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2005.12.20

デジタル化に波に取り残され消えゆくアナログ…

朝、20年来のなじみの業者さんから声をかけられました。

古池さん

長い間いろいろお世話になりましたけど、

先月いっぱいで会社を閉じました。

今は、Uプロセスさんでお世話になってます・・・

まだ40代のI社の社長でした。

また別の業者さんに勤めていた、Kさんにも声をかけられました。

私、今日で会社を辞めることになりました…

ここ数年、売り上げが落ち込む一方で…

リストラってやつですか…

失業保険で食いつないで、次の仕事を探すつもりですが

なんせ、歳がね…

僕よりちょっと年上の、50代の営業担当者でした。

お二人は20年にわたって、いろいろ無理を聞いていただいた方々でした。

印刷業界にデジタル化の波がおしよせはじめてから、ずいぶん時がたちます。

最初は製版のデジタル化が一気に進み、最近では印刷の方にもその波がおしよせてきています。

この流れはもう押しとどめることはできないでしょう。

デジタル化が進むことによって、品質の安定化につながることも事実です。

コストの低減にもつながるでしょう。

その意味では必要なことだと思います。

産業革命の時代から新しい技術が生まれると、古い技術は追いやられ消滅してきました。

これは歴史のことわりというものでしょう。

けれど滅びゆく技術に依存して生計を立ててきた会社や、その従業員の先行きを思うと…

なんともやりきれない思いにかられます。

何十年という時間をかけて体得してきた技術を必要とされなくなった時、単に職だけではなく、技術に対する誇りまでも奪い取られることになる。

技術者や職人にとって自分の技術を不要とされることは、人間としての尊厳まで失うことにつながる・・・

彼らの不安や気持ちを考えると、たまらない気分になります。

そんな話を、デジタル化推進の中心になっている人にポロリともらしてしまいしました。

そしたら、彼に軽く言われてしまいました。

デジタル化の波がおしよせるのは予想がついたはずですよ。

だったら先行投資をして、それに対応するべきでしょう?

それをしなかった以上、倒産や失業はやむをえないでしょう?

そりゃ、そのとおりですよ。

でもその言葉を僕は素直に受け止めることができませんでした。

先行投資ができるくらいなら、とっくにやっているでしょう!

でも残念ながら、印刷産業は投資の額に対して単価があまりにも低すぎる産業なんです。

たとえば印刷機は1台3億~4億もするのに、印刷単価は1色あたり60銭~70銭ですよ。

いまどき、銭という単位が大手を振って歩いている産業ってほかにあるんでしょうか?

それも年々低下傾向に拍車がかかっているのです。

この数年、大手も中小も無理に無理を重ねて操業してきたというのが実態。

体力のある会社ならまだしも、そうじゃない会社は先行投資なんて夢のまた夢…

古い水夫たちが、新しい水夫にとって変わられるのは…

そりゃいたしかたないことでしょう。

でも、「滅びゆく技術」にたよって生きてきた、一人ひとりの人間の無念さを…

せめて分かってあげたい。受け止めてあげたい。

ひとりの技術者として、僕はそう思います。

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コメント

 切ないような、当然のような・・・・
複雑な感じです。
 私の業界も、勢いよくIT化やらデジタル化してます。
 ここに来た当時は得意先が最先端なら、我が社は20年前の技術って感じでした。
色々努力してやっと5年前の技術まで追いついた感じです。 
 が、足りない所はどうしても設備なんですよね。
 だから社長(親父)に「設備投資しろ」と、また得意先の社長、会長までにも言われても、やろうとしない、
出来ない、怖いと言う思いが強いのか、その気なし(涙)

幸いにして私は、昔の技術の心得も持ってるつもりなので、難とか飯だけは食べてられます(笑)

 最近はちらほらと景気回復の声もきかれますが、まだまだきびしいですよね。
 しかし、確実に仕事量は増えてるから、もう少しで、ラクになるかと期待しながら、テキトウに頑張ってます(笑)

投稿: しば | 2005.12.20 09:56

しばちゃん

どこの業界も同じですね。

いつの時代も、こういうことがくりかえされながら、産業は発展してきたんでしょうがね…

でも、斜陽の産業に働く人々にとっては死活問題であって…

歴史の歩みは止められないと知りつつも、荒波に飲み込まれていくんですよね・・・

切ないよね…

投稿: Martin古池 | 2005.12.21 22:35

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