【通勤音楽鑑賞】 「Scratch」 The Crusaders
K君と僕は高校生のころジャズ・バンドの真似事をしていた
ジャズはフォービートでなければと頑なに思い込んでいた
(僕たちのジャズの先生はK君のオヤジさんだった)
そんな固定観念をクルセーダースの「スクラッチ」はこっぱみじんにしてくれた
エリノアリグビー(ビートルズ)やSo far away(キャロル・キング)といった選曲のためではない
魂を直撃するホーンセクション
感涙を誘うエレクトリック・ピアノ
腹のずいにドシドシ響くドラムとベース
ライトでノリのいいギター
そのすべてがジャズだのフュージョンだのクロスオーバーだのといった垣根を
こっぱみじんに打ち砕いてくれたのだ
そう、僕たちは…
ファンキーでノリのいい、そしてめちゃくちゃ重量感のある演奏にぶっ飛んだのだ
毎日毎日、「スクラッチ」を聴いては酒を飲み
酒を飲んでは人生論に明け暮れた
アパートのまわりは畑だった。
石井荘の1階は大工の作業場だった
誰に遠慮気兼ねすることなく、ボリュームを上げて聴きつづけた
とりわけお気に入りはB面1曲目の「ハードタイムス」という曲だった
ジョー・サンプルのピアノと、忍び込んでくるトロンボーン、サックスの音にしびれた
女に惚れたといっては酒を飲み
女にふられたといっては涙した
そんな時・・・
「ハードタイムス」と安酒はいつも僕たちのそばにあった
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先日、CD化された「スクラッチ」を手に入れた
CDではB面に針を落とす時のあのやるせない感じこそ味わえないが
それはやはり「スクラッチ」だった
B面1曲目「ハードタイムス」を聴きながら、
電車の中でひとり、涙をこぼしていた
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