ちいさな一人旅 風と自転車
台風の風をぬって自転車を走らせた。
いつもの通勤サイクリング。
30分の道のりを45分かけてのプチ一人旅だった。
強烈な向かい風。
ペダルを軽くする。
足をまわす。
まわしてもまわしても前に進まない。
突然風がやむ。
おっ?と思うと横からの突風!
自転車があおられヒヤリ!
あわててバランスをとる。
自転車にとって一番の大敵。
それは風。
雨でも、冬の寒さでもない。
風が一番怖い。
すぐ右側を車が走りぬける道。
神経をすり減らしながら走る。
★★★★★★★★★★★★★★★
ふと10年前の自転車旅行を思い出した。
40歳の誕生日。
父の1周忌。
僕にとって特別の意味を持つ旅だった。
生まれ育った函館をスタート。
高校時代をすごした室蘭に一泊。
母の住む札幌をめざした。
400キロの旅路だった。
室蘭から苫小牧までの長い道。
海岸沿いの一本道だった。
右に内浦湾。左に樽前山。
遠くにかすむ苫小牧の製紙会社の煙突。
猛烈な向かい風だった。
漕いでも濃いでも一向に前へ進まない。
何時間走っても景色は変わらない。
強烈な浜風に自然の力の大きさ、獰猛さを実感。
それに立ち向かおうとする人間のなんと小さなことか。
★★★★★★★★★★★★★★★
あの時の感覚を思い出していた。
いつもなら何も感じることなく走り抜ける道。
忘れかけていた感覚を思い出させてくれた台風。
たった45分のことだった。
でも結構すてきで、小さな一人旅だった。
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