寅さん逝って はや10年…
北海道新聞のコラム「卓上四季」に
寅さんこと、渥美清さんについて書かれていました
渥美清さんがなくなって10年…
フーテンの寅さんがふりまいた笑いと涙が今やたらと懐かしい
寅さんとそのまわりの人たちが織りなす人間模様
僕たちが日常の中でつい忘れがちな大切なものなんでしょうね
寅さん(8月4日)
映画「男はつらいよ」の寅さんは結構わがままで気が短い。
妹のさくらや「とらや」の人たちと、ささいなことでけんかする。
「出ていけ寅」
「言ったなおいちゃん、それを言ったらおしまいよ、出ていってやる、冗談じゃねぇや」こんな調子だから、もし寅さんが身近にいたら、怒らせぬよう神経を使うかもしれない。
それでも「見ていてほのぼのする」といった感想が目立つ。
なぜだろう寅さんたちは、けんかの後しばらくすれば、あいつはあれでいいやつだったと思い返す。
相手に優しい本音があることを一瞬忘れても、また思い出せる。
だから、激しく争った後も平気で大笑いしている人間関係を自然に修復する力が強いのだ。
気持ちをほぐし合うことに慣れた人たち。
「とらや」が癒やしの場なのはそのためだ。
娘の自立を嫌う頑固な父を見れば、みんなでほぐしにかかる(寅次郎恋やつれ)現代は人間関係がもろい。
ストレスを感じたとき、我慢せず腹を立ててから「ごめん」と言えば済む場合にも、
いきなり包丁を持ったり火を付けたりする。
取り返しの付かない結果を生んで、「おしまいよ」となってしまうのに寅さんを演じた渥美清さんが亡くなってきょうで十年。
世は格差が広がり、フーテンの身には生きにくくなったかもしれない。
その分、作品に輝きは増した。
天国から複雑な思いで見ていることだろう。
北海道新聞 「卓上四季」
2006年8月6日
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