今年は埋もれた名曲の発掘に力を注ごうかなと思っています。
3年目の『街角ライブ』ですが、今までも柱がいくつかありました。
①季節の歌を中心にプログラムを組む。これは僕がライブ活動を始めた頃からの基本姿勢です。もう15年くらいこのスタンスでやってきました。
②好きな歌、マニアックな歌、オリジナル。これはもう完全に僕自身の好みの世界。
③リクエストの多い歌を歌う。これはどちらかというと聞いてくださるお客さんサイドに立った選曲です。このおかげであまり演奏をしたことのない歌をたくさん覚えることができました。
④かくれた名曲を発掘して歌う。
大まかに分類するとこの4つの柱を組み合わせてプログラムしてきました。
『街角ライブ』の1年目は季節の歌を縦糸に好きな歌をメインにしてきました。
2年目の去年は季節の歌はそのままにリクエスト曲が多い展開でした。
昨年末忘年会で1年ぶりに顔を合わせたFさんと音楽談義をしていて彼がこんなことを言い出しました。
「古池ちゃんは歌詞を大事にする人だから分かると思うけど、『街角ライブ』で歌詞を表示する方法は何かないかなぁ。残しておきたい歌、歌い継ぎたい歌、埋もれてしまうにはあまりにもったいない歌、忍びない歌っていっぱいあるじゃない。そういう歌を古池ちゃんのライブでやって欲しいんだ。メロディと一緒に歌詞を歌い継いで欲しいんだ。」
Fさんとは10年くらい前に『微笑をあなたに』という二人で作った歌があります。詩を彼が書いて僕が曲をつけたものです。それぞれの子供たちが通っている中学校のテーマソングとして作られた歌でした。
その時から音楽に対する共通のアプローチを感じていました。彼の提案は充分納得のいくものでした。僕のスタイルもいわば『温故知新』という部分があり、そのやり方を励まされた格好にもなり今年のテーマにしようと思ったしだいです。
フォークソングのアプローチっていろいろあると思います。
オリジナルを追求する行き方が主流になっていますが、フォークの源流には人々に歌われていた歌を発掘するという行き方もあります。
アメリカでは1930年代にA.P.カーターという人がそれを実践しました。アメリカを旅して歩き各地に埋もれていた歌を発掘してはレコーディングするという作業です。発掘された歌はオリジナル・カーター・ファミリーによって歌われ、後のフォークシンガーに大きな影響を与えています。ウディ・ガスリーやピート・シーガーもその一人です。
ちなみにカントリーミュージックやフォークソングのギター奏法に大きな影響を与えた「カーター・ファミリー・ピッキング」はカーター・ファミリーのメイベル・カーターによって編み出された奏法です。このカーター・ファミリーの子孫は今でも活動を続けています。(来日もしています)
カーター・ファミリーの話を長々としたのは、僕の中にA・Pカーターさんのやり方に共鳴する部分が大きく、いずれは本腰を入れて取り組みたいと思っていたテーマだからです。ただ日本の場合アメリカとは音楽事情がかなり違うのでどういうアプローチでそれをやればいいか迷っていました。
Fさんとの話の中で感じたことがあります。こだわる必要なんかないということです。フォークシンガーとしての僕のフィルターを通して心にすとんと落ちる歌であればOKということです。
自分が感じる歌を、自分の解釈で、自分なりのアレンジで歌えればそれでいいのかなと思っています。
そういう1曲1曲を大切に歌い継いで行くことを今年の『街角ライブ』のテーマにしたいと思います。
最近のコメント