さっそく… 「大きな古時計」
この歌がアメリカから日本にやってきたのは1962年。
昭和37年のことです。
東京オリンピックを2年後にひかえ、
日本は復興への道を急ピッチで走り抜けているころです。
NHKの長寿番組、「みんなの歌」で紹介されたのが始まりだそうです。
大きな古時計
大きなのっぽの古時計
おじいさんの時計
百年いつも動いてた
ご自慢の時計さ
おじいさんの生まれた朝に
勝ってきた時計さ
今は もう 動かない その時計
★百年休まずに チクタク チクタク
おじいさんと一緒に チクタク チクタク
今は もう 動かない その時計
なんでも知ってる古時計
おじいさんの時計きれいな花嫁やってきた
その日も動いてた
うれしいことも 悲しいことも
みな知ってる時計さ
今は もう 動かない その時計
(★リピート)真夜中にベルが鳴った
おじいさんの時計
お別れの時がきたのを
みなに教えたのさ
天国にのぼるおじいさん
時計ともお別れ
今は もう 動かない その時計
(★リピート)作曲:H.C.ワーク
約詞:保富康午
元歌はヘンリー・クレイ・ワークというアメリカの作曲家が作ったものです。
1874年、日本では明治維新を迎えたころです。
ワークがイギリス旅行で泊まった、ジョージホテルのロビーに大きな古時計が飾られていたのです。
ところがこの古時計 11:05 をさしたまま動いていないのです。
いぶかしく思ったワークがホテルの支配人に聞くと、
この支配人得々として時計にまつわるエピソードを語りだしたそうです。
そのエピソードとは…
昔、ジョージホテルはジェンキンス兄弟が経営していました。
兄さんジェンキンスが生まれた日、この時計は購入され
ホテルのロビーに設置されました。
以来90年間、ホテルの顔として時計は時を刻み続けたのです。
1週間に一度、ねじを巻いてやりさえすれば、
ほとんど狂うことなく正確無比に刻み続けたといいます。
ある日ジェンキンス弟が病にたおれ、やがて息をひきとります。
その日から正確無比を誇ったこの時計は少しずつ遅れだし、
ついには1日15分も遅れるように…
いくら修理してもそれは直らなかったそうです。
1年後、弟の後を追うように兄も帰らぬ人に。
葬儀に集まった人たちが、ふと時計に目をやると…
「…時計が、止まっている」
時計は兄が亡くなった 11:05 をさしたまま、動きを止めていました。
以来、ジョージホテルにはこの時計が据え置かれるようになりました。
11:05 を指したまま…
ワークはホテルの支配人の話に触発され、アメリカに帰国後、曲を書き上げたそうです。
曲の名前は
Grand Father's Clock
アメリカ全土でヒットしたそうです。
訳詩は原詩の内容をほぼ忠実に再現しています。
けれど原詩の方がより具体的に、直接的に状況を読み込んでいます。
日本人の僕から見るといささか饒舌に過ぎるかなって気もします。
たとえば、原詩には 「Died」=「死」 という言葉が出てきます。
それもリフレインでくりかえし、くりかえし使われています。
訳詩をした保富康午は、死にまつわる直接的な言葉を使わず
「天国にのぼるおじいさん」と死を暗示させるにとどまっています。
「みんなの歌」という子供番組で発表するという事情があったためかもしれません。
けれど暗示的な言いまわしをあえて使うことで、
日本人のメンタルにあった訳詩になっているような気もします。
具体的な内容を合えて書かないことで、
この歌は誰にでもあるような、普遍的な歌になったような気がします。
僕は保富康午の訳詩ではなく、高石ともやの訳詩で歌っています。
こちらの詩は、日本人のメンタルに訴える内容であるとともに
おじいさんの生きた歴史を、孫である 「僕」 が受けついで生きたい
そんな思いがこめられているようで、
お気に入りです。
おじいさんの古時計
おじいさんの自慢のものは 大きな古い時計
僕の背よりずっと高い ふりこが揺れる時計
おじいさんの生まれた朝に 買ってきた大時計
今は もう 動かない 古時計★休むこともなく ・・・・
朝から晩まで ・・・・
おじいさん ありがとう さようなら80年の時をきざみ 生きてきた時計
汗と涙のしみこんだ 黒光りの時計
おじいさんのたおれた朝に 時計は止まっていた
今は もう 動かない 古時計
★(くりかえし)働きつづけて80年 何もいわないで
今はお墓に眠ってる 何もいわないで
僕もなりたいあの人のように やさしく たくましく
今は もう 動かない 古時計
★(くりかえし)
おじいさん ありがとう さようなら…訳詩:高石ともや
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