お笑い芸人だった軌保博光氏が監督を務めたドキュメンタリー映画を観てきた
軌保博光氏のことはまったく知らなかった
彼がなぜ「てんつくマン」と名乗っているかも当然知らない
映画を観るまで、まったく何もわからない状態だった
すべては やるか やらないか
あきらめるか あきらめないか
このキャッチになにかひっかるものがあったのみだった
・
・
映画はてんつくマンこと軌保氏が数人の若者たちと何かを変えようとして沖縄に渡るところから始まる
楽園・沖縄はけっして美しいだけの島ではなかった
街中に捨てられたゴミ
山中に不法投棄された粗大ゴミの山
てんつくマンたち若者はこれらの現実に直面する
自ら行動にうつすことで住民にもゴミ拾いに参加するよう呼びかけ始める
「ゴミレンジャー」のコスチュームに身をつつみ、まず子供たちに訴える
子供たちが変われば、母親も変わると考えてのことだ
さらには役所とかけあい、山中に捨てられた大量の粗大ゴミを片付けようとする
しかし、なかなかことは思うように進まない
不法投棄されたゴミの山を回収しても、それを処理する能力が追いつかない
役所としては「ありがた迷惑」な話なのだ
しかし、彼らの熱意がやがて住民や役所にも伝わりひとつの流れになっていく
・
・
てんつくマンたちは同時進行で別の行動も起こしていた
貧困にあえぐアフガニスタンのキャンプ村に暮らす子供たちに手編みのマフラーを送ろうという計画だ
ごく普通の女の子が責任者になり、「虹のマフラー」づくりを呼びかける
最初はまったく相手にされなかった
しかし、粘り強く呼びかけを続けていく中で少しずつマフラーを編む人が増えていく
1メートルほどの虹色のマフラーをつなげ、やがて何百メートルもの長さになる
まさに日本とアフガンとの虹の架け橋だ
てんつくマンはこのマフラーをアフガニスタンのキャンプ村に届けた
しかし、生活苦にあえぐ彼らに善意は届かない
手作りマフラーにこめられた「思い」よりも、「モノ」を求める彼らはマフラーを奪い合うことになる
てんつくマンの必死の説明、必死の説得で自体は収集し、最後はマフラーとともに「思い」も届けられ…
・
・
てんつくマンと若者たちはこういう経験を通して、
自らの身体を使い行動に移すことが少しずつ何かを変えていくことにつながると確信していく
それにはまず自分を変えなければならない
そう思った彼らは沖縄から鹿児島まで500キロを
手漕ぎの舟で渡る計画を立てる
もちろんまったくの素人
あるのは気持ちと若い肉体だけ
教えを請い、協力を求められた沖縄のその道のプロたちは首をかしげた
しかし海について学び、身体を鍛え、壊れかけた船を修復し、さらにはボートのレースで好成績を残した若者たちの熱意に少しずつその気になっていく
周囲の本気の協力やサポートを得、この計画は現実のものになった
20人ほどの若者たちはひたすらこぎ続ける
島から島へ漕ぎ渡り、何日もかけて海を渡っていく
当然さまざまなトラブルとも直面する
最大のトラブルは「海を甘く見た」ことによる人為的ミス
それは自分たちの甘さでもあった
そんな状態ではこれ以上の協力はできないと言い放つその道のプロ
厳しい現実に自問自答する若者たち
そしてやがて意を固める
自分を変えるしかない
1秒あれば自分を変えられる
気持ちもあらたにふたたび鹿児島をめざす舟
ひたすらこぎ続ける若者たち
やがて遠くにゴールの鹿児島の浜辺が見えてくる
・
・
てんつくマンと若者たちの挑戦は今も続いている
一人ひとりの若者たちが、沖縄で小さな挑戦をはじめ、やがてそれはアフガニスタンや他の地域にも広がっている
彼らの自分を変えようとする思いはやがて周囲を巻き込み
小さな挑戦はすこしずつその輪を広げ、今では世界規模にまでなっているようだ
・
・
2時間半に及ぶ長い映画だった
てんつくマンと若者たちの数年間の活動の断面を切り取ったドキュメンタリー
僕は彼らの活動が実を結びつつあることよりも、「夢」を追いかけてあきらめない彼らの姿勢にこそ価値があると感じていた
たぶん、ドキュメンタリーには表れない挫折や失敗はたくさんあったと思う
心が折れ「夢」をあきらめかけたこともあったと思う
それでもそのたびにふたたび挑戦し続けているのだと思う
「夢」をあきらめない人間になりたい
人間は1秒で変われる
良くも悪くも
この1秒を大切にすることが「夢」をあきらめない極意のような気がする
| 固定リンク | 0
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 駅 STATION(2024.11.25)
- 涙がしらずにあふれてきたのさ(2024.07.01)
- 映画「風立ちぬ」(2020.10.08)
- 【満男の涙】(2020.01.31)
- 「風と共に去りぬ」(2020.01.14)
コメント