街角ライブの記録 10 【2004年1月8日】
Martin Koike 風の便り vol.10
2004年1月8日
番外編 ふたたびえんちゃんについて
高円寺駅に降り立って、北口の商店街を歩き回った。いとこのエンちゃんがやってる「居酒屋 ENTA巣」を捜しまわったのだが視線は知らずのうちに中古楽器屋や中古レコード屋に行ってしまう。この街はもしかしたら音楽好きにはかなり美味しい街かもしれない。なにせ中古レコード屋が3件もある。でもその割には街角で歌う若者がいない。時間が早いせいだろうか、それとも駅の規制が厳しいせいだろうか。チョットさびしい気がした。
1時間近くもほっつきまわった末、繁華街からチョットはずれた小路の角に「ENTA巣」はあった。戸を開けるのをなんとなくためらった。どんな顔をすればいいのかな。なにせ35年会っていないんだから。とまどいつつ下を開けて中を覗き込む。こじんまりとした店内に客はまだなく、カウンターの中でエンちゃんはなにやら作っていた。「エンちゃん?!」と声をかけると、「おお!マサ坊か?(僕のことです)いきなりだな。今年の最初の客はおまえだ」ここまではいい。ごく普通の再会の挨拶。この後がすごかった。懐かしいなとか、元気だったかとかくるのが普通なんだろうが、エンちゃんは違った。
「マサ坊この曲知ってるか?ライ・クィーダ。俺、今これにしびれてて正月はハマッテタ」
函館弁丸出しでいきなりぶちかましてくれた。以後延々とキューバの音楽について語りだした。僕の最初のためらいは何処かにぶっ飛んでいた。前にも書いたがエンちゃんは35年前函館から東京に出てきてプロドラマーをやっていた。全身これ音楽といった人生を歩いてきたんだろう。風の便りに僕もまた音楽を続けてきたことを知っていて、顔を見るなり前菜を省いていきなりメインディッシュにいったんだろう。キューバの音楽は数年前高橋ゲタ夫さんの洗礼を受けていた僕も大好物だった。客が来るまですっかりヒートアップしていた。
すっかりいい気分になり、すっかり酔っ払って帰路についた。
高橋ゲタ夫:ベーシスト。日本ラテン音楽界の第一人者。 ベースもさることながら、味のあるヴォーカルや笑いの止まらぬステージ。 とにかく彼のライブは楽しいのひと言です。 数年前、越谷にライブハウス「ぶどうの木」があったころ、 パーカッションの横山達治とのコンビで2ヶ月に1度ライブをしていた。 |
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