【僕を通りすぎた歌をたどる旅】 伊勢佐木町ブルース
ジャジャッジャ ジャジャジャジャンジャ ジャン!
ン… はぁ…
テレビのブラウン管から突如として聞こえてきた女のあえぎ声。
度肝を抜かれました。
思春期まっさかり。僕が中学生のころです。
おもわず、そばにいた母の顔を盗み見ちゃったくらいです。
母は意に介さない風でしたが、内心ビクッとしたんじゃないかな…
なにしろ思春期の息子が2人もそばにいたんだから。
本当に衝撃的でした。
僕の知っていた歌謡曲とは一風変わった大人の世界を連想させるこの歌。
もういっぱつで覚えちゃいました。
頭の中はいつでもイントロのメロディと「あえぎ声」がうずまいてましたもんね。
でも大人の手前、それを口に出して歌うのがはばかられて…
心の底にしっかり封印されたまま、大人になりました。
その後フォークソングにしびれちゃって、歌謡曲を商業主義に毒された音楽と思っていた青春時代…
「伊勢佐木町ブルース」のことはすっかり忘れ去っていました。
去年、サザン・オールスターズがライブでカバーしているのを聞いて、衝撃を受けました。
おっ! 今聴くと
すげぇ いい歌ジャン!!
で、この歌が心の中に復活したってワケです。
まずメロディが当時の歌謡曲としては秀逸ですよね。
ブルースやジャズのイディオムを使ってる風じゃないのに、それっぽく感じさせる。これはアレンジのよさと青江三奈さんのボーカルがうまくマッチしてるんでしょうね。
青江三奈さんってもともとジャズを歌っていたそうですよ。
晩年にはマル・ウォルドロンなんかとジャズのアルバムも出したそうです。
それにしても、彼女のボーカル…好きだな…
切ない、ドロッとした女心を歌ってもどこかさらっとしてるんですよね。
「恍惚のブルース」や「夜の池袋」なんてのも好きだなぁ。
そういえば、20年位前越谷の蒲生に「文化」というスナックがありました。
ママが北川文化さんという作詞家で、青江三奈さんの曲を書いてレコード大賞の作詞賞を受賞した経歴の持ち主。
僕はこの店の常連だったことがあります。
ママさんが青江三奈さんを迎えてイベントをしたことがありました。
僕は、なんと本人の前で「恍惚のブルース」を恥ずかしげもなく引き語ったのです!!
若かったんですね…
三奈さんは笑いながら握手してくれたのを覚えてます。
ナマの青江美奈を見たのは後にも先にもこの時だけ・・・
あ、脱線しちゃった…
「伊勢佐木町ブルース」の歌詞も古き良き昭和を感じさせてくれて、いいですね。
まず、伊勢佐木の情景が浮かんできます。
夜の街「伊勢佐木」で生まれる恋の夢と別れの涙。
小さな恋の物語がたくさん生まれ、はぐくみ、壊れていく…
恋に破れてもまた、あらたな恋がはじまっていく…
伊勢佐木の灯りはそれを飲み込んで、いつも変わらず灯っている…
主人公は一人称の私なんですが、感情的表現をあえて排していて…
そこに雰囲気というか、風情みたいなものを感じてしまいます。
「私」の目は「あなた」に向いてるんじゃなくて「伊勢佐木」を見ている。
なんだか理屈っぽくなってきたんで、講釈はこの辺で!
今度の「三貴」ライブで「伊勢佐木町ブルース」を歌ってみようかなと思ってます。
ドゥドゥビ ドゥビ ドゥビ ドゥビドゥバァ
こいつの歌い方が決め手になるのかな?
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