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2005.12.30

無声映画 「メトロポリス」 そしてクイーン

大掃除。

古いビデオの整理をしていて見つけたほこりをかぶったテープ。

録画内容を確認しようと思ってまわしてみると、晩年のアート・ブレーキーが出てきました。

よれよれになってたたく『ブルース・マーチ』に涙していると、突然画面が変わって…

「メトロポリス」とタイトルが大写しになりました。

ん? 何だこれは・・・

やけに古びた映画だが…

なにげに見ていたらやたら懐かしい画面が・・・

そう!

クイーンのDVDでおなじみのシーンが・・・

「メトロポリス」は1926年に作られた白黒無声映画。

2006年の未来を描いています。

つまり、来年のことを予想して80年前に描いた作品です。

メトロポリスという近代的都市で人々は安楽に暮らしています。

ところがそれはごく一部の特権階級=ブルジョアジーのための都市!

メトロポリスの地下には労働者階級が住み、彼らの労働で成り立つ虚構の街だったのです。

80年前に想像した2006年は当時の社会・経済情勢を見事に反映していました。

資本主義社会が急速に進展するとともに、社会はブルジョアジーとプロレタリアートの階級闘争が激化していった時代です。

ロシア革命がプロレタリア政権を樹立した時代であり、アメリカでは労働組合運動が激化した時代でもありました。

メトロポリスは階級闘争の延長上に2006年があるというふうに描かれています。

その後の歴史は社会主義国家の実験がことごとく失敗に終わっています。

階級意識が薄れた現代社会を予見できなかった。 

逆にそこが面白いと思いました。(この辺のところはいずれまた書きたいと思います)

いずれにしろ、社長による労働者の支配は絶対的なものでした。

ところが、社長の息子が労働者階級の娘マリアに恋をしたことが発端となり事件が起こります。

マリアは労働者たちの女神的な存在でした。

彼女はいつか社長とわかりあえる日がくると預言します。

それには両者の仲介者がいなければうまくいかない。

そして仲介者は必ず現れると説いていました。

そんなマリアを社長はさらわせ、彼女そっくりのロボットを代わりに送り込ませました。

カリスマ的存在のマリアの力を利用し、ロボットに労働者たちを管理させようと考えたのです。

ところが、このマリア・ロボットが暴走し始め、工場を打ち壊すように煽動したのです。

マリア・ロボットの妖しい魅力のとりこになった労働者たちは、工場を破壊!

その結果、自分たちの地下居住区が水に飲み込まれ子供たちが溺れ死ぬことに…

(実は、脱出した本物のマリアと、社長の息子が子供たちをすんでのところで避難させ無事だったのですが・・・)

激怒した、労働者たちはマリア・ロボットを捕らえ火あぶりに。

生産設備を失い、自分の息子までも地下の労働者街で水に飲み込まれたと思い込んだ社長。

自ら、自分たちの生活の糧だった工場を破壊し途方にくれる労働者たち。

両者は互いの心を初めて肯定的に受け止めることができました。

でも、長年の支配関係からなかなか握手ができない。

そこに本物のマリアが社長の息子に耳打ちを…

あなたが仲を取り持ちなさい。

息子は父の手を取り、反対の手で労働者の親方の手を取る。

そして、次には両者の手を直接握らせ、間を取り持つことに成功!

そんな筋書きでした。

階級闘争という当時の社会通念に対して、キリスト教的観点(愛の精神)が階級融和を生み出す。

(階級融和というのは労働者の復権という意味です)

そんな気持ちからできた映画のように思え、興味深く見終えることができました。

ちなみに、1926年に作られたオリジナル版は内容の過激さで上映できなかったりして、フィルムもかなりの部分が散逸してしまったそうです。

1980年代に入り、オリジナルのシナリオなどを元に復元し、その時に当時のミュージシャンたちに1曲ずつ挿入歌を歌わせたとか。

主題歌はフレディ・マーキュリーが歌い、その関係でクイーンのDVDに「メトロポリス」の映像が一部使われたということのようです。

20年前に偶然録画しながら、見るチャンスがなかった「メトロポリス」。

ずっと意図を計りかねていたクイーンの不思議な映像。

気まぐれにビデオテープの整理をして・・・

20年のときを経て、今一本につながった。

そう思うと、なんだか不思議な感じがします。

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