シロツメクサとアカツメクサ
子供のころ、学校帰りの土手道を歩くと一面はシロツメクサの絨毯だった。
道草を食らうのが子供の特権。ランドセルをそこらに放り投げてシロツメクサの絨毯の上に横になり空を見上げるのが好きだった。
北海道の青い空。流れる白い雲。青いキャンバスの上で様々に形を変えていく雲を何かに見立てて空想を広げていく。
飽きると、シロツメクサをつんでは髪飾りを作ったりロープを編んだり。
やがて陽は傾きかけオレンジ色を帯びてくる。腹もすいてくる。
シロツメクサの群落とは別に広がるアカツメクサの密をすすりながら家路をたどる。
当時シロツメクサよりもアカツメクサのほうがあまい蜜がすすれると信じていた。
アカツメクサの蜜は青臭かったがほのかに感じる甘さが結構気に入っていた。
今朝いつもの通勤路を歩いていると、空き地にシロツメクサとアカツメクサが一面に咲いていた。妙に懐かしい気分になる。
衝動的にバラ線を乗り越えて白と赤の絨毯の上に身を投げ出したい欲望にかられた。
「あぶない、あぶない」苦笑いしながら欲望の地を後にした。
僕自身の中に、いまだに道草の心が残っているのがなんとなくおかしかった。
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